二章 幕間 『見据える先、届かぬ鋒』
少年は剣の才など一つも持たず産まれ落ちた。
この国において戦う力は何をおいても重宝される。それを持たないのは、平民でもなければ到底許容されない事実。
ましてやそれが、国民を守る立場にある者ならば尚更のこと。
それでも少年は立ち止まらなかった。
誰もが外れだと罵った。誰もが何かの間違いだと声を上げた。誰もが次があるからと彼を見ることすらしなかった。
力もなく。人望も無く。展望も無い。彼にあったのはただ一つだけ。
争いなど無くなればいい。そんな感情。
だから彼は戦えない。力を振り翳すことが怖いから。
だから彼は抗えない。自分のせいで傷つく者が産まれるのが耐えられないから。
だから彼は逃げられない。生まれたのが、戦うこと以外認められない場所だったから。
そんな時、出会ったのは一人の男。
何もかも失って、それでも足掻いて抗って。必死に戦うその姿。
これまでの価値観では認められない姿。醜く、認め難く感じるのが当然の姿。
それでも、何故だかその少年には彼の姿が。
美しいものに見えた気がして。
──戦うことも間違ってはいないのかもしれない。
彼の脳裏にあったのは、自分の人生を見つめ直す小さな光明。
──それで、見られる未来があるのならば。
彼が見据えたのは、この国が諦めた遥か未来。
鋒だけでは届かない、そんな夢のような。虹のような。




