番外8話「ある休日のひとコマPart.2」
え? 今なんて?
困惑している私に構わずに、いや困惑している私のために、あさひは言葉をつづけた。
「私には、ゆうひって言う双子の妹がいたんだ。ついこの間までね……。
それはね、今から3カ月くらい前、学校からの帰り道での出来事。
その日の朝、近隣の女子高生が人気の少ない住宅街の脇道で殺害されるという事件が起きたの。だから学校は2時限目終了時点で下校となったんだ。
私たちもね、それにならって下校したんだ。
学校は3人以上での下校を推奨していたんだけど、私たちは油断していたのかな? 双子だから、帰るところは一緒だから、一人になることはないから。
だから、たぶん狙われたとしてもきっと対処できるって思ってた。
だって、片方が襲われてももう片方が助けを呼べばって、そんな考えがあったんだ。
でもね、そんなものは脆弱で、前提条件にすらなっていなかったんだ。
家から200メートルくらい離れた場所かな? 真昼間でもやや薄暗い公園に併設された遊歩道上にある小さなトンネル。
上にはバイパスが走っていて、時間帯によってはそれなりに人通りはあるんだけど生憎と他の学校はこの日の1時限目に下校させた学校がほとんどだったから、通行人は私たちだけ。
普段はなにげなく通り過ぎている場所だったんだ。
だから、先生たちの『危険そうな場所には決して近寄らないこと。特に薄暗い場所には不審者が潜んでいてもなにもおかしくはないから』という言葉を気にも留めずにそこを通ってしまったんだ。
そしたらいきなり、暗闇から二人組の男が現れたんだ。
私たち、いや、ほぼすべての人間が単独犯だと思っていたんだ。
でも実際には、二人組だった。
私たちを挟むようにして、トンネルの双方から一人づつ、ゆっくりと近寄ってきたんだ。
だけど私たちだって、一応は魔法が使えたから。
なんとかなるだろうって、そう思ったんだ。
でもね、私たちは肝心なことを知らなかったんだよ。いや、かすかに校内放送で校長が言っていた気もするけど。
遺体の外傷から判断するに、犯人は魔法犯である可能性が高いってことをね。
結局は、巡回に来た警官に発見されたんだ。
私たちの悲鳴が聞こえて駆けつけた、近くを見回っていた警官にね。
でもね、そのときにはすでにゆうひは殺された後だったんだ。
私を庇って、周囲の空気を圧縮する魔法で押しつぶされてね…………」
後書きをどうするか悩んでいたら日付が回ってしまった件について。




