神のオルゴール。ノートルダム大聖堂の鐘
今宵はクリスマスイブなので。
850年前。
ノートルダム大聖堂の尖塔の頂上に、魔除けや信仰の力、発展の象徴として取り付けられた風見鶏の私。
私の腹の中には磔となり処刑された際にイエス・キリストの頭部にあったとされる[いばらの冠のトゲ1本]パリの守護聖人[ディオニュシウス]と[ジュヌビエーブ」にゆかりの品の3つの聖遺物が収められている。
それらと共に850年もの長きに渡りここに立ち続け、パリの街を見守ってきた。
繰り返し照らす朝の光。
その煌めきを、光の粒を、ノートルダムの鐘の音と共に私は人々に届けた。
夜の帳が下りれば、月の光は私を夜空のどの星よりも鮮やかに浮かび上がらせ、人々の道導となっていた。
大聖堂から鳴り響く鐘の音、そしてパイプオルガンの音色はまさに神のオルゴール。
オルゴールの音色は人々の祈りを、願いを乗せて神に届く。
そしてまた神からの愛を、音に乗せて人々に届けていた。
2019.4.15
静寂の中、パチパチという小さな音と共に広がる赤い炎。
蠢く炎の中から生まれた悪魔はさらなる炎と黒い煙を吐き出し、瞬く間に大聖堂を火の海に沈めた。
私は神に、空に、街に、人々に届くように大きく鳴いた。
すぐに人々が駆けつけ、収蔵品やパイプオルガンなどを守ろうと、燃え盛る塔の中に飛び込んでいく。
放水により流れ落ちる大量の水。そして炎と煙と戦いながら皆が必死になって運びだす。
天からもたくさんの天使たちが降りてきて、炎から人々を護っているのが見える。
誰からともなく歌い始めた讃歌「アヴェマリア」の歌声が街に響き渡る。
鎮火を願う人々の思いが、天使たちの力を強くする。
しかし炎は私の目の前に迫っている。
すでに、共に大聖堂を守護してきたガーゴイルたちを炎の中に落としていった。
足元を見ると炎の中を這い上がってくる悪魔と目が合った。
悪魔が手を伸ばし、炎の海へ私を引き摺り込もうとした瞬間
私は星の瞬く夜空へ飛び立った。
着地したと同時に粉々になっても、悪魔の手に落ちるよりよっぽどいい。
落ちていく中、パリの景色を心に焼き付けた。
みるみる地上が近づいて、最期を覚悟したその時。
ふわり
現れた大天使が私を受け止め、そっと地上に下ろしてくれた。
地上に横たわり私は空を見上げる。
今宵の神のオルゴールの音色、鎮火を願う人々の讃美歌を聴きながら。
ウバ クロネ様
[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82%E3%81%AE%E7%81%AB%E7%81%BD
ノートルダム大聖堂の火災。Wikipediaより]
大聖堂の聖具室上部の屋根で飼育されていた18万匹のミツバチも無事でした。(良かった!)
風見鶏は96メートルの高さから落ちました。ちょっと凹みましたが、お腹の中の色々は無事でした。
新しい火の鳥風の雄鶏とバトンタッチしています。(元の雄鶏は凹んだまま展示されています。しょんぼり)
焼けた瓦礫が埋め尽くす聖堂で、無傷の十字架が光る姿は神を感じました。
素晴らしいFAをいただきました。
ウバクロネ様。ありがとうございました。




