プロローグ
人里離れた山の中。
木々が生い茂り、まるでお伽噺に出てくる魔女の家を思わせる古民家。
そこに、ボク達家族は暮らしていた。
「おかーさーん!」
昼食の支度をしていたらしい母は勝手口から、飛び込むように家の中へ駆け込んできたボクに、
「おかえりなさい」
優しく声をかけてきた。
「うん! ただいま!
ねぇ、外出てボクの捕ってきた獲物見てよ!」
ボクは早く今日の成果を母に見せたくて、そう捲し立てた。
今年でボクは十歳になる。銀色の髪に金色の瞳をしている。
ちなみに、女の子だ。
ぐいぐいと母の手を引っ張って庭に連れていき、今しがた父親と狩ってきた獲物を見せびらかす。
それは、巨大なドラゴンだった。
「これ、アルストレーナが捕ったの?」
「うん! お父さんにねそろそろ一人で出来るようになりなさいって言われて。血抜きとかはこれからだけど、それも一人でやりなさいって言われた!
でも、まずはお母さんに見せて驚かせるようにって言われたんだ」
「そう、スゴいわね。さすがーー」
そこで、母の言葉が止まった。
少しそこから先の言葉を躊躇したようにも見える。
「お母さん、どうしたの?」
言葉が途中で止まった母を、ボクは見上げた。
その理由をボクは知っている。
「何でもないわ。さすがお父さんの子ね」
そう言って、優しく頭を撫でてきた。
お父さんの子、そう言われるのはやっぱり嬉しい。
何故なら、ここで出てくるお父さんとボクは血が繋がっていないのだ。
「そうそう?
でも、ボクとお父さんってあんまり似てないでしょ?
耳も長くないし、肌だってお父さんと違って白いし。
まぁ、血が繋がっていないから当たり前なんだけどさ」
「その色は、アスターの色だから良いの。
貴女がいるからアスターのことを忘れられないでいるしね」
アスターと言うのは、ボクの本当のーー血の繋がっている方のお父さんの名前だ。
ボクの今のお父さんの名前はトール。本当のお父さんが人間なのに対し、今のお父さんはダークエルフと呼ばれる種族だ。
そう、ボクの本当のお父さんはこの世にもういない。
本当のお父さん、アスターはボクが生まれる前に、街に仕事にいった時に暴走馬車に跳ねられて死んでしまったらしい。
今のお父さんは、お母さんと本当のお父さんの幼馴染みでとっても仲が良かったらしい。
最初は、亡くなった幼馴染みであり親友の代わりに何かと気を使ってくれていたのだが、ボクが生まれる時に一大決心をしてお母さんと一緒になったと言うことだ。
天国のお父さんもお母さんのことを大好きだったと言うし、嫉妬してないかちょっと心配している。
と、そこに今のお父さんがやってきた。
「今日はアルストレーナが初めて一人で狩りを成功させたからな、御祝いをしようぜ!」
「そうね。夜はご馳走にしましょう」
「じゃあ、ボクこのドラゴンの尻尾のステーキがいい!」
「はいはい。それじゃ解体頑張ってね」
「うん!」




