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番外6話「阿倍と如月姉弟と進路相談」

 これは友紀たちが封装を手に入れた、その翌日の出来事である。


 金曜日の午後八時。

 俺は風呂から上がって自室にこもり、昨日の放課後なにかに導かれるように買ってしまった銀の指輪をボーっと眺めていた。

 とくにこれといって自身の装飾なんかには興味がない。しかし、この指輪からは微弱ながらも魔力が放出されていたので、つい手に取ってしまい、気付いた時には購入して店から出た後だった。

 そして、今朝。

 見知らぬ世界へと誘われてみれば、この指輪が封装だったという事実と共に、俺はこの封装を媒介して精霊メサビュートと契約を果たした。

 その世界にはいくつかの国があり、俺はその中のアッシュフォードという国の所属らしい。

 「幻惑(アンノ―ン)の(・)射手シューター」と呼ばれた親父が建国にかかわったという、あの国だ。

 そして今は、俺のほかに風音さんや友紀、それにあいつの妹が所属していて、ともに戦うことになっている。

 まるで、親父たちのように……。

 そんなことを考えていると、ピンポーンと不意に来客を知らせるチャイムが鳴った。

「誰だよ、こんな時間に」

 そう呟き部屋を出ようとすると、かすかに視界にとまった携帯がバイブを起動させながらメールの着信を知らせるランプを点灯させているのが目にとまった。

 画面を開き、メールを確認する。二通来ていた。

 双方ともに、同じ相手からでよく知った人物からのメールだった。

 それを読んで確信する。チャイムを鳴らしている人物が誰なのかを。

 急いで階段を下り、ドアを開けると予想通りの人物たちがそこにいた。

「こんばんは、圭ちゃん。こんな時間だけど大丈夫だった?」

 そうきいてくるのは、つい数時間前まで我が家のリビングで今後についてあれこれと相談していた風音さんだ。

「久々に見ましたよ、風音さんのそんな格好。いつ以来ですか」

 しかし、そのときとは全身にまとっている雰囲気が若干違っていた。

 今の風音さんは、いつもの制服姿とは違い、Tシャツにミニスカートといういかにもラフそうな格好だ。

「えっと、休日ならたまにしているんだけど、こうやって外出するとなると久しぶりかもね。っと、中に上がってもいい?」

 答える間もなく、風音さんは靴を脱ぎ、リビングの方向へと消え去っていった。生まれてこのかた、およそ十四年の付き合いだ。俺が生まれる前から計算すると十六年。

 もはや家族同然の付き合いを阿倍家と如月家は送っているので、我が家のように平然としていられるのであろう。

「で、雷也は入らないのか?」

 とそこで、玄関に突っ立ったまま動こうとしない少年に向けて俺は言葉を放った。

 身長は俺よりも少しばかり高く、痩せているといえばそうだが非力というわけではなく、全体的には引き締まった印象を受ける。頭髪は金色をしていて、目つきもどちらかといえば鋭い方に属している。しかし、不良といったわけではなく、むしろその逆で通っている七校では風紀委員会に所属しているらしい。

「ん? ああ、では遠慮なくあがらせてもらうよ。しっかし、すまないな。姉さんが急に圭一ん家に行って稽古つけるっていったもんでな」

 ほんとに申し訳ないと感じているのか甚だ疑問だが、もっとも、この三人の中で昔から魔法の腕が実用レベルに達していなかったのは俺だけだったので、この申し出はありがたいものだった。


 雷也と共にリビングに入ると、ちょうどそこには風音さんがなにか参考書のようなものを読んでいるところだった。

「何を読んでいるんですか?」

 おそらく、魔法について何だろうなと思いながら聞くと、風音さんは本を少し上に向けてくれた。これによって、表紙に書いてあった字が読みとれた。

「『魔法の基礎となる百八の魔法と、その組み合わせによる相乗的効果について』ですか」

 なんとなく言っている意味は分かる気がする。まえに、軽く。ほんとに、単一工程の魔法を風音さんから教わった時に軽く聞いたような気がする。

「そう。圭ちゃん、ここの内容って、前にちらっと話したかもしれないけど、魔法はイメージによって組み合わせた基礎の複合によって成り立つってことまだ覚えてたりする?」

 頷く。

すると風音さんの顔が笑顔に変わった。

「わかった。それができてるんだったら大丈夫かもね」

 そこでいったん言葉を区切り、風音さんがこっちに近寄ってきた。

 そして、再度問う。

「どうする? 七校付属こっちに転校してくる気はある?」

 風音さんは本気だろう。この人は基本的に冗談は言わない。

 そして、雷也もそれに同調した。

「俺もそれがいいと思うぞ。今のお前なら、十分にやっていけると思う」

 二人の目が返答を待つように俺を見る。

 ここで七校付属に通うことになれば様々な魔法技術を学ぶことができる。

 そう思って、俺は転校することを決めた。

「わかりました。来月半ばからそちらに通うことにします。今は四月の下旬なので、連休が明けてから学校に転校することを伝えることにします」

「わかったわ。それじゃあ、学校には私から言っておくわ」

 そう言って、風音さんと雷也は俺の家から出て行った。



どうも、マチャピンです。

ここまで至るのに相当な時を要したと思いました。

実は、今回初登場した雷也は、風音さんとほぼ同時に作ったキャラなので早く出したいと思いながらもなかなか出す機会に恵まれずにいました。そして今日、やっと出すことができ感動しています。

それは、阿部の親父もしかりで、この人だけまだ通り名すら出していませんでしたがやっとですよ。

また、今回は本来本編と同時公開の予定でしたが、自分でも納得のいかないところがあったので、6日に少し眺めのを更新したいと思います。

そんなこんなでとりあえず、阿部。誕生日ざま……おめでとう。

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