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線路は続くよ異世界に!  作者: とくさ
イーヒスト戦争開戦編
15/60

城外にて

 籠城戦になるが、門外でイーヒスト軍を食い止める必要もある。民衆を城に避難させ、わたしたちは城壁の外で隊列を組んだ。父上と母上も城にいる。

 東西にある門を守るように軍が配置されている中、わたしとアルベールは一番敵から遠い西門にいた。姫であるわたしは本来城にいるべきなのだが、城内にいては先ほど発破をかけた兵士たちに示しがつかない。

「姫様。本当に、私たちと戦うつもりなのですか」

 アルベールがまた聞いてきた。

「当たり前よ。何度も言っている通り、わたしはここにいてみんなを鼓舞するのが仕事なの。それに……」

 わたしはアルベールに一歩近づいた。

「わたし、死ぬときはアルベールと一緒がいいの」

「ひっ、姫様?」

 アルベールの声が上ずる。こっちまで顔が赤くなってきた気がした。

「……もう。そういう意味じゃないってば。アルベールはわたしの剣でしょ? だったらわたしも、側にいたいだけ」

「そう、なんですか? 」

「うん。わたし、アルベールの側から離れない」

「……僕も」

「えっ? 」

「僕も、命ある限りセレーナ様をお支えしますから」

 えっ? ……えっ?

 いや、何考えてんだわたし! 騎士としてだから! 家臣として、支えてくれるって意味だから!

 横を向いてしまったアルベールの顔は耳まで真っ赤になっている。

「ほら、これで恥ずかしくないでしょう! 姫様はお一人ではありません。私のことも道連れにしてください」

「……そうね。ありがとう」

 アルベールは優しい。だからこそ、わたしを置いて死んでいってしまいそうだ。怖い。

「ちゃんと二人で、生き残りましょう」

 アルベールに言った、そのとき。

「敵襲ー!」

「えっ、もう?」

 目を凝らすと、確かにものすごいスピードで物影が近づいてきているのが見えた。しかもかなりの数だ。

 先ほどから吹いていた向かい風が強くなり、敵軍の旗がたなびく。

「……どういうこと? 敵軍は東にいるはずなのに」

 アルベールは望遠鏡を取り出し、敵軍と思われるものを見た。

「しかし、間違いない。若さからみて、あの軍の先頭にいるのはイーヒストの皇太子です。フードを被っていなかったら、茶色い髪が目立って分かりやすいのですが」

 まさか、こっちが敵の本隊? ……だとしたらまずい。東から敵が来ることを想定していたから、西にはあまり人員を置いていない。この兵力差、一瞬でペチャンコにされる。

 どうしようか相談しようと思い、わたしはアルベールの方を向いた。

 望遠鏡で敵軍を見ていたアルベールは、なにかショックを受けて硬直している。

「……アルベール? ねぇ、アルベール! なにか見たの?」

 望遠鏡を下げたアルベールは、弱々しい声でこう呟いた。

「──軍隊長? 」

 嘘、軍隊長が?

 急いでわたしはアルベールの手から望遠鏡を取り、物影を見た。

 皇太子の側に、追い風を受けるイーヒストの国旗を掲げた軍隊長がいた。

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