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学校の有名人に告白しなければいけなくなりました

作者: 一波 悠斗

どうも、一波悠斗です。まえ少しかいてエタっちゃった連載とかあって、期間も空いていたのでリハビリ替わりに短編を執筆してみました。

そんなに長くないですし、久々に執筆したので温かい目で見ていただけると嬉しいです。


僕の名前は「海佐徹(かいさとおる)」、県立鷹見丘(たかみがおか)高等学校の1年生だ。現在僕の平穏無事な高校生活は終わりを迎えようとしている。


「ほ、本田先輩好きです!お願いします!付き合ってください!」

「ふむ、きみは本当に私のことが好きなのかい?」

「そ、それはどういうことでしょうか?!」


僕は今、一世一代の告白をしている。いや、させられていると言ったほうがいいのか。

僕は告白するような人間なんかじゃない。もっと目立たないようにして生きていくような人種だ。もちろん本田先輩のことが嫌いなわけではない。

めちゃくちゃ好きだ。普段は遠目に眺めていただけだ。僕はそれで満足だった。

わざわざ告白する勇気もなければ、遠目に眺めているだけで幸せだった。

なんでこんな状況になったかというと、数日前のことだ...


------------------------------------------


 今日も変わらず高校に通う。僕の家は学校から徒歩10分程度の所にある。

 この学校からの近さもいいのだが、何よりこの通学路の楽しみがある。


「おい、イバラ姫だ。」

「マジじゃん、綺麗だが男嫌いって噂だしなぁ。」

「あぁ、本田先輩今日も綺麗だわ、お姉さま!って感じよねー。」


噂をすればだな。僕はこの通学路でこの鷹見丘高校のイバラ姫と呼ばれている、本田響(ほんだひびき)先輩を見ることが好きだ。

はたから見ればただの変態ではあるが、この学校の誰が告白してもOKをしないともっぱらの噂になっていて、大半の男子は遠目から眺めているだけということだ。

 要するに眺めるだけならほかの人たちと同じで特にやましいことはないということである。これが僕の楽しみだ。

 学校についてからも有名人なだけあっていろんな人が本田先輩をみて噂している。男子は遠目に、女子は黄色い声援だ。

 スラっとした高身長で、可愛いというより綺麗めな先輩は一部の女子からお姉さまと呼ばれて慕われているらしい。男子連中が作ったファンクラブもあるらしいが、本当かどうか定かではない。

 こんな有名人だからこそ授業中でも注目されるらしく、校庭で体育などしていたら教室の中がそわそわしだす。


ーーー昼休み


普段は弁当を作っているのだが、今日はばたばたしていたのもあって食堂兼購買へ向かうことにした。

昼休みが始まったばかりとあって食堂も購買は人でにぎわっている。僕は特にひ弱というわけではないが、さすがに野球部やラグビー部などがたいがしっかりしている運動部の面々がいるところに突っ込もうとは思わない。

 ある程度落ち着いてから買いに行こうと席を探していた時だった。


どんっ!...ガッシャーン!!


席を探すことに集中していた僕は、急に横から来た人影に気付かなかった。

器が落ちる音が響く。急に音がなくなったみたいにシーンとなる。大きな音が響いてなんだなんだと静かになったのもあるだろう。

だが一番の要因はその器を落とした人物であろう。

器を落とした人物は、学校でもあまりいい噂を聞かない窯田省吾(かまたしょうご)という人だったことだろう。


「おいおい、誰だよぶつかってきやがって。俺のうどんがこぼれちまったじゃねぇかよ。あぁ?お前一年かよ、一年のくせに先輩にぶつかって謝りもしないのかよ。あ?なんか言ったらどうだよ一年」

「す、す、すみません!ほ、ほんとよそ見してて……。」

「よそ見してただぁ?お前の注意力が足りねぇんだろうが、おい、俺の制服汚くなっちまったじゃねぇかよ。え?どうしてくれんのよ。」

「す、すみません!クリーニングしますんで!!」

「あぁ?クリーニングだけ?もしかしたら火傷してたかもしれねぇんだぞ、そんなんですむと思ってんの?まぁいいや、気持ちわりぃし着替えよ………おまえ放課後に体育館裏な、逃げたら承知しねぇから。」


 去り際にぼそっと僕にだけ聞こえる声で言われた言葉を聞いて僕は「あぁ、僕の平穏な日々よさようなら」と思った。

 結局その場では何もなかったものの、放課後に呼び出しをっ食らった僕は、午後の授業にも身が入らず、いつの間にか放課後になっていた。

 重い足を引きずりながら体育館裏へと向かう。

 体育館裏にはすでに先客がいた。


「お、一年。逃げずに来たか、いい度胸してんじゃねぇか。で?クリーニング以外にすること思いついたか?」

「い、いえ。僕はお金持ってないですし、お、思いつかなくてすみません。」

「ふぅん、思いつかなかったんだ。金ない奴から金取ったところで特に面白いこともねぇしなぁ。あ、いいこと思いついた、俺も恥かいたんだからお前が恥をかいている所をビデオに収めるってのも面白いな。」

「は、恥をかくところ?と、特にそんな状況になることないと思うんだけど……。」

「は?無いなら作るんだろうが!お前にゃイバラのお姫さんに告ってもらうとするか。お前みたいなやつじゃ間違ってもOKもらえるわけないし、断られるところを撮って校内にさらしてやるよ。」

「え、本田先輩に、告白ですか?む、無理に決まってるじゃないですか!!そんなの断られるにきまってます!」

「いや、お前に選択権なんてねぇから。わかってる?お前が悪いことしたからそのお詫びに告白させんの、だからおまえは告白する以外選択肢なんてないの。」

「す、すみません。で、でも絶対断られるから別のにしたほうが……。」

「お前に選択肢は無いって言ってんだろが!!いいからおまえは黙って従えって言ってんだよ!!あぁくそ、イラつかせるなぁ、いいか?三日後の放課後に告白しろ。告白しなかったり、逃げたら許さねぇからな?」

「は、はい………。」


こうして僕は本田先輩に望んでもいないのに告白することになってしまった。

それから三日、本田先輩に手紙を送ったりしていたが、なぜか窯田省吾から絡まれることはなかった。

そして、冒頭の告白シーンにもどる。


------------------------------------------


僕は昨日、本田先輩に今日の放課後屋上に来てくれるようお願いする手紙を出した。本当に来てくれるかは半分かけだった。

窯田の姿は見えないが、あれだけ目立つ本田先輩という目印がいるんだ。あの人を見張っていればいいって魂胆だろう。

僕も来ていないだろうと思いながら、屋上へと向かった。


ガチャッ


公立高校にしては珍しく、うちの高校は屋上を開放している。と言っても屋上にはベンチが3個ほど置いてあるだけで特にみるものもないため、そんなに人気の場所というわけでもない。

要するに人気が少ないから絶好の告白スポットというわけだ。

5分ほど待っていると、


ガチャッ


屋上の扉があく音がする。

ベンチに座っていた僕は後ろを振り向く。

そこにはまさか来るとは思っていなかった本田先輩の姿があった。


「あなたね、私を呼び出したのは。」

「はい、すみません、お忙しいのに来ていただいて。」

「大丈夫よ、私、こういった呼び出しは絶対に来るようにしているから。内容がどんな内容だろうとね。」

「ありがとうございます……ふぅ。」


僕は緊張して落ち着かない気持ちを落ち着けるために一度深呼吸をする。


「本田先輩好きです!付き合ってください!」


緊張していた割には案外すんなりと言葉が出た。多分振られるとわかっているのもあるから心の準備ができていたのかもしれない。

これで僕の三年間の学校生活も終わりか。それにしても窯田の姿が見えなかったな。そんなに気配を消せるなんてあいつ思ってるよりもずっとやばい奴なのかもしれない。


「ふむ、君は本当に私のことが好きなのかい?」

「そ、それはどういうことでしょうか?!」


本田先輩から発せられたのは告白に対する答えではなく質問であった。


「いや、そのままの意味だよ。君が残念ながらこの学校に存在するやんきーに絡まれていたという噂を聞いてね。何かしらそいつに吹き込まれてきたんじゃないかと考えていた所さ」

「知っていたんですね。あの人に絡まれたのは事実です......。で、でも!本田先輩のことが好きなのも本当なんです!告白するつもりはなかったんですが、あの人にけしかけられたというか……」

「君は結構ヘタレだったのだね。」


ついてんぱって思っていることをそのまま答えてしまって、本田先輩にもヘタレ認定されてしまったようだ。


「申し訳ないです。それで付き合っていただけますか?」

「そうか、そこまで言ってくれていることだし、付き合おうか。」

「ですよね......やっぱりじぶn...えっ!!付き合っていただけるんですか?!」

「なんだい?意外かい?」

「あ、当たり前ですよ!いままで誰の告白もOKしなかったのになんで僕に限ってOKなんですか?!」

「その質問に答えようか。といってもただの気まぐれさ。なんとなくだね、まあ君が私を飽きさせなければ、続くと思うよ。」

「が、がんばります……」


こうして、僕は本田先輩と付き合うことになった。

ただ学校の有名人と付き合うっていうことは様々な困難が待ち受けていて、僕の平穏な日々は終わりを迎えるだろう。

その大変な日々はまた別の機会に。




























------------------------------------------

Another View


「省吾、よくやってくれたわ、全部あなたのおかげね。」

「ったく、人使いが荒い幼馴染だぜ。で?ここまでして付き合いたかった相手なのかよ。見た限りひょろっとしたやつだったがな。」

「あの子のことを悪く言うなら省吾でも許さないよ?人は見た目じゃないんだよ♪」

「そうか、悪かったな。俺はあいつに多分よく思われていないからできるだけかかわらないようにするさ。」

「あたりまえじゃない。もしあの子を怖がらせるようなことがあるならユルサナイから。じゃ、帰るからあとよろしくね~」


告白のあとに行われた会話は誰にも知られることなく終わったのであった。

皆さん、いかがだったでしょうか?

あえてすっきりしない終わり方をしたんですが、まあ察しのいい方は何となくなんでこうなったのか想像できるかなぁとか勝手に思ってます。


よければ感想とか評価をしていってくれると作者も歓喜するのでよろしくおねがいします!!

作者はベランダで裸で日向ぼっこをしながら待っています。


このAnother Viewとして短編をもう1作上げているのでそちらも合わせてどうぞ〜

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