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燐燃ゆ  作者: stepano
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第二回


(第二回)


 合田は地図を広げていた。

「しるしは尖った断層のある一帯でその付近に黄斑の樹木が存在している」

 自分は黒部峡谷のひなびた温泉の小屋でこの話を聞いた。二人でそのしるしを探しにやって来ていたのだ。

 

 当時自分は餓えていた。

すべてに活力を投資した賃金労働者という身分も組織の欺瞞と虚栄と腐敗に自分自身の理想をズタズタに切り裂かれていた。そして賃金労働者という職を辞めてぶらぶらしていた。思うことは常に潜んでいる自分の可能性についてでありそれがために自分の活路を開くため餓えていた。だから合田が朝日海岸という日本海に注ぐ富山県の海岸で翡翠の混じった原石を約一貫目ほど拾ったという話を持ってきたときは正直、自分の餓えていたものが閃いた。


 翡翠の原石を加工業者に渡し宝石商へ流せばそれ相応の金になると合田は言った。自分があくせく働いてきた会社の賃金とそれはほぼ同額といえた。合田は当時中堅サラリーマンであり、自分みたいに欺瞞的、虚栄的、腐敗的な組織に飽いたり懐疑を抱いたりはしていなかった。単に冒険心をくすぐる演技だけには長けていたのである。


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