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二章 二十話 『struggle days  -ミツキの場合③-』

    ◇



 五日目。十一時ごろ。ルナリアがミツキに会いに来た時の事。


「はっはっは! 相変わらず()()()()()殿にはたじたじか? まだまだ青いな、ミツキ!」


 ルナリアの後ろから現れたのはリベラ。もはやいつも通りとなったお忍びスタイル。かつて彼女が騙った名を使うのは、その正体を隠すため。二人が一緒にいる理由は。


「……デートっすか?」


「あら、私そんなに尻軽に見えまして? 傷つきましたわ」


「君は一回、こちらの訓練を詰んだ方が良いのではと思わされるな。アルに言っておこう」


「冗談! 冗談ですから!! ごめんなさい! 入国のことですよね!」


 ルナリアの入国、その便宜を図るためにわざわざリベラ自らが赴いた。ルナリアの事情が複雑というのも理由だが。


「燦雷堂には、オレも思い入れがある。そのためとあらば多少の手間は惜しまんよ。これ、オレの手持ちだ。役立ててくれ」


 リベラから渡されたのは服。やはりというか、ミツキでさえ一眼見て分かる質の違い。手触りは滑らか。あしらわれた意匠も派手に主張するわけではないのに全体の質を向上させる。


「やっぱりリベラさん、お金持ちなんだぁ」


「これは陛下や知人にいただいたもので、オレ自身は散財などしないよ。だが、その分余計に思い入れがある。丁重に扱ってくれ。ゲルダなら心配いらないだろうが、ミツキは少しな」


「なんでぇ!?」


 不器用な上に、面倒ごとに首を突っ込もうとする性格。大切なものをミツキに預けるのだから、それはそれは心配だろう。ルナリアも笑うのではなく深く首を振って同調する。


「ああ、そうだ。それを渡し終えたら、一度ここに戻って来てほしい。少し、君に会いたいという方がいらっしゃる」


「? はい、了解です。なんだろ?」


 リベラの畏まった言い方から只事でない雰囲気を感じ取る。しかし心配してもしょうがない。まずは目の前のことから。軽く食事でもと思っていたミツキだが、もろもろで予定の時間に。


「では私もミツキさんと一緒に。駅まで送っていただいても?」


「いいすよ! あれ、でも……まいっか! 行きましょ!」


 ルナリアは駅からここまで来たのだから案内などなくても一人で大丈夫だろうと思うミツキ。ただ、それを言うと再び非難が飛んできそうだったので胸に押しとどめる。


 半歩だけルナリアの前に出て、並ぶようにして先を行く。



    ◇



 そして、ゲルダに荷物を渡し終えたミツキは駐屯所へと戻った。


「戻りましたー。あ、お客さんもういらっしゃってたんですね……ああ! 昨日の!」


 ミツキを待っていたのは、先日ミツキが有名になる前に駐屯所を訪れた女性。最初に道案内をした、相談所となるきっかけを作った彼女が。


「久しぶり、若い騎士さん。今日はお礼を言いたくて、無理言って()()()に頼んだの」


「お礼……ってことは」


 彼女が会いたがっていた古い友人。それに会えたのだろう。これほど喜ばしいことはない。長年のしこりは恐らく彼女を苦しめ続けた。それが取り払われるのは、そしてその手助けに自分がなれたことは、ミツキにとって何より励みになる。


「はい。ありがとう。あなたのおかげで、最期にまた、彼女と友達になれた」


「最……期……」


 励みになるはずだった。だが、果たしてこれを喜んでいいのかミツキは分からない。もしかすると、目の前の彼女にとっては出会わない方が──


「あのままお別れしていたら、きっと、一生後悔したから」


 そんな心の霧を払うように続く彼女の言葉。ミツキを気遣うわけではない。心からの感謝の言葉。


「本当は迷っていたのよ。怖かった。拒絶されることよりも、拒絶されて、その上で失ってしまうことが。もっと早く。もっと上手く。そんな風に思うくらいなら、やめてしまおうと思って。道を聞いたのも、行かないため。若いあなたがあの場所をわからないだろうと思って」


 自分で決断するのが怖かった。だから、他人に依存しようとした。騎士に聞いて道がわからなければ仕方ない。行きたくても行けないのだと納得させようと。


 それをミツキは覆してしまった。そして与えた言葉は、彼女に進む勇気を与えていた。



『大丈夫ですよ。お姉さん、その人のこと時間が経っても忘れてないんだもん。会えたらきっと、元通りです。大丈夫、俺が保証しますよ!』



「ありがとう。あなたのおかげで、大切なものを取り戻せた」


 失くしたまま。それが運命のはずだった。それを、ミツキは知らず知らずに捻じ曲げた。良かったのかは分からない。確実に残る心残りは、これからも彼女を苛むだろう。


 確かなのは、彼女が、笑顔でここに立っていると言うこと。想像できるのは、亡くなった友人が、きっと笑顔だったのだろうこと。


「──良かった。俺、人を助けることができるんだ」


 前回の旅。それを経て知ったのは限界。揺らいだミツキのアイデンティティ。もしかしたらこの願いは決して。


 でも、一人助けることができた。ならば進める。続けていけば、もっと。だから救われたのは、彼女だけではなくミツキ自身も。



「ぜひ、お礼がしたいと思っているの。また今度、うちにいらして? 精一杯おもてなしするわね」


 真っ赤に燃えるような着物を来た彼女が、優しく微笑む。強さと優しさ。対照的な姿が一つの形をしているような。その姿に、ミツキは見覚えがある。


「オレからも、礼を。ミツキ、何か手伝えることがあればなんでも言ってくれ。手を貸そう」


「リベラさん……? ──! そういう、ことか」


 彼女に見出したのはリベラ。強さと慈悲深さを持ち合わせる彼の姿。それも、順番は逆なのだろうが。



「ああ。この方は、オレの剣の師。二十五年前の総隊長、アイリーン殿だ」


「あなたは私が教えなくても強くなったでしょう、リベラ? あまり師と仰がれても恥ずかしいわ。よろしくね、ミツキさん」



    ◇



「本当に、そんなことでいいのか?」


 ミツキは早速、リベラに「礼」を返してもらうことにした。


「はい! リベラさんにどこまで通用するか、俺は知りたい。少しは強くなったから」


 要求は、模擬戦。何でもあり(ヴァーリトゥード)。死なない限りは何をしてもいい。そんなルール。


 圧倒的にミツキが有利。なぜなら魔法がある。その上、リベラの実力では殺さないように攻撃するとなると手加減は必須。


 ここまでしてようやく勝負の土台に上がれる。依然として力の差は歴然。ミツキもそれは百も承知。それでも抑えられない衝動。助けられると知った彼は、ブレーキも効かずに走り出す。


「分かった、では……ほう、いい光景だ。オレのいない間に随分と仲良くなっているな、ヴェント。お前は口が下手だから、どうなるか心配だったが」


「総隊長! 久しぶり。また僕と勝負して」


「お前、散々俺と打ち合ってまだ元気あんのかよ……凹むわ」


 リベラと戦える機会は全隊員、下手すれば全世界で、垂涎のもの。それを独占できる喜びが、プレッシャーを遥かに上回る。


「だが、悪い。先客がいてね。少し、場所を借りたい。皆はラグナ殿について外で警備と訓練をして来て欲しい」


「やだ。僕も見てる」


 ミツキから見てもテコでも動かない様子の少女。ヴェントと呼ばれた彼女と自分が逆ならば、自分も同じようにしただろうと考える。


「仕方ない。お前だけ、特別にだ。悪いが、君もそれで構わないか、ミツキ」


「うす! 終わったら感想とかよろしくっす、えーと、ヴェントさん!」


 だったら快諾以外選択肢はない。外から見てどう感じられるかも知れるいい機会。




 訓練所、芝の敷かれた運動場。いつもは隊員で溢れかえる場所に今は二人だけ。見守ると言ったヴェントもそこから大きく外れて陣を取る。


 ミツキもリベラも、いつも使う武器の模造品を携え、大きく距離をとって向き合う。その距離およそ百メートル。これもまたミツキに有利となるが、きっとリベラは意にも解さない。


「じゃあ。行くよ?」


 勝負の合図はヴェントが。いつも小声の彼女の声が、静まり返った訓練所に重く響く。


「始め」



「雷光!」


 合図と同時にミツキが雷を放つ。目眩し、兼、牽制。大きく横幅を埋めるような太い一撃。魔力に限りがない彼は、温存などもはや考えない。


 雷撃は速度にも優れる。しかしそこには長い距離。リベラは目視して斜め右へと前進。


 この勝負、ミツキとリベラとで思惑が異なる。


 ミツキは間違いなくリベラ相手に何合も打ち合うことはできない。故に近づかれるまでが制限時間。それまでに勝てる盤面を整える必要がある。


 対するリベラ。その思惑はミツキの逆。如何にして猛攻を凌ぎ、剣の間合いに入るか。百メートル程度なら直進すればものの数秒で走り切れる。そこに立ち塞がるは魔法の嵐。無限に繰り出される魔法を潜り抜ける策こそ彼は欲する。


「雷霆!」


 地面、広い範囲に雷撃を流し足止めにかかる。さしものリベラも空中では動きが止まる。それを狙った時間稼ぎ。この次で仕留められるとは思っていない。あくまで崩し。始点となる一撃。



「ふっ!!」


「まじ!!??」


 走る雷撃。それをリベラはお構いなしに踏み抜く。確かに「雷霆」の威力は低い方。しかしルナリアも回避を選んだ程度には、帯電の影響を受けるはず。


 それをリベラは真正面から跳ね返す。正確には受けた端から体内で魔力を流し相殺しているのだが、知らないミツキは戸惑うばかり。



 距離が迫る。残り五十メートル。


 

「迅雷、三連!」


 速度を上げた雷撃で牽制。縮まった距離も相まって瞬きの暇すら与えない。


 リベラは左斜め前へと軽く飛ぶ。さながら馬の一駆け(ギャロップ)。地面すれすれを駆けるように飛び、雷撃を脇目に前へ。



 距離が縮まる。残り三十メートル。



「──やるしかねえ、か」


 雷魔法に絞って使用していたが、それでは無理だと封を切る。


「炎陣! からの」


 炎の壁。それがまずリベラに向かい真っ直ぐ。右へと軽く躱すリベラだが、炎の壁はそこに分たれる。リベラのいる地点より一歩前で二つ分岐。三叉を形成するように形作られる。ラストボンドでゲルダが使用した「氷壁」。それを想像の基盤に置いた複雑な変化。


絶雷(ぜつらい)!」


 収束させた魔力の塊。そこを起点に真っ直ぐ。走る稲妻。「迅雷」よりも細く、「雷光」よりも強い。圧縮した雷が一条。


 リベラは壁に阻まれ身動きが取れない。確実に決まる。


「はああっ!!」


 その一歩前に、大きな風切り音と、風の吹き荒ぶような錯覚。その出所にいたのは、リベラ。姿の見えるはずのない彼。


 リベラは一度剣を鞘に収め、集中。来る攻撃に間に合うように、力を溜め、解放。鞘走る一太刀。返す刃で二太刀。剛腕から繰り出され、ほとんど並ぶように放たれた剣閃は形なき炎に無理やり形を押し付ける。


 結果炎の壁に大きな穴が開く。その瞬間、眼前にあった雷撃を目視。反射ではなく、反応して顔を振り、それを躱す。



 ここまではミツキも想定の範囲。もはや何が起ころうと不思議ではないと念には念を。二の矢はすでに彼の掌。


招雷(しょうらい)


 そこにあるのは小さな魔力の塊。彼の利用する魔力球によく似ているが、その実態は雷の魔法。彼の魔力、そのうち雷の性質を色濃く映す避雷針。


 それをかざすと途端に、リベラを追い越して進んでいた「絶雷」が踵を返したように進路を変える。ミツキの掌を目指し。その最中にあるリベラの体を貫くように。



 距離は残る。十メートル。



「今」


 小さく呟くリベラ。体が深く沈む。その姿は野獣のごとし。否、最も近いのは。


「クソッ! アルさんの!」


 限りなく地面に近づき、「絶雷」は頭上を掠めるように過ぎて消える。


 見えないはずの雷撃。それを躱したことにはカラクリがある。もっとも、カラクリとは言うがおそらくリベラ以外には不可能。


 その理屈は、直前、炎の壁を突破した際に敢えて寸前での回避を選んだことが始まり。リベラはミツキの掌に魔力反応があることを感知。それが魔力球と同じ性質だろうと推測し、「絶雷」の速度を観測。躱した後に、ミツキの動向から戻ってくるタイミングと距離を判断。速度に合わせて反応した。文字にしてもなお、理解不能の神業。それを限りなく速度を保ったままで成し遂げる。


 さらに驚くべきは、アルバートの構えをとったのは今回が初めてだという事実。



 結果、距離は消え去る。もはや剣の間合い。



「良い攻撃だった。紙一重だ。誇るといい」


 右手で握った剣を身体の左側へ、納めるように構え、振る。究極の基礎。流れるように、流麗。澱みなく、盤石。世界を分つほどの剣技。それでも世界はそれを認識できないほど。


 吸い込まれる。ミツキの腹部へと。攻撃とは思えないほどに自然な動作。ミツキには打つ手がない。




「なっ、にぃ!!」


 それが、初見であったならば、ミツキの負けは決まっていただろう。


 知っている。前に、アルバートとの模擬戦の際。その剣を間近で見たから。


 知っているならば、二度とは通じない。彼の認識は、それが攻撃であると手放さない。


 横に水平に振りぬかれた剣は、上に振り抜かれたミツキの短刀をもって軌道がそれる。ミツキの髪を掠めて虚空に舞う。


 だが当然と残る自力の差。構え直し、上段から袈裟懸けに。


 最小の動き。短刀であるが故の優位。構え直しの隙が小さい。逆手に構え、刃の形状に沿わせるようにして剣を去なす。


 振り上げ。右に弾く。刺突。体を捻りながら短刀で受け流す。そのまま左に振り切る。体を屈めて躱す。


「ぐ、ぉおっ!」


 蹴り上げ。ルナリアを知るミツキはそれを左手で辛うじて受けるが、感覚が死ぬ。そこにすかさず決死の薙ぎ。それを防ぐ手立ては。



「──イカれているな、君は」


 死んだ左手を肩から動かし弾く。骨の砕ける音。今回復をしたところで間に合わない。そのまま放置して反撃に移る。痛みはあるが、来るとわかっていればどうとでもなる。


 短刀を順手に持ち換え小刻みに振るう。振り下ろし、横薙ぎ、刺突の連打。それを剣で受けるリベラ。躱そうと思えば躱せる。だがそれをさせないのは第六感──大きく動けば、()られる。


 再度逆手に持ち換えたミツキは、受けるために縦に構えていたリベラの剣を。


「!?」


 短刀と右腕で絡め取り、固定する。流石のリベラも意図が見えずに一瞬膠着。しかし一瞬で気づく。


「雷撃か!」


 雷の魔力を有するミツキは、仮に自分に雷撃が直撃しようとも昏倒することはない。せいぜい痛いくらい。狙ったのは諸共。


「さっきと違って、気づくの、遅かったっすね」


 剣戟の間、ミツキは並列して思考を、想像(イメージ)を巡らせた。密かに鍛えてきた技術。無限の魔力を生かすために。


 頭上。そこに魔力を集める。黎明の火(プロメテウス)のように、準備と起動の二段構え。待っていた瞬間。魔力を流し起動する。其は神の雷。


「天雷!!」


 落ちる雷。神仏の権能を思わせる空からの雷撃。それが大地へ深々と突き刺さる。


「嘘……! 勝った……!?」


 雷鳴が轟き、雷光が世界を覆う。その間数秒の出来事。永遠を思わせるほどに圧縮された一瞬が過ぎる。


 巻き起こる砂煙。三番隊隊長ヴェントをして、ミツキの勝ちを思わせる結末。




「はあ……はっ、は。惜しかった、な」


 そこにあったのは地面に横たわるミツキ。そして、立ち上がってその喉元に模造剣を突きつけるリベラの姿。


「──ここまでやっても、まだ」


 ミツキはその差を理解していた。まだ勝てないだろうとも。だからと言って、みすみす勝ちを譲る謂れはない。全力を尽くした。死力を尽くした。


「──う!! ゲホッ、ゲホ……ぜぇ、ぜぇ……は、は」


「深呼吸だ。最後の攻防、息も忘れていただろう。ゆっくり吸って、吐く」


「スゥ、ハァ……は、ぁ……すみません、大丈……痛ぅっ!!」


 呼吸に割く余裕もないほどに最後の剣戟は苛烈だった。元々の見立てでは数合持てば良いところだったのを大きく超える数。当然のように、興奮(アドレナリン)で誤魔化していた左腕の痛みも襲ってくる。


「早く回復魔法で治すんだ。遅れればうまく治らんぞ……よし。ヴェント、最後の勝敗を分けたのは何だ? オレが体内の雷撃を魔力で洗い流せたことを除いて、何がある?」


「……正直自信ない。どっちが勝ってもおかしくない。あったのは」


 死力を尽くした。どう転んでもおかしくなかった。だが、そこにあったのは、リベラが勝つと言う「必然」。酷な話だが、ミツキが勝つことは万に一つもあり得なかった。



「手を、抜いた。最後の一撃。少し。ほんの少しだけ、弱い」


「──え? いや、そんなはず、は」


 ミツキでも自覚のないこと。彼に染み付いてしまった、「恐怖()」。


「──ミツキ。君は人と戦うべきではないな。優しすぎる」


 以前からあった「死」に対する過剰な恐怖。自分ではなく、他人のそれがあまりにも怖い。自分が味わった恐怖。それを他人が味わうことが。何よりも、その主体に、他でもない自分がなってしまうことが。


 それが引き起こす、無意識の加減。ここ一番の場面で必要以上に手を抜いてしまう。


「──俺、は」


「──だが」


 戦いには向いていない性分。大人しく、小さな人助けだけしているのが似合っている。


 英雄などには、なってはいけない類の人間。それでも。



「やはりオレは、君のことを尊敬する。君はそのままでいい。それで救える人間が、きっといるのだから」


「──はい」


 この性分をどうするかは、まだ分からない。でも、それはもう止まる理由には使えない。


 ──認めてくれた彼に、恥じないためにも。



    ◇



「おーい。ミツキ、カイ風呂行こう」


「しー! 団長さん静かに!」


 五日目夜。宿舎の食堂にて。一日の終わり。その疲れを癒そうとディエスが声をかけるが。


「──あーあ。こいつ、今日は散々無茶しやがって」


「今日ばっかりは仕方ないですね。僕からは何も言えないや。そっとしといてあげましょう」


 それに応えるのはカイだけ。ミツキは応えない。


「ふふ。お疲れ様。がんばったね、ミツキくん」



「zzzz……」


 食後、倒れるように机に突っ伏して眠ってしまった彼は、皆に見守られて夢の世界に旅立った。


 こうして激闘の一日は、いつの間にか幕を閉じて。



 また新たな、嵐を呼ぶ。

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