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十四日目

俺の朝は妹の声を聞いて始まる。

「兄貴、起きろ。早く……」

今日は妙に急かしてくるな。

「おはよ。どうしたそんなに急かして」

「今日は一緒に行きたい」

「わかった」

最近ほんとに雰囲気というか俺に対しての扱いが変わったというか謎だよね。

それに平日の朝にこんなに会話したのは初めてかもしれない。

そんなことを考えるのは変な話しかもしれないが、記憶をいくらたどっても出てこない。

俺が忘れているだけかもしれないがそれは今は置いておこう。

可憐が出る時間に合わせて行くため急いで準備を済ませ朝食を取る。

この時間に出るのは久しぶりだ。

「なぁ、可憐。今日は急にどうしたんだ?」

「別に、ただ行きたいと思っただけ」

ぶっきらぼうにそんなことを言う可憐。

若干拗ねているようにも見えるが、可憐が拗ねるような事があった記憶は無いため勝手に拗ねているわけではないと判断した。

仮に何かあったとしても聞いたところで教えてくれないのは明白だ。

ならば、聞かない方がお互いのためだろう。

それに、意味も無く可憐が拗ねるような真似なんてしないだろう。

「兄貴、ほんとに勉強会するの?」

「いつも二人だしな。皆でやるのも良いんじゃないかなって思ってさ。いや、だったか?」

「別に、嫌じゃ無い。ただ……」

「ただ?」

「やっぱり何でも無い。勉強会楽しみにしてる」

「そ、そうか。まぁ、そうだな。二人で先帰ってお菓子でも作るか?」

「うん」

あ、機嫌直ったっぽい。よくわからないな、ほんとに。

さっきと雰囲気は一変して楽しみというのが伝わってくる。

しかし、こんなに早い時間にいつも可憐は学校に来てるのか。

この辺り誰も歩いて無いじゃ無いか。

まぁ、ある意味都合は良いが……。

「兄貴、じゃあまたお昼」

「おう」

下駄箱で可憐とは分かれそれぞれの教室に向かう。

教室に向かうと案の定鍵が開いて無く、仕方無く職員室まで鍵を取りに行った。

こんなに早く来ても誰もいないし、暇で仕方無かった。

少しするとクラスメイトが段々来てクラスが賑やかになり始めた。

優香ちゃんは……まだ来てないのか。と、思っていた矢先に優香ちゃんが来た。

「おはよう。優香ちゃん」

「おはようございます。今日は早いんですね」

「可憐と一緒に登校してたら早く来過ぎちゃって」

「そうなんですか」

「そうそう」

学校のチャイムが鳴る。担任が教室に入りホームルームが始まる。

午前の授業の間優香ちゃんがこちらのことをちらちらと見てくる。

まるで昔に戻った時のように。

「優香ちゃん、どうしたの?そんなにこっち見て」

「え、いや。なんでもない……」

どうしたんだろうか。

まぁ、これ以上深く聞いても仕方無いしこの話しはここで終わっておこう。


「優香ちゃん。食堂行こう」

特に何事も無く昼休みを迎えた俺は優香ちゃんを誘って食堂に向かう。

いつもの所に玲奈ちゃんと可憐が座っていた。

なにやら揉めている様子だ。

「可憐、ずるいよ!」

「何がずるいの?」

「朝、お兄ちゃんと一緒に早く家でたでしょ」

「そうよ。というか、私の兄貴なんだからいい加減その呼び方辞めたら?」

「良いじゃん。お兄ちゃんから許可貰ってるんだし」

「良くないの!」

「二人ともその辺にしてご飯食べよう?」

「「うるさい!」」

えぇ……。

注意しただけなのにそうして俺が怒られないといけないんだよ。

こんな事前にもあったよな……。

やっぱり、この二人かなり仲良いよな。

お互い名前を呼び捨てで呼ぶくらいの仲になっている。

喧嘩するほど仲が良いとはまさにこのことじゃ無いだろうか。

俺と優香ちゃんはお互いに苦笑を浮かべ黙って食事を始める。

二人が落ち着くまでやって終わるのを待つしか無い。

「今日の勉強会の事何だけど俺の家で大丈夫?」

「うん」

皆それで良いらしい。

「あ、そうだ――」

何かを言おうとした瞬間にチャイムが鳴り、昼休み終わりが終わりを告げている。

何か言おうとしたら終わってしまった。

それからは特に何かあるわけではなく、放課後を迎えた。

「優香ちゃん、俺先帰って勉強会の準備しておくから玲奈ちゃん連れてあとで一緒に来て」

「わかりました」

俺は急ぎ足で家に帰り、お菓子作りの準備をしようとした。

鍵を差し込むと空回りする。

もう、可憐帰ってるのか。早いな。

「ただいま」

「おかえり。遅いよ、早く作らないと二人来ちゃうじゃん」

「あぁ、そうだな。早く作るか……って下準備はもう終わってるのか、それじゃクッキーなんかの型取りするか」

「うん」

可憐はなんだか活き活きしている様に見える。

そんなにお菓子作りたかったのか。料理に最近ハマってるのかな。

型取りを終わらせ、オーブンで焼いている間に俺は小さめのケーキのような物を作る。

スポンジパンに生クリームを盛り付け溶かしたチョコを塗る。

ミニチョコレートケーキみたいな感じだ。

クッキーがちょうど焼き上がった頃くらいに玄関のチャイムが鳴る。

「はーい」

「お待たせしました」

「お兄ちゃん来たよー」

「いらっしゃい。入って入って」

「「お邪魔しまーす」」

二人をリビングまで案内すると可憐がクッキーとケーキを並べてくれていた。

「わぁ……。これ全部作ったんですか?」

「まぁ、うん。クッキーは可憐がほとんど作ってくれたから俺はケーキを作ってみた。味に自信はあんまりない」

四人でテーブルを囲み勉強しながら皆で喋る。

わいわいと賑やかにする勉強は初めてだ。

俺は主に優香ちゃんの勉強を見ていた。

玲奈ちゃんの方は最初は俺に色々聞いていたが可憐が「私が教えてあげる」と言って玲奈ちゃんのことは可憐が見ている。

たまに教えたりはするが、基本は優香ちゃんの勉強を見ながら自分の勉強をしている感じだ。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。

気がつけば日が沈み暗くなっていた。

「あ、もうこんな時間。帰らないと……」

「ほんとだ、かなり長いことやってたんだね。俺達これから晩飯にするけど食べていく?」

「うーん……」

優香ちゃんが甘えるべきかどうか悩んでいるのに玲奈ちゃんはたべたいことを強く主張してくる。

姉妹なのにここまで変わるものなんだなって思ってしまう。

「優香ちゃん、良かったら食べて行ってよ。二人も四人も変わらないしさ」

「お母さんに聞いたんですけど、食べてきなって言われたんでお言葉に甘えます」

「わかった。じゃあ、作って来るし少し待ってて」

今日は何を作ろうかな。

折角だし、お好み焼きとか久しぶりに作ってみるかな。

何枚くらい食べるかな。取りあえず、6枚分くらいの量を用意すれば良いかな。

結構な量になるけどまぁ大丈夫だろ。

作るのにそこそこな時間がかかってしまった。

「おまたせ〜」

「わぁ、お好み焼きですか」

皆嬉しそうに言ってくれる。

それだけしっかり作った甲斐だあったって事だ。

「一応、おかわりを出来る様にはしたから言ってね」

お好み焼きを皆がおいしそうに食べている。

おいしく作れたみたいで良かった。

皆の評判に満足し、少し照れてしまう。

晩飯も終え、皿洗いを済ませた俺は二人を送っていた。

「今日は楽しかったです」

「あんまり気にしないでな」

会話はそれだけだ。

俺との会話はあまり少なく主に陸上部の面々と喋っている様子。

「私達ここまでで大丈夫なので、ありがとう」

「お、おう。また明日」

二人を見送り家に帰る。

「ただいま」

「おかえり」

「今日の勉強会たのしかったな」

「そうだね。でも、私は兄貴と二人でしたかったな……」

後半のボソボソ言ってるように聞こえなにを言っているのかわからなかった。

聞いてもやはり教えてくれない。一体何なんだろうか。

まぁ、いいか。何も聞かなかったことにしよう。

こうして俺の一日は幕を閉じた。

はい、恋夢です!

これからテストシーズンに入って行くわけですがそうやって話しすすめようか考えるのが大変です。

それでは、また次の作品でお会いしましょー!

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