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十一日目

俺の朝は妹の声を聞いて始まる。

「兄貴、起きろ」

「あぁ、おはよう」

ごく普通の一日の始まりだ。

俺が起きたのを確認した可憐は何も言わず部屋を出て行ってしまった。

せめて、おはようと返して欲しかったと思ったが、いつものことだから何も言わない。

出来ているであろう朝食を食べるためにリビングに行くと、珍しく可憐が俺が来るのを待っている様子だった。

「待ってくれたのか珍しいな」

どうしたの?という意味合いを込めて言ったんだが「別に」の一言で終わらせられてしまった。

「ところで兄貴、今日暇?」

何でこんなこと聞いて来るんだ?今日いつもと何か変じゃないか?一体どうしたんだろう。

「暇だよ。特にやることも無いからな」

「そう。なら、買い物に付き合って」

「え?」

あまりの意外さについ声に出して言ってしまった。

可憐から何処かに行こうって誘って来るなんて本当に珍しい。

明日は大雨でも降るんじゃ無いだろうか?なんて思ってしまう。

「買い物に付き合って」

俺の返事が遅いからなのかもう一度言われてしまった。

「いいよ」

家にいてもやる事なんて何も無いしな。折角だし付き合うことにしよう。

しかし、何て嬉しそうな顔をするんだ。そんなに俺と行きたかったのか。

嫌いなんじゃ無いかと不安に思っていたが実はそうでもないんじゃ無いかと思ってしまう。

ついに兄貴として認識して貰えたんじゃないかと、俺も嬉しくなってきた。

「何時頃から行くんだ?」

「私の用意が終わり次第」

「わかった」

朝食を終えた二人はそれぞれの準備に取りかかる。

俺は食器を洗って着替えて直ぐ準備が終わったが、可憐はまだ終わって無いみたいだ。

部屋の扉をノックして「まだ?」と聞いて見ると「まだ!」怒鳴り声に近い声のトーンで言われてしまった。

女子の準備は長いと聞いた事はあるがそれって恋人同士のデートとかの時だけじゃ無いのか?

違うのかな?よくわからない。

何をしているのかわからないけどドタドタと音が聞こえてくる。

しかも、何かが落ちた様な鈍い音まで聞こえてきた。

鈍い音を聞いた俺は慌てて可憐の部屋に入った。

「何か鈍い音がしたけど大丈夫か?」

可憐は何も言わずこちらを睨んでいる。よく見たら周りにある大量の服で身体を隠している見たいだ。

「ご、ごめん……」

大人しく扉を閉め待つことにした。

それから30分近く待ってやっと家を出ることが出来た。

「なぁ、可憐。準備に時間かかり過ぎじゃ無いか?もう直ぐしたら昼になるぞ」

「兄貴が余計なことしなければもっと早く出れた」

「あれは俺が悪かったって」

どうやら機嫌が悪いらしく顔を合わせてくれない。

あれはお前のことを心配しての行動だったんだぞ?と思うが口には出さない。

それ以降ショッピングモールにつくまでの間お互い会話が無かった。

ショッピングモールに着くと可憐は地図を俺に見せここに行きたいと指を指してきた。

それくらい自分の口で言えるだろと思うがこんなやりとりをしても仕方無いので黙って可憐に従うことにする。

可憐が最初に行きたいと俺を運んだのはかなり洒落た服が置いてあるお店だった。

イメージ的になんだかチャラそうな服ばかりだ。

一生懸命どれにしようか悩んでいる可憐の姿を見てるとこんな服もありなのかと感心してしまう。

俺自身は服にあまりこだわりは無く無難な服が多い分ここまで派手なのを着るのは少し気が引ける。

店の中を歩き回っていると店員さんに話しかけられた。

「お二人はカップルですか?」

こいつは突然何を言い出すんだ。どう見ても釣り合わないでしょ。

可憐の方を見ると何故か顔を赤らめている。なんというか複雑な気持ちだ。

「あ、いえ。カップルではないです」

「そうなんですか。お二人はどういったご関係で?」

違うと言っただけで凄く残念そうにするし、またなんか聞いてきたし。

一体何なんだ……。

「兄妹です」

「あ、そうなんですね!でしたら、こちらの商品なんて如何でしょうか?カップルリングアイテムではあるんですが兄妹お揃いというのもいいと思いますよ」

え、突然なんなの?怖いんだけど。

服屋の店員はこんな人ばっかりなの?それとも、この人だけなんだろうか。

正直良くわからない。

「そ、そうですか。妹と相談しますね」

「は、はぁ……」

ほんと怖いな。このまま買わせる気満々だったじゃん。

「可憐、買いたい物は見つかったか?」

返事が無い。

「可憐?」

また返事がない。

可憐のの方を見るとさっきのアクセサリーが置いてあるとところをまじまじと見ていた。

もしかして、欲しいのかな?

「可憐、あれが――」

可憐に聞こうとしたとき可憐に言葉を遮られてしまった。

「兄貴、私あれ欲しい!」

そんなに欲しいのかと思ったが何も言わない。

「買って来たらどうだ?」

「私が買ったら兄貴はちゃんと付けてくれる?」

「付けるよ」

「ほんとに?」

「ほんとだって」

そんなに俺は信用されて無いのかと不安になってくる。

「俺が買って来るよ。どれが欲しいの?」

「これが欲しい」と指を指す可憐。

これでいいのか。

星の形のペアキーホルダー。

二つくっつけると綺麗に星が出来る様になっているらしい。

凄いなと素直に関心してしまう。

買った時の満面の笑みの店員はなんだか気にくわなかったが可憐が喜んでいたみたいだからそれでよしとする。

「そろそろ昼だな。フードコートで何か食べてから他の所回るか」

「それだったら私たこ焼き食べたい」

「なら、たこ焼き食べに行こう」

「うん」

大型のショッピングモールなだけあってフードコートは人でいっぱいだ。かろうじて席は取れたが他に探している人もいるだろうからあまり長居は出来ない。

久しぶりにたこ焼きを食べたかがやっぱりたこ焼きはおいしいな。

16個入りを二人で分けたからかなりお腹いっぱいになった。

それからは可憐に連れ回されるがままにお店を転々と回った。

気がつけば俺は荷物持ちになっている。

「なぁ、可憐。まだ買うのか?」

「あと少しだけ」

「そろそろ、持つのが大変になって来たんだが……」

「もう少しだから、頑張って」

全く……。

持つ量の限界来てるんだってば……。

ぬいぐるみやら服やら買う物が多くて大変だな。

服に関しては試着して色々見せられたがどれも似合っていた。

ほんとに容姿は整っているなと再認識させられてしまう。

買い物を終え、家に帰ればすっかり日が暮れていた。

今日は可憐が晩ご飯を作ってくれるみたいだからそれまでの間に風呂などを済ませゆっくりと休ませて貰った。

「兄貴、ご飯出来たよ」

「今行く」

リビング行くとテーブルの上にはもうご飯が置かれていた。

ごはん、野菜炒め、ハンバーグ。

どれもおいしそうだ。

今日は一日可憐と過ごしていたが、こんな日がたまにあっても悪くないな。

テーブルに置いてあった可憐の携帯を見ると今日買ったキーホルダーが付いていた。

そんなに嬉しかったんだな。

とても疲れたが楽しい一日だった。

俺も携帯にキーホルダーを付け、ゆっくりと目を閉じた。

はい、恋夢です!

こっちを書くのはかなり久しぶりですね。多分一月くらい書いてなかったと思います。

ネタが無かったんですけど見つけたんで書きました。これからはちゃんと定期的に書いていけるように頑張ります。

それでは、また次の作品でお会いしましょー!


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