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燐燃ゆ  作者: stepano
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第一回


 (第一回)


祖父の葬式が済んで白くガラガラになって焼けた骨の欠片を拾うため自分はみんなと一緒に立ち上がった。 火葬場の一室へ向かいそこに置か れた焼けたばかりの棺桶の中に埋まった祖父の残骸を覗いた。みんなは四方に立って無言だった。やがてカサカサと拾い始める音が一室に流れ始めた。

 

自分は祖父がどういう人だったかほとんど知らなかった。

「ま、山師というか変なお爺ちゃんでいつもどこかへ出掛けていたわ」

 自分がまだ小学生のとき母が教えてくれた。そのときはまるで何も思わなかったのだが、第一、「山師」という言葉はどういう意味なのかさえ理解できずそのまま忘れて過ごしていた。

 骨はあばら骨がまず目に入り下の空洞が小さなドームのように曲線を描いている。


「それがよお、発掘すれば億万長者間違いなしだって」

 突然合田の声が甦ってくる。彼の顔はへらへら笑い歯を剥き出してよだれを落としかねなかった。そうだ自分はこのときに気付いたのだ。


 母が子供のとき教えてくれた「山師」という謎のような血流そのものを。なぜかというと自分はその後ぶらぶらしているときがあって一日中仕事もせず寝転んだまま「国語辞典」をめくって読んでいたときだったた。

 ふと「山師」の意味の用語が目に触れたのである。

 鉱脈を探すのを職業とする人。冒険や投機などを好んでする人。詐欺師。…今度はそのときからそのままその言葉を理解したままそれを意識の片隅に放っておいてきた。

 合田との付き合いは実はこの発掘という不思議な魅力に取り付かれて始まったといってよかった。自分の血はこの祖父と同じ血が流れていたことがこのときようやく分かるような気がした。



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