プロローグ
時間軸が解りにくいと思います。すみません。
R15です。
里歩ちゃんはバイトと就活に忙しい。最近では一緒に出掛ることも少なくなった。
俺はこうして姉とふたりで過ごすのが好きだ。
ていっても、相手にそんなつもりは全くなく、勝手に俺がサカってるだけなのは切ない。
姉の首筋はいい匂いがする。
「春希はいつまでも…変わらないね」
「なにが?」
「カノジョが出来たらやめないと、誤解されるよ」
「そう?」
バイト疲れでソファに座り込む姉を抱きしめる。
首筋にいつものように顔を埋める。
姉のぼんやりした風情。
ああ。この女を完全に自分のモノにしたい。泣き声を喘ぎ声に変えさせて俺無しではいられないように狂わせてしまいたい。
姉はテレビの古い映画を見ている。
画面を眺めているが内容はとくに興味ないらしく目がうつろだ。
独占したい。
支配したい。
俺の愛を乞わせたい。
どうしたら
あんたは俺を求めてくれるんだろうか。
苛立つ俺の脳裡にあの女の俯いた姿が浮かんだ。
桜の花が散る。
怯えた風情の貧相な女。
姉によく似た女。
顔はそれほど似ていないけど。
今まで会った誰よりも姉を連想させる女。
それは
俺にとっては恋と同じだったのかもしれない。
姉にしか、恋をしたことのない俺にとっては。