00;15「伝わらない想い」
“あれ?今日は先輩と食べないの?”
「……うん、ちょっと。」
“やったーー!!”
「?」
“あたしさ、先輩誘って来ようと!!”
“あー、ずるい!!”
“あー、あたしも!!”
「なんだよ、すっげぇ。人気じゃん。」
そう思う心は、彼は知らない。
「……どうすれば、おもいだs……!、そうだ!。」
彼は何かひらめいたのか、屋上からどこかへと走り出す。
さてさて、彼は彼女に何を伝えるのだろうか?
次の授業は「美術」。内容は自分の好きな風景・物・人物を描くという事。
綾はふと先輩・彼が言っていたことを思い出す。
「記憶がないなら、思い出させてやるから。」
と、授業が始まる前。そういって。
シュッ ガゴン シュッ ガゴン ドン トトっ
体育館から聞こえてくる音。それはボールがゴールへと入る音、美術室は三階にあり体育館の屋根は透明で中がよく見える。
バスケットゴールにボールを入れているのは神楽先輩。
綾は其の姿を見て……釘付けになってしまった。
フォーム 滑らかに入るボール 先輩の真剣な眼差し
この光景、どこかで一度見たことがある。
ジー ジジ ジジッ
“歩 あゆ!!”
「……み、みや。」
思い出した私は、 俺はあいつと友達で、ずっと ずっと 大切な仲だったのに
<転生>をするたびに記憶はなくなる。以前、生きた記憶ある人は全てを忘れ、一部を覚えている者。また、生きてきた時間全てを覚えている者、それは様々で。
でも、綾は思い出した。
「みや!」
「………」
「ごめんなさい。神楽先輩。」
「……やっと思い出したんだな。あゆ。」
「あぁ、<みや>」
体育館。そこは前にも<みや>が<宮子>であった事を思い出した場所。
「すまねぇ、忘れてて。」
「別にいいって、今回は俺が先で、お前が後だったんだ。それは仕方ねぇし、それより」
「?」
稔はボールを持ち、構えて。
「俺はお前が 好きだ!」
シュートを打つように、ボールを放った。シュッ ガゴン
見事、ボールがゴールへと入った。
「よっし!」
「!」
“ねぇ、知ってる?ここの噂”
“知ってる!だからこの学校選んだんだもん!”
いつぞやか、誰かが話していた。この学校のある噂。
“バスケのボールが、一発で入ったら両想い!”
“それに加えて、この体育館の恋愛運の高いパワースポット!”
「--っ!!」
今更思い出しても遅かった。すでに告白された後で。
「それで、綾。」
「は、はい!」
こ、告白がくる。ドキドキする。
「お、俺と付き合ってくれないか!」
やっとの思いで再会したみや・歩。彼らの恋はこれからどうなるのかしら。




