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 「さっきのあれって淡い、そして禁断の恋のお誘いだったんじゃねーの?」


 オオグが部屋に戻ると、ニヤニヤとエステルが意地の悪い笑みを浮かべてそんなことを言ってきた。


 「お前もアホなこと言ってないで女子部屋行ってさっさと寝ろよ」


 「あっちはお子様でキチキチだから。

 つーか、お前もほんと、変なとこで女運あるよな」


 女難の間違いだろう。


 「はぁ、で、わざわざ起きて待ってた理由は?」


 「バジル様の母親、王妃様がいるだろう場所の情報。

 んで現状。全部調べた」


 「早いな」


 「リオの伝手も使った」


 「なるほど」


 「ついでに面白いことがわかった」


 「なんだ?」


 「このお家騒動にはまだ裏があった」


 「裏?」


 「なんで王妃拐われたのか? 国家機密だから詳しいことは教えてもらえなかっただろ。王位継承関連としかさ。

 だから調べた。そしたら」


 「そしたら?」


 「誰が次の王様なのか、それを聞き出すために拐われたっぽいことがわかった」


 「王位継承って普通上から順じゃねーの?」


 「国によって微妙に違う。

 聖ルクシミリオン王国は、神様からの指名制らしい」


 「なんだそりゃ」


 「国民向けのパフォーマンスとして順位付けはしてるけど、実際は聖女が神託を受けて次の王様を発表するらしい。

 そしてその聖女は今回拐われた王妃様のことだ」


 あからさまにオオグが嫌そうな顔をした。

 

 「ここでも結局神様が物を言うのか」


 「どこでだって同じだ。絶対的な何かにすがるくらいしないと世の中は理不尽で溢れまくってて嫌になるもんだろ。

 で、今回聖女は次の王様に関する神託を受けたらしいんだよ。

 でも、何故かそれを誰にも言わなかった。

 誰が次の王様なのか明言しなかった。

 さて、これについてどんなことが考えられる?」


 「神託の時点で神様からも曖昧な情報しか教えてもらえなかった。

 もしくは、その聖女、王妃様がわざと言わなかった」


 「そう。そう言うことだ。

 ちなみに今回は後者な。わざと言わなかった。

 なんでそんなことまで調べられたんだって顔だな。

 こっちにはその気になれば神様ですら、世界を越えて殺せる武器を持ったやつがいるだろ」


 ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてエステルは言った。


 「ソータのスキルを使ったのか」


 「そう言うこと。ハルにバレると滅茶苦茶怒られるから内緒な」


 ソータが持つ能力。ギフトとかスキルとか呼称される物の中でも特別な、特殊な部類、いわゆるチートと呼ばれるそれを使ったのだろう。

 

 「ってことは、わざわざ侵入してきたのか? 王妃様のとこに」


 エステルはその問いに首肯した。


 「大事な生徒を巻き込むんだ、舞台くらい整えておかないとだろ」 


 やらせ、と言うなかれ。これも授業のためだ。

 エステルとソータは王妃であり聖女でもあるバジルの母親が囚われている場所を突き止めて潜入、接触し、情報を引き出すと記憶を消して戻って来たらしい。

 

 「で、その次の王様って誰なんだよ?」


 「アルストレーナ」


 「はい?」


 「我らが生徒のアルストレーナさんだ」


 「ちょっと待て、なんでそうなる?」


 「なんか、その辺は王妃様も神託を受けるまで知らなかったらしいんだが、どうやらあの子、所謂王族の隠し子らしいんだよ」


 「時代劇とかでたまにネタになるアレか?

 落とし胤ってやつか」


 「それそれ。良かったなお前玉の輿じゃん」


 「アホなこというな。

 あ、でもそういうことか。自分の夫の浮気相手の子供が王様に選ばれたから言わなかったのか。自分の子を王様にしたくて」


 なるほどなるほど、と一人で勝手に納得しているオオグにエステルが続ける。


 「ちょっと違う」


 「何が?」


 「バジル様も、その兄で行方不明のセージ様も王妃様の子じゃない」


 「なんだそれ?」


 「王妃様の姉が本当の母親。

 今から二十五年くらい前に、聖ルクシミリオン王家でちょっと血生臭いゴタゴタがあって、その時に今の王様がいったん王族から除名になったんだ。

 で、追放された後にアルストレーナさんのお母さんと出会って結婚。

 バジル様達を授かった直後に今の王様は王族に戻された、んでそれから五年後くらい、今から十年くらい前に今度は貴族のゴタゴタでそのお母さんは追放された。

 まだ妊娠に気づいてなかったんだろうな。そこからどういう経緯があったのかはわからないけど、アルストレーナさんが産まれた。んで今に至るってわけだ」


 「で、今度は次代の王様として指名された、と」


 「そういうこった。こっちの神様の考えは今のところ読めないが、結局録なもんじゃないってのは異世界共通みたいだな」


 「なんと言うか、ドロドロしてんなぁ」


 「で、どうする?」


 「何が?」


 言いつつ、エステルが気配と足音を消して部屋の扉に近づいて、開けた。

 すると、聞き耳を立てていたのだろう。

 小さな銀色が、不意打ちによって部屋に転がり込んできた。


 「全部聞かれた」


 「聞かせた、の間違いだろう」


 エステルの簡潔な説明に、オオグはあきれたように返した。 

 




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