00;10「転生」
女としての人生を終え、今度は男としての人生を
終えようとしていた。
“あなた!”
“お父さん!”
「……長い人生だったな……」
「……あゆむ」
「ありがとう、雅、裕也。そして、母さん、娘よ。
幸せに………
ピッ―
初めてこの歳まで生きて、この歳で「転生」を迎えた。
トコトコと歩く、暗く道なき道を歩く。
懐かしい記憶が流れていく、辛い記憶、苦しい記憶も……すべて終わった。
悲しいことも悔いも残ることは何もない。
なのに……何故、なんで涙は溢れる。
「……ッ、だれか。」
誰か、誰か助けて。 寒い寒いんだ。
誰か!
“ や”
“ 綾 綾、大丈夫か?”
“頑張るのよ。”
「母さん、……お父さん。」
“大丈夫!?何かほしいものはある?”
「………」
あぁ、そうか。俺風邪ひいて……
“綾?”
「大丈夫。それより・・・ここにいて?」
“えぇ。”
“安心して眠りなさい。”
「………」
そうだ、安心して今は 今だけは
「ごめんね。お母さん。迷惑かけて」
“いいのよ、それより体は、大丈夫?”
「……うん。」
“そう、よかったわ。もうすぐ小学校卒業なんだから、気を付けてね。
綾。”
「うん。」
そう俺は「歩」としての人生を終え、今の俺………
いや、私は「綾」としての人生を送っていた……。
小学校卒業間近かになり、私は風邪をひいてしまった。
だが、心優しい家族のおかげで、無事風邪は治った。
何か忘れてる。 何か大切なことに でも
「早くあの人に 会いたいな。」
何故、こんなにも恋焦がれているのかわからない。
ただ、あの人に会いたい。 ただ、 ただそれだけ。
“でねー。”
“えーうっそー!”
「もー……!」
“?、どうしたの?”
「……ううん。なんでもない。」
二人が出会うのはまだ 先かもしれない……




