第一話 ようこそ 地獄の世界 へ
沢山ある小説の中から私の小説を選んでくれてありがとうございます!
初投稿になる 「下獄上 」素人なりに頑張って書くので応援とかしてくれると主の小説書くスピードが上がります!
グルシャ・スダンは深く大きな穴の中で生まれ、崖近くの小さな家で暮らしている
毎日空は暗く凍えるように寒い、光る鉱石とキノコと炎が辺りを照らしている
法律なんてものは存在しない世界。まさに地獄と呼ぶ他ない世界だ
「グルシャ! 起きなさい!」
皆はどんな音で起きるだろうか。涼しい風と共に流れる鳥の鳴き声?
それとも、ピーピーと鳴り続ける鳩時計?
俺は母さんうるさい声と寒さで毎日起きる。はっきり言って毎朝鬱だ。
「...おきてるって。」
「夜更かししてるからでしょ! 今日からしっかり治しなさい!」
俺は憂鬱な気持ちになりながら俺は部屋を出た。
一日中空の色が変化しないから何時間寝ていたのかも分からない
俺がいる世界は大きな穴の中だ。その穴は縦に深くなっていて、空も崖の下も黒くなにがあるか全く分からない。
少し先にある大きな崖から石を落としても音が返ってこない位深く暗い。
地獄の穴は九つの層に分かれており、俺は第八圏と第九圏の間にある大きな崖の中で住んでいる
「今日の朝の家事当番は母さんでしょ?起こさなくてもいいだろ...」
「今日は"赤白雨"の日。だから起こしたの」
「いや、赤白雨はいつ来るか分からないんじゃ...」
「毎日警戒しておくことが大事なのよ」
「赤白雨」
しゃくびゃくあめと言いこの日"白い翼を持つ者"が空から落ち
白い羽と赤い血の雨が覆いつくす。
落ちるだけならいいのだが、一番最悪なシナリオが家への落下。
ただでさえ即死レベルのスピードで落ちてくるのだから、衝突すれば無傷で生還出来るわけがない。
だが、いつ落ちてくるのかも、どこに落ちてくるのかも予測が出来ない。
俺たちにできるのはただ一つ。「祈る」しかないのだ。
「いつでも地下に避難できるように準備はしておいてね」
俺たちの家には地下室がある。非常食と二人暮らしなのにベッド一つのみの部屋だ
この歳で母さんと添い寝をしろと???俺もう16だぞ...
そんな中、母さんは今日も元気に話しかけてくる
「とりあえず朝ごはん。準備するからグルシャも準備しておきなさい」
「(母さんはどうしてあんなに落ち着いているんだ...?いつでも、死んでしまう可能性があるのに...)」
「あ、そうだグルシャ。洗濯物干してなかったの。干しておいて」
「...うん(絶対そのために起こしただろ)」
服を干すうちに朝の寒さもあり自然と目もさめる
今日はなんかおかしい。朝には鳥の鳴き声が聞こえるはずなのに一切聞こえない
聞こえるのは、かすかに聞こえる風の音と母さんの朝ごはんを作っている音だけだ。
「この匂いは,,,コーンポタージュか!」
俺はトウモロコシが大好きだ。今は亡き祖父がトウモロコシを育てていた。
ん? とうもろこしは陽性植物だから暗い穴の中だと育たないって?
この穴の世界を照らしているアホみたいに光るキノコがそこら中にある。そのキノコを付けた棒を沢山畑に刺しその光で光合成をさせることができている。
これは祖父の発明だ。すごい。
そんな事を考えていると風の音が大きくなる。ゴオッーではない。聞き続ければ聞き続けるほど大きくなっている
「真上から聞こえるぞ? まさか?!」
上を見上げると白い何かがこちらに向かってきていた。赤白雨だ。
「このままだと家に落下するかもしれない。すぐに母さんにしらせ...」
その瞬間、背後の爆発音が生活音をかき消し、土の匂いとコーンポタージュの匂いが辺りに充満する。
そう、俺の家に赤白雨が当たったのだ。吹き飛ばされるほどの衝撃、四方八方に出る電撃、煙で視界が遮られ前が全く見えない。
昔。俺はおばあちゃんとおじいちゃん、母さんの4人で協力し暮らしていた。
でも、そんな生活は一瞬でぶっ壊された。
俺が10歳の頃、祖父母の家が赤白雨に巻き込まれる瞬間を見たことがある。
祖父母共に遺体はまだ見つかっていない。その時の光景と匂いは今でもトラウマだ。
「頼む、頼む、頼む...!」
吹き飛ばされうつ伏せになっても助かる事だけを考え続けた。
視界が徐々に明るくなり周囲を確認できるレベルになってきた時、朦朧とした意識の中で周囲を確認した。
その光景を見て体が動かなくなってしまった。
家が無くなっていたのだ。さっきまで母さんといた部屋、屋根も壁も。"全て"
まさにあの時見た光景と同じだ。
「....グルシャ....」
かすかに聞こえた!母さんの声だ。俺はおそらく世界で一番耳が良い。集中すれば静かな空間で約5キロ先の会話も聞ける。さっきも、普通だと聞こえない距離で赤白雨を聞き取り見つける事ができた。
だが体は動かない。声も出せない。家が崩壊したのもそうだが、俺は目の前にある"奇妙な白い球体"から目を離すことが出来なかった。
おそらく俺たちの家を襲った赤白雨の正体だろう。それは大きな白い翼に包まれ丸い球体状になっている。
大きさは縦横共に1m程の正円形で爆風で残ったかすかな風が翼の羽を動かす。
中心から光がでているのか少し明るく光っており、暗い世界の中で神々しく輝いている。
ここでは見る事の出来ない、白く綺麗な物体だった。
「グゥーー...」
お腹がなった。こんな状況でも体は正直だ。
「そいえば朝ごはん食べてないからお腹が...」
「(とりあえず朝ごはん。準備するから)」
「そうだ、母さんが!」
母さんを思い出した瞬間、正気を戻り体が動いた。家の下敷きになってしまい身動きがとれていないはずだ。
先ほどの声の方向を頼りに母さんのもとに向かい、家の残骸をどかしながら探し続ける。
「母さん! 大丈夫か!」
「ハー...ハー...」
白い息が見える。呼吸はあるが意識がない。
重度の脳震盪で気を失っている。出血もかなりひどく正直助かるか分からない。
安全な所で母さんを寝かせ、本棚から赤白雨について詳しく記載してある本で調べることにした。
次が本に書かれていた内容だ。
・赤白雨デ落チテクル者ハ「天使」トイウ種族。重罪ヲ犯シタ者、反逆シタ者ガ天国カラ悪魔ガ暮ラス穴ニ落トス落下刑ノ二次災害ヲ言ウ。
・天使ハ通常羽ガ小サイタメ飛ブコトガ出来ナイ。ヨッテソノママ爆発ト共ニ落下死ヲムカエル
・大キナ翼ヲモツ天使ヲ落トス時ニハ意識ヲ失ワセテカラ落下刑ニ処ス
「つまり、あの球体は"大きな翼を持つ天使"なのか」
「天使という事ならおそらく翼の中になにかがいるはず...」
恐る恐る球体に近づき、翼を開こうと触れた瞬間
触れた所から衝撃波と電流が流れグルシャは後方に吹き飛ばされた
「痛った...。触れただけなのにどうして?」
全身のしびれに耐えながら立ち上がる。
球体は翼をまるで蓮の花のように開き、それと共に徐々に光も消えていった。
開き切るとぐったりとした一人の白い長髪の女の子が眠っていた。年齢で言うと15歳位だろうか。
首には絞められたような跡がついており、謎の紋章が刻み込まれ、小さな石の首飾りをしている。
「さすがに子供をこのまま放置するわけにはいかないよな」
「だけど、触れないから運べないし。はぁ...今日は寝れないか」
グルシャはこの子が起きるまで、見守ることにした。
しばらく時間が経った。大体15時間くらいだろうか。お母さんと謎の少女を行き来し看病をしていた。
お母さんは意識を戻し、話せるレベル位に回復していた。
「はぁ...(いくら何でも一人で二人の看病は酷だろ...)」
「グルシャ、私は大丈夫だから早く自分の怪我を治しなさい。」
「地下室のベッド一つしかないじゃん。寝れるならもう寝てるって...」
「...」
静寂な時間が流れる。
いつもは気にしない木のきしむ音がより大きく聞こえる。
「...俺見たんだよね。家に落ちてきた大元を...」
グルシャはここまで見てきた事を全て話した。
「なるほどね...。で、その天使には触れてしまったの?」
「うん。そしたら変な力で吹き飛ばされたんだ。」
「...天使と関わる事なんかないと思ったから言わなかったけど、言わないといけないみたいね」
母さんいわく、この世界の人は「天使」と「悪魔」のどちらかの血を持ち、少し触れるだけで電撃と共に反発の力が働き近づけないようになっているらしい
血はもちろんだが、皮膚や髪一枚触れるだけでも同様のことが起こる。悪魔と天使を近づけさせない「神の啓示」ではないかと言われているらしい
「不思議なのが、その爆発天使はあの速度で落ちてきたくせに無傷だったんだ」
「もし意識が戻ったら、なにか知っている事を聞けるかもしれない」
それを聞くとグルシャのお母さんはベッドから起き上がった
「その女の子の所まで案内してちょうだい」
「また怪我したら、本当にもう知らないぞ?」
「うん。次は本当に死んじゃうかもねー笑」
「母さんこそ自分の体大事にしろよ。」
思った以上に元気だったことにグルシャは内心ホッとした
母さんは家の残骸を杖代わりに、ゆっくりと歩き女の子の場所に向かう
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