第四話 神授瓶
30文字おさらい
「ユバスとヒロの過去を知り合い、共にある夢を叶える決意を固める」
落ちている羽に当たらないように地下室に戻り、ベッドの上でグルシャは目をつぶりながら考えた
昨日の事はなんていえばいいのだろうか
直接、「上の世界を見に行ってもう一度夢に向かって頑張りたい」と言うか。
それとも、なんで俺の幼い頃の夢をバラしたのか聞くか。すまないクソどうでもいい二択だな。
そんなことよりやっと俺も寝る事ができる。おやすみ
・・・・・・・・・・・・時はさかのぼり2時間前・・・・・・・・・・・・
アンナさんとトウモロコシを拾っているときだ
「いやー大変だったねー! 私一人だけだと無理だったわ~♪ありがとうね」
「いえ。」
あれ? 私が思っていた地獄じゃない。こんなに静かな空間で良い人がいるのか。
いや違う違う! こうやって洗脳して私を食べる策略かもしれない。油断はダメだ
私が落とされる前に教えてもらったのは、年中炎が地を荒らし焼かれた生き物の血と炎で空が赤く染まり続ける世界
実際はほぼ真逆の世界だ。しかしここは涼しくて叫び声なんで全然聞こえない
確かに私は地獄に落とされた。反乱がおきていたからかこっちの方が天国に感じるのはなぜだろう
「ユバスちゃんは天国界に戻りたくないの?」
「そうですね。思っていた以上に心地が良くて戻ろうか悩みますね。でも、私は煉獄界で生まれた以上煉獄界に戻りたいって思ってます」
「そうね。ならグルシャとユバスで上に行きなさい」
グルシャと天国界に行く?!ただでさえ知らない人と二人で旅をするなんてごめんだ
「アンナさんはね。怪我的にもう動けそうにないからここに残るわ。」
「私の怪我だけで、もうあの子の夢を壊したくないの」
私はアンナさんとならいいと思っていた。もうアンナさんはもう覚悟していたんだ。
アンナさんはまた口を開き話し始めた
「お願いがあるの。ユバスちゃんは飛べるでしょ? その力で崖の上までグルシャを連れていけるかしら?」
「そしたらあなたは煉獄界に戻れるし、グルシャも夢を実現できるかもしれない」
「.......さい」
外だから声が聞き取りにくくうまく聞き取れなかった
「ちょっと話があるから一旦地下室に帰りましょうか」
嫌な予感がする。いつでも戦闘態勢に入れるように意識しておこう
二人は地下室にもどり話の続きをした。
「話ってなんですか?」
「二人の体調が回復したら私の事はいいからすぐにここからグルシャと煉獄界に行きなさい」
本当に私を殺す気が無いようだ。むしろ私を逃がそうとしている
「でも、アンナさんもここにいるべきじゃないよ。一緒に煉獄界に行こうよ」
・・・
「ううん。その考えは間違ってる。私はここにいるべきで、居てはいけないのはグルシャよ。」
「あの子は無実の悪魔。いや無実の天使というべきなのかね」
私にはちょっと理解できない。
その目は笑顔とは程遠く、出会った時とは全く違う顔押していた
その顔を見て断ることが出来なかった
「この崖を上がり続けると崖に沿って作られた大きな町があるの」
「その国の名は壁城 ヴィーラル。まずはそこを目指しなさい」
壁城 ヴィーラル
第八圏と第九圏をつなぐ家や城がぐるっと一周崖に沿って建てられている。何百年も前から栄えている国だ
主には木造の家が並び商店街や蒸気の力で物を引き上げる機械がそこら中にある。発掘した石炭を上層の国と貿易し、そのお金で今も進行形で発展が続いている
しかし、悪魔の国であるがために権力の高い悪魔が国民を老若男女問わず奴隷のように働かせる権力国家。犯罪もそれ相応に多い
「必ず注意してほしいのはあなたが天使族であることを絶対に隠し続ける事!」
「国民の髪の毛、汗に触れるだけでもバレてしまうからこの服で全身を隠していきなさい」
渡されたのはフード付きのとても大きい服だった。
その服は首から足まで一枚の布で作られている。大人用に作られているのか袖が異常に大きく普通に着ると袖余りになってしまう。私が着るとブカブカだ
悪魔と接触がないのは安全なんだろうけどこれじゃあ動きづらくて大変だよ(語録に詳細掲載)
「この服はマガド正装と言って、私の故郷で儀式の時に使っていた服なの。特殊な布を使っているから刃を通さない作りになっているわ。もし襲われてもユバスちゃんの命を守ってくれるはず」
「ユバスちゃんが着れるように洗って裾上げしておいてあげるから色々測ってちょうだい。」
身長とウエストを自分で測り何とか着る事ができる大きさに直してもらった。と言っても刃を通さないから直接切って裾上げしたのではなく
「でもアンナさんこれ袖が長すぎるよ。これは直せなかったの?」
「手は特に触れることが多いから手先まで隠さないとダメなのよ。我慢して」
仕方ないか。天使が生き残って地獄にいると噂になったら大変なことになると思うし我慢しよう
私はアンナさんから少しの硬貨とこげ茶色の小さなな箱をもらったあと席を立ちもう一度寝ようとしたらベッドを見る
そうだグルシャが先に寝てたんだった。ずっと眠そうだったし起こさなくていいか
「ん,,,ん?」
何時間寝たんだ? 起きようと目を開け起き上がると地下室ではなく大きな円盤の上で寝ていたことに気づく
その空間は大きな円盤が数えきれない程宙に浮いており、俺も浮いている一つの円盤に乗っているようだ
上には温かなオレンジ色の光を放ち気持ち暖かい感じがした。下にはなにか白く動くものが動いている
周囲を確認していると、白い翼を生やしている人がいた。景色を見ているのか後ろを向いており顔が分からない
その男の方向に歩きだし一歩目を踏み出したとき
「ちょっと待った。動いちゃダメだよー」
遠くにいた男がしゃべったのだろうか。遠くにいるのに耳元で話したのかと思うほど鮮明に聞こえた
そこには一回もあった事が無い人がいたんだ
白い羽を生やしているからおそらく天使族なのだろう
目の前の人がそう指示してきた。声的に男性の声だった
男性はこっちに顔を向けて目を合わせる。その顔は鼻も高くかなり整っていた。
髪はパーマをしたかのような髪型で赤いマントのついた鎧を着ている
男は遠くにいる。大体数十メートル先にいるのになぜか近くに居るかのような圧を感じる
「おぉ。見ない顔だ。黒い翼を見る限り...悪魔族の男性かな?
それにしても、私の顔をそんな褒めてくれるなんて嬉しいな~♪」
「心の中で話したことも聞こえるんですね。」
「だって神様だもん。なんでもわかるよ~」
「じゃあ俺はなんでここにいるんですか? 確か地下室n...」
「君は神授瓶を飲んだんだよ。で、私は神様!どういう意味か分かるよね?」
神授瓶を飲んだ...? 全く記憶にない。
「飲んだ記憶がない?それはどういうことだ?」
「俺は普通に家のベッドで寝ていただけです」
「じゃあ力を得るために飲んだのではなくて気づいたらここにいたと。でも私が選択できるのは2つ。契約を交わして能力を与え世界に戻すか。ここで殺しちゃうかだね」
グルシャには納得できる理由を言えず殺されるかここから落ちて命を絶つかの2択しかない
不思議な空間すぎる事、理不尽な2択に俺はしばらく頭も体も止まってしまっていた。
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