三日目
俺の朝は妹の声を聞いて始まる。
「兄貴、さっさと起きろいつまでそんなところで寝てるのよ」
そんな所ってここ自分の部屋……だよな?
なんかいつもより寝心地が悪いような気が……。
ちょっと、転がってみよう。
痛い、床に頭ぶつけた。昨日はソファーで寝てしまったらしい。
毛布が掛かってたってことは可憐が掛けてくれたのかな。
それは、嬉しいんだけどぶつけたところがまだ痛い。
痛くてうずくまってると「そんなところで寝てないで早く起きろ」って言いながら蹴られた。
今の蹴り勢いあったなぁ……。あんまり痛くはなかったけど酷いよね。
何も蹴らなくたって良いじゃん。
そんなことを思いながら可憐の方に目をやると朝食の用意をしていた。
とりあえず着替えてくるか。
着替えが終わりリビングに出ると朝食がおいてあった。
可憐はどうやらもう学校に行ったみたいだ。
俺もさっさと済ませて向かうか。時間は遅刻ぎりぎりだが家から学校までが近かったおかげでなんとか間に合った。
近いところに住んでて良かった……。
「おはよう、御影さん」
「お、おはようございます……」
何で敬語なんだろう。昨日から、敬語とタメ語がごっちゃになってるように思える。
そんなに緊張してたのかな。
やっぱり、初めて喋る人とだと緊張したりするタイプなのかな。
あんまり意識してなかったけど、今日は視線感じなかったな。
この前までの視線が嘘みたいだ。
「あ、あの!良かったらお昼一緒にた食べませんか?」
昼休み、いつも通り食べようと思ったら御影さんに誘われた。
いつも可憐と食べているのは昨日聞いてたんだけどまさか俺も誘われるとは思ってなかった。
あまりに急のことで返事に戸惑ってしまい。御影さんを不安にさせてしまったみたいだ。
凄い申し訳なさそうに「あ、あの。ご迷惑でしたか?」って聞かれてしまった。
「あぁ、いや。大丈夫だよ。い、一緒に食べよっか」
流石に断るわけにはいかないよな。せっかく誘ってくれたんだし……。
御影さんについていくと案の定可憐がいた。
「なんでこいついんの?」みたいな目で見ないで……。
朝、珍しく優しいなとか思ったけど訂正して良いかな?良いよね?
やっぱり俺の事嫌いだろ……。
二人はいつも学食のテーブルで食べてるみたいだ。
二人が楽しそうに喋ってる間に入ることが出来る気がしなかったから俺は二人の会話を聞きながらおとなしく食べることにした。
「成未君、良かったら私のお弁当味見しみませんか?」
え?俺の聞き間違えかな?味見してみませんか?って言った……よね。
このままだと誘われたときと同じ感じになってしまう。
「俺で良かったら味見するよ」
ちょっと味見するだけだから何も問題無いよね。
それに、御影さんなんだか嬉しそうだった。あんな笑顔で「ありがとうございます」って言われたらちょっと調子にのっちゃうよね。
卵焼きを一つ貰った形は凄く綺麗に出来てておいしそうだったんだけど。結構塩辛かった。
これは、どうするべきか。素直に教えてあげるべきか少し偽るべきか。俺は10秒くらい悩んで素直に言ってあげることにした。
「割と、塩辛いね。塩入れすぎだと思う」
なんかかなり残念そうだった。
ごめんよ……。
「ま、まぁ。味見くらいならいつでもしてあげるから、ね?」
機嫌を取り戻してくれたみたいだ。
それで、可憐さん。そろそろ足踏むの辞めていただけませんかね?ちょっと痛い。
俺の意思が届いたのか踏むのは辞めてくれたけど、何か機嫌悪そうだった。
ともあれ、無事昼食を済ませ、弁当をしまっているとめんどくさいのに見つかった。
「よっ!ん?そっちの可愛い子二人は誰?」
挨拶するまで笑顔だったのに聞くときめっちゃ真顔なんだけど。
取りあえず、クラスメイトの御影さんと妹の可憐だと紹介した。
「可憐ちゃんと御影さん、ね。よろしく!」
御影さんは多少おどおどしながらも挨拶してたけど可憐は、めっちゃ睨んでから「よろしく」とぼそっと呟いた。
可憐ってこんなに人見知りだったかな。
幸い睨まれてた事に和樹は気付いて無いのか嬉しそうだった。
正直ちょっとキモい。
こいつは調子に乗らせるとやっぱりめんどくさいなと改めて思った。
そんなこんなで学校も終わり俺は珍しく可憐と一緒に下校した。
あまり可憐と一緒に下校しないのには理由があった。
ただ、嫉妬の視線が凄く嫌なだけなんだけどね。
可憐は学校で人気者らしく謎のファンクラブまであるらしい。
昨晩そんな話を聞かされたとき一緒に帰ってたときやたら見られてるのはそういうことだったのかと思った。
正直怖いよね。
そんなわけで普段は一緒に帰らないんだけど今日は可憐に一緒に帰ろと言われてしまって今に至るわけだ。
ちらちら見てきて何か腹立つな。
10分程度の帰り道のはずなのに凄く疲れてしまった。
家の中がどんなに気が楽か改めて思わされる一日だった。
今日の晩飯は至って普通?だった。
何故疑問系になったのかメニューとみればわかるだろう。
ご飯、味噌汁、サラダと唐揚げそして何故か卵焼き……。
何故俺の皿に一つだけ卵焼きがあるのか聞いても無視されてしまう。
ま、まぁ卵焼きがある分には普通……だよね。
何故俺のだけなのかわからないけど。
そんなことを思いながらも全部おいしく頂きました。
「ごちそうさま。いやー、可憐の料理はおいしいなぁ」
食器を洗っていたので表情は見えなかったがちょっと嬉しそうに見えた。
後は風呂に入って寝るだけ。風呂も無事終え歯磨きをしようと洗面所まで行くと丁度風呂から出てきた可憐と鉢合わせた。
俺は、歯磨きの用意だけ取ってその場を後にした。
あの場で止まっていたらまた殴られるところだっただろう我ながら言い判断だ。
ちょっと上機嫌で歯磨きをしていると可憐に蹴られた。
今日はいつになく暴力的だな。
「どした?今日やけに暴力的じゃないか」
「私がお風呂に入ってるときは近づくなって言ったでしょ!この、バカ兄貴!」
めっちゃ怒られた。
そー言えばそんなこと言われてたな。
忘れてましたごめんなさい。
今日の夜はいつもより少し騒がしかったが、無事一日の終わりを迎える事が出来た。
はい、恋夢です!
三日目になりました!正直ここまで続いたのは初めてです。
気に入った作品を書くのは書きやすいし楽しいので良いですね!
それでは、次の作品でお会いしましょー!