1話 リザコン
カチャカチャ カチャカチャ
薄暗い部屋にコントローラーの音だけが鳴り響く。1人で黙々と無双ゲームをする男の名前は "白宮 タクヤ" 。アルバイトをしつつ空いた時間にゲームをする30歳のフリーターである。
(勝利!!)
そう画面にでかでかと文字が表示されフゥーと肩を撫で下ろしコントローラーをポイっと投げた
趣味はゲーム特技はゲーム。
そのゲームの名は"四国無双"。
舞台は戦国時代の中華がモチーフになっており。無双ゲームとあるがPVP要素が強く実際は戦略ゲームに近い。今までにないゲーム性で話題を呼び発売当初はゲーム市場で上位に食い込んだこともある。
タクヤは発売初日から半年間、今に至るまでやり込み続けランクマッチでは常に上位。検証勢として攻略wikiにも貢献してきた。
そんな彼だったがいまこのゲームに対して抱いた感情が口からこぼれ落ちる
「おもんな…」
そう思いはじめたのは1ヶ月ほど前のことだっただろうか。発売初日にあった異常なくらいのモチベーションは今ではかけらも残っていない。
その原因は明らかだった。
ゲームバランスの悪さである。
キャラやマップの開拓が進むにつれて如実に現れてくる。上位勢になればなおさらだ。
「なんか… 疲れたな…」
リザルト画面になったモニターの横で床に項垂れゆっくりと眠気が襲う。
なんか昔のアニメでこんな場面あったなと思いつつそのアニメのタイトルを思い出そうとしたときそれは起きた
ガタ… ガタガタガタガタガタガタ!!!!
ん… 地震…?! しかも結構でーーーー
気づいた時には遅かった。
倒れてきた本棚に後頭部を思い切り叩きつけられた。
意識が遠のいていく…
目の前のリザルト画面が嫌に記憶に残っていた…
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クヤ… ク… ヤン
「クヤン! パパだよ〜」
「良い名前ね 今日からあなたの名前はクヤンよ よろしくね」
30後半の夫婦と思わしき人物が覗き込むように顔を近づけ僕の頬にキスをした
ここは… どこだ…? 僕はさっきまでゲームをしてて… この人達は誰だ… ?? んぇっ?! キス?! やめろ!髭が当たってる!くそっうまく身体が動かせない…
「んギャァアアアア‼︎」
んギャァアア?
「ちょっとお父さん! 髭が当たって痛いって言ってますよ!」
「えっ!!!!! クヤンゴメン!!!すぐ髭剃ってくるから許してくれ〜〜!!」
そう言い残してドタバタと部屋の奥に駆け込む
「んもうあの人ってば… さっ クヤン おっぱいの時間でちゅよ〜♡」
えっ ちょッ… やめッッッッ……
この時僕は理解した…
ムギュゥゥウ (胸にうずくまる音)
僕は
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
異世界転生したという事に