十三日目
俺の朝は妹の声を聞いて始まる。
「起きろ」
「ん?あぁ、おはよう」
「おはよう」
珍しく返してきた。最近、可憐の様子がいつもと違う気がする。
前は嫌いなんじゃ無いか不安に感じてたけど、ここ最近はそうでも無いような気がしてる。
うーん、よくわからない。
こればっかりはいくら考えても答えが決まらない気しかしない。
今日は学校があるのか……。
起きねば……。
重たい身体をなんとか起してリビングに向かう。
可憐は先に出てしまったらしい。
相変わらず、行くの早いよな。
そんなに早く行かなくて良いんじゃないのかななんて思ってしまう。
学校の順備を終え玄関まで行くとドアフォンがなった。
「はーい」
「久しぶり、お兄ちゃん」
「久しぶりでは無いような気はするけどね。玲奈ちゃん」
「えへへ」と照れた様な素振りを見せて笑う玲奈ちゃん。
うん、可愛い。
「優香ちゃんもおはよう」
「お、おはようございます……」
「体調の方はもう良くなったの?」
「はい、なんとか」
「良かった、良かった」
顔が赤い様にも見えるけど本人が大丈夫なら大丈夫なんだろうと思っておく。
ただ、無理だけはしないでほしい。
三人は学校に向かう。
特にこれといった会話はない。
というのも、優香ちゃんは何故か下を向いて何か恥ずかしそうにしているのだ。
気にはなるんだけど触れてはダメな気がしてならない。
玲奈ちゃんは玲奈ちゃんで友達を見つけては話しかけに色んな所に行っている。
友達が多いんだな。
「お兄ちゃん、ちょっと来て」
「ん?どうしたの?」
玲奈ちゃんに呼ばれ連れられるがままに引っ張られると、玲奈ちゃんの友達だと思われる人達がいた。
「前言ってた私のお兄ちゃん」
自慢げに俺の事を紹介される。
玲奈ちゃんの兄では無いけどね。
三人の女子から「おぉー」と関心したような声が聞こえる。
え、何がそんなに凄いの?
「お兄さんお兄さん」
「な、何かな?」
「玲奈とお風呂に入ったりするんですか?」
はぃ?
急に何を聞いてくるの?
入るわけ無いじゃ無いか。
「入らないよ」
なんでそんなに残念そうな顔をするんだろう。
この子達にはそういったことに憧れでもあるのだろうか。
「それに俺は――」
学校の予鈴が鳴る。気がつけば学校に着いていたようだ。
玲奈ちゃんの友達は行かなきゃといったように俺に一礼して行ってしまった。
「――玲奈ちゃんの兄じゃないよ」
一番大事なことを伝える前に行ってしまわれた。
最初に言うべきだったと後悔している。
教室に行けば優香ちゃんはもう席についていた。
「いいかお前ら明日からテスト一週間前だ。しっかり勉強しておくように」
朝のホームルームで担任がそんな事を言う。
明日から一週間前かぁ……。
また、ノート見せてが殺到するのかな。
中間テストの時はそうだったからそんな気はしてる。
案の定いつも寝ている奴らにノート見せてといわれた。
しかし、俺は学んだのだ。
こいつら貸すと俺の許可なく他の人にも貸してたりしたから信用が出来無い。
だから、誰にも貸さないことにしたのだ。
「ダメだ」
「何でだよ」
「お前だって他の人にも勝手に貸すだろ」
「今回しないって」
「ダメだ。今回は誰にも貸さないって決めてるんだ。お前に貸したら他の断った奴らがまた借りに来るだろ」
「ケチ……」
ケチじゃない。お前が原因だろう。
そんなこともありながらもいつもとかわらに様な午前が終わってしまった。
「優香ちゃん。行こ?」
「うん」
あまり元気がなさそうだ。まだ、体調悪いのかな。
「優香ちゃん大丈夫?」
「え、あ。だ、大丈夫だよ」
大丈夫には見えないけどなぁ……。
まぁ、これ以上可憐を待たせるのは悪いし、行こうか。
食道のいつもの場所に行くと可憐と玲奈ちゃんが待っていた。
あの二人すっかり仲良しになってるよな。
「お待たせ。可憐、玲奈ちゃん」
椅子に座ると可憐にいきなり蹴られた。
「痛っ……」
「ど、どうしたの?玲君」
真面目に心配する優香ちゃん。
可憐の方を見ると「何かあったの?」といった様な雰囲気をただ寄せながらニッコリと笑っている。
正直とても怖いです。
「大丈夫だよ。ははは……」
取りあえず笑い飛ばし無かった事にした。
「そー言えば優香ちゃん。さっきからあんまり元気ないけどどうしたの?」
「実は私、テストが不安ですよね」
なるほど、それで気分が下がっているのか。
しかし、テストでそんなに気に病むことは無いと思うけどね。
「大丈夫だと思うけどなぁ……。優香ちゃん成績そんなに悪く無いでしょ?」
「ちょうど中間辺りですねいつも」
「それなら心配要らないと思うけどなぁ」
「玲君は成績がいいので羨ましいです」
俺は自慢じゃ無いが勉強はそこそこ出来る方だ。
テストの順位で言えばいつの上位の近くいつもいる感じだ。
というのもこれくらいしか取り柄が無いのだ。
「それだったらさ、皆で勉強会しない?」
玲奈ちゃんが突然そんなことを言い出した。
可憐は何故か嫌そうな顔をするが俺は名案だなと思った。
「それだったらうちにおいでよ」
テスト期間になると毎度俺と可憐は二人で一緒に勉強する時間を作っている。
これは、可憐が去年の中間でやらかしてしまった時に可憐からお願いされて始まったものだ。
別に二人だけでやる決まりはない。
今まで誘う人がいなかっただけなのだから。
優香ちゃんはどうしようと悩んでいる様子だが玲奈ちゃんは凄く乗り気だった。
「時間が遅くなっても晩飯くらいは出してあげれるしうちなら問題無いとおもうんだけど、どうかな?」
すっかり乗り気になってしまっている。玲奈ちゃんに引っ張られる様に優香ちゃんも「お言葉に甘えて……」と言って了承してくれた。
可憐はというと何かぶつぶつ言っているのはわかるが聞き取れない。
「それじゃ、明日から勉強会って事で」
これで今日の昼休みは終わった。
午後の授業は特に面白みも無く普通に過ごしていた。
放課後になって校門まで来ると玲奈ちゃんが立っていた。
「何してるの?玲奈ちゃん」
「あ、お兄ちゃん。可憐待ってるの」
「可憐を?一緒に帰るの?」
「うん」
嬉しそうな返事が返ってきた。
やっぱり二人は仲良しなんじゃないか。
「そっか。可憐をよろしくね」
「はい!」
俺は先に家に帰って特にすることも無くグダグダしていた。
今日の当番は可憐だ。
最近料理がまた上達したように感じて毎回楽しみにしている。
「ただいまー」
「お帰りー」
可憐が帰ってきたみたいだ。
玄関まで出向くと玄関外に玲奈ちゃんがいた。
俺は「またね」と言って手を振った。
玲奈ちゃんも気付いたらしく手を振り返してくれる。
ほんと、かわいいなぁ……。
テレビを付けて適当に観ていると、可憐が晩飯を作り始めた。
何を作るのか気になって台所を覗こうとすると可憐に止められる。
一体何隠す事があるのだろうか。
無理矢理見るわけにも行かず大人しく引き下がるが楽しみな気持ちまでは押さえられなかった。
出てきたご飯は――ビーフシチュー、ご飯、サラダ。
どれも普通のご飯だがやはりおいしい。
このために一日を頑張っていると言っても過言では無いと言える程だ。
こうして俺は満足して一日を終えることが出来た。
はい、恋夢です!
久しぶりに学校に行かせた気がします。
取り合えず時系列的には一学期後半といった形です。
もう少ししたら夏休みに入って行くんですが書くのが凄く大変だなと思ってますw
それでは、また次の作品でお会いしましょー!