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 企業体験でお世話になっている冒険者ギルド【綺羅星】の建物の前まできて、バジルとは別れるはずだったのだが、アルストレーナ達が冒険者であると思い込んでしまった彼女はなんと依頼を申し込んできた。


 それに対応したのはリオだった。

 当たり前だ。リオはここの責任者である。

 たかが体験学習の生徒とその引率の教師では相手はできない。


 とりあえず、冒険者に依頼を出す場合のルールを説明し、まずは国際冒険者ギルドへ依頼を出すことを進めたがバジルは大事にしたくないとそれを拒否した。

 では何故大事にしたくないのかという疑問を投げられて、彼女はその説明を渋った。

 依頼内容はどこにでもある、いたって普通な護衛依頼だ。

 普通でないのは彼女の事情なのだろうと察せられた。

 さすがにただの生徒であるアルストレーナとレンに聞かせることが出来ないと判断したオオグは二人を街に連れ出した。

 近くに観光地もあるのでちょうど良かった。

 その間に、彼女を実質助けたエステルも同席して、話を聞くことにした。


 「まず、こちらの身分を説明すると。私はエステル。天空第一総合学校の教師。さっきまでいたオオグも教師。一緒にいた女の子二人は生徒。

 勉強の一環でここで冒険者の仕事を体験させてもらっていた」


 「天空、あの有名な?」


 バジルは驚き、そう聞き返す。


 「たぶん、その有名な」


 その返しに納得したのか、バジルは、


 「道理で強いはずです」


 そう呟いた。

 エステルの横にはリオが座っていて、口を挟んだ。


 「バジルさんを襲っていたのは、隣国の聖ルクシミリオン王国のヴェルサス領領主お抱えの魔法騎士団のようでしたが?」


 エステルが返り討ちにした者達が身に付けていた防具には、どこの所属かわかるように印があった。

 エステルの記憶が正しければ、それはヴェルサス領領主の家紋だったはずだ。


 「その通りです」


 「もしかして不法入国を見とがめられて襲われたのですか?」


 金髪を持つ者は基本貴族だが、希に貴族の中に黒髪の者が生まれるように金髪の平民も生まれる。

 彼女は平民で、何らかの理由で国境を越えてしまい警備をしていた魔法騎士団の攻撃を受けたのではないかと考えた。


 「それは」


 バジルはまた言い淀んでしまう。

 リオが痺れを切らして、言った。


 「貴女、聖ルクシミリオン王国第一王女のバジル様ですよね?」


 「な、なんで知って?」


 「ここは交易が盛んな国で。他国の王族の肖像画のレプリカなんかが比較的安価で売られていたりするんです。ちょっとしたお土産物としてね。

 そこで見た肖像画にそっくりだったので」


 バジルは俯いて、しかし、嘘はつけないし誤魔化せないと思い話始めた。

 その話を聞いて、エステルがつまらなそうに返す。


 「そこまで大きくなってないし、眉唾物だと思ってたお家騒動本当のことだったのか」


 「知っているんですか?」


 「まぁ、情報は常に集めてるので。

 それで、そんなお姫様があんなところで何をしていたんですか?」


 「エステル」


 リオが嗜める。

 これ以上は学校教師が首を突っ込んでいいことではない。

 しかし、エステルはそれを制して続けた。


 「いい授業になる。秘密は守らせる。

 そして貴女はこのことを内密にしたい。

 こちらとしては少しだけ利害が一致しているうえ、学校としては王族に恩が売れるチャンスだ。

 バジル王女様。貴女もこちらを利用できると考えて仕事を持ちかけたのでは?」


 「その通りです」


 「再度お聞きします。バジル王女様は何故あのような所にいたのですか?」


 少しの沈黙の後。

 バジルは話始めた。

 彼女は、拐われた母と姿を消した兄を探すためにヴェルサス領にお忍びで来ていたらしい。

 もちろん信頼できる護衛とともに。

 しかし、その護衛が裏切ったらしい。

 叔父でもあるヴェルサス領領主ルベウスの下に強制連行されそうになり、逃げ出してきたというのだ。

 それに気づいた護衛とルベウスが魔法騎士団を派遣し捕まえようとしたとか。


 「あぁ。なるほど」


 そこでエステルは納得がいったらしい。


 「だから、魔法騎士団に襲われながらも軽傷だったんですね」


 本気を出せば彼女など瞬殺だっただろう。

 しかし、生け捕りにしようと手加減していたのだと考えれば説明がつく。


 「リオ、この依頼は俺達が受ける。

 バジル王女様、これは正規の依頼では無いので契約書と依頼書、そして誓約書をこちらで準備するのでそれにサインをお願いします。

 もちろん成功報酬もいただきます。

 しかし、その前に依頼の内容をはっきりさせましょう。

 貴女の目的について改めて説明してください」



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