龍よ、再び夢と共に
前回の夢の物語!
やりたい部活がなかった俺は、黒皇と花の協力を得ながらも部活を創部!
その名も「音戦部」!歌やダンス、音が関わってることや戦闘に関することをする部活だ!
これからみんなで頑張るぞー!
翌日の朝8時半。勇達はチラシを印刷をしチラシ配りをしていた。
「音戦部でーす!よろしくお願いしまーす!」
「戦闘の修行とヴォーカルやダンスの練習等ができまーす!」
──20分後、教室に戻り──
「受け取ってくれる人はいるけど、中々入部に来る人はいねぇな…………これじゃ人手不足には間違いなく直面する。」
「うーん……あっ。」
黒皇が悩んでいると、勇がある事を言い出す。
「……なぁ。一瞬は何してるんだ? 」
「一瞬さん……たしか私たちが入学した時にはいませんでしたね…… 」
「そっかぁ……何してんだろ―な、あいつ……」
「小学校と中学校も別の学校だったし……スマホも持ってなかったから、何してるのかもさっぱりって感じだな……俺たちも。」
「家には行かなかったのか?」
「前までは行っていたのですが……何度もお父様に追い返されてしまって……私たちも、何をしているのかが全く把握できていないんです。」
「そっか……本当に何してんだろーな。あいつ…… 」
SHRが終わり休み時間に入る。終わった瞬間、勇はとある用事で職員室に行っていたが、その用事が終わっため教室に向かっていた。その時……
「なぁ、さっきC組に転校生が入ってきたんだってさ!」
廊下2人の高校生が話していた。
(転校生か……まぁ、まだ4月の中旬だし、おかしくはねーか。)
「見た見た!青髪でクールって感じで、かっこよかったよね〜!」
(青髪でクール、か……
……!まさか!)
転校生のことを聞き、ある人物だと確信できた勇は、すぐさま二人の元へに向かった。
「2人共ー!聞いたか、転校生のこと!」
「転校生……たしかC組の……」
「青髪でクール……これって……!」
「うーむ……
!そうか!!」
「行こうぜ!C組!」
しかし……
「はーい、こんにちは~
こら、夢野さん、闇野さん!席につきなさい!」
「あっ……!す、すいません!」
授業開始のチャイムが鳴り出すと同時に先生が入ってくる。どうやらすでに終わっていたらしい。
「すいません、お二人が仲睦まじく話していたので……」
「いいんだ。
……後で行くか。」
勇はそういうが……
──昼休み──
「夢野さん、ちょっと。」
「はい!」
「黒皇君、ちょっといいかな?」
「おう、なんだ?」
「望月さん、聞きたいことが……」
「はい、何でしょう?」
先生やクラスメイトからの呼び出しや用事が重なり、行ける状態ではなくなってしまった。
そして、なんやかんやあり放課後──
「さて、結局放課後になっちまったわけだが……どうする?」
「もちろん行くさ!もしかしたら部活に行ってる可能性もあるしなっ!」
「だとしたら、がいる可能性のある部活は……」
3人は一瞬について考えた……
彼が行こうとする部活はなにか。
3人が考えていたその時、彼とであった経緯が思い浮かんできた……
ある日、一瞬は夢野ビルの前にいた。
それを見た勇はビルに招き入れ、一緒にアニメを見たり、ゲームをしたり……
いつの間にか夜になっていたことにも気づかないほど沢山遊んだ。
それからというもの、毎日というわけではないが4人一緒に一緒に修行をしたり、ゲームをしたり、月に2回ほどお泊りをしたり……
そんなある日、彼が言っていたとある「言葉」……
「俺、この剣でこの世界を守りたい!皆と一緒に!」
その言葉が思い浮かんだ時、3人は一気に目を開け……
「「「「剣道部!」」」
「……行くかっ!」
「おう!」
「はい!」
3人は体育館2階にある剣道場へと向かった。
──体育館2階、剣道場前──
(俺1人か〜……ったく、なんで今日に限ってこんな呼ばれるんだ……)
ここに付く前、花と黒皇は先生に呼ばれ職員室に行った。
(とりあえず、に会って話すだけ!なのになんでこんなに緊張してるんだ!?緊張しないで落ち着け、俺!)
「はぁっ……よしっ!」
深呼吸をし、扉を静かに開ける。
扉を開けると、数名の生徒が素振りをしていた。
「えっと、一瞬は……」
勇が部屋を見ていると、青い髪色の部員を見つけた。
「!あれはまさか!」
他の部員たちを避け、青い髪の部員に静かに近づく。
「おーいっ、一瞬!」
「!その声は……!
……何しに来た。まさか、校長先生が言っていた、『音戦部』とかいうやつに
入部させようって来たんじゃないだろうな?」
驚いた表情から一変、すぐに凛とした顔つきになる。
「おっ、流石!その通りだ、また一緒に……」
「断る。」
「えっ?でも……」
「悪いが、もう二次元に関わることはやめたんだ。」
「お、おい……嘘……だよな?あの時はあんなに……!」
予想外の対応に、勇は動揺してしまう。
「しつこいぞ……本当にお前は変わってないな……いつまでもあの時のままだ。」
勇のしつこさに、冷静になりつつも怒りを露にしながら続けて話す。
「……いいか、二度と言わせるな。俺は家族を守るために趣味を犠牲にした!!
だからもうお前たちと活動はしない!!」
「一瞬……」
「わかったなら早く消えろ。素振りの邪魔だ。」
「ああ……練習……頑張れよ。」
辛そうな表情をしながら剣道場をあとにする。
一瞬は勇の悲しく、寂しげな背中を剣道場から出ていくまで見ていた。
「……ふっ!はっ!」
見えなくなると同時に素振りを再開する。すると……
「えっと〜……大丈夫?龍星君。」
先輩が気まずそうな顔をしつつ、心配そうに話しかけてきた。
「!先輩……すいません、大声を出してしまって……」
「大丈夫、それよりあの人は?」
「あいつは……その。」
「仲の悪い同級生……とか?」
「いえ、仲が悪いわけではなくて……」
「龍星君、我慢はだめ。」
先輩が一瞬の手を握りながら話す。
「我慢というわけでは……」
「とにかく、何かあったら相談してね。いい?」
「……はい。」
返事をし終わったと同時に支度の準備を始める。
制服に着替え、使っていた竹刀と木刀を袋にしまい、扉の方へ向かう。
「もう帰るの?」
「はい、今日はもう……」
わかった、また明日ね。」
「はい、失礼します。」
少し暗い表情を浮かべながら家へと向かった。
その頃勇は……
「あっ、勇さん!」
用事を終えた2人は体育館に向かおうとしていた。
しかし、たまたまに勇に遭遇したため、どうだったか聞こうとしていた。
「……。」
悲しさのあまり、勇は気付かずそのまま下駄箱の方へ向かう。
「?……おい、勇!」
気づかない勇に対し、黒皇は肩を掴み止める。
「はっ……!ふ、二人共……!もう用事は終わったのか……?」
「ついさっきな。そんなことより……お前、なんかあったろ。」
「えっ?!そ、そんなことはっ……!」
焦って早口になる。
「バレバレなんだよ。昔からそうだ……顔に出やすいくらい、お前は素直だ。」
「……!」
(「昔から変わらない」……
…… 一瞬にも言われた言葉だ。そうだ。俺は昔から変わってない。ずっと子供のまんまだ。
俺も変わんなくちゃ。いちいち気にしてちゃだめだ。明日、ちゃんと話せるように……)
「……一瞬、二次元捨てたんだってよ。だから、もう部活にも入んないんだってさ。
本当は話すだけだったのに、聞かれたからつい、一緒にって言っちゃって……」
「……そうか、わかった。」
そういうと、勇は再び下駄箱の方へ行こうとする。
「勇。」
「なんだよ……まだなんかあんのか……」
「『負けず嫌い』って、『悪い』か、『良い』か、どっちだと思う?」
「……『悪い』んじゃねーの……」
「状況によっては、な。潔く身を引かなければいけない時もある……」
「……つまり、お前はもう一瞬の事は諦めろって事を言いたいんだろ……」
「違う、最後まで話を聞け。
逆だ。俺は諦めるなって言いたいんだ。
あの時……子供の時、お前が諦めないことを教えてくれなかったら、俺はここまで言えなかった。
つまり、何が言いたいっていうのはよー……
その負けず嫌いを発揮させろってこと!意味は違うかもしれねーけど……俺たちも絶対協力する!だから……『諦めるな』!」
「……!
……わかった。」
勇は頷き、2人はそのままの後ろに付く形で3人は下駄箱へと向かった。
──龍星家にて──
「ただいま。」
靴を脱ぎ、靴下を洗濯機の中へ。
そのままリビングへと向かう。
「あっ、おかえり〜!
「ただいま、姉さん。」
台所で料理をしている姉、「一凛」に挨拶を返しながらソファにつく。
「クソッ……なぜ俺はあんなことを……」
「ご飯できたよ〜って、どしたん?」
一凛がソファの前の机に料理を持ってきたと同時にに話しかける。
「……実は……」
一瞬は今日あったことを話した。
「ふ〜ん……そんな事あったんだ。
でも、そう言っちゃう気持ちわかるなぁ。」
右腕の傷を見ながら言う。
「!その傷は……!」
「本当は素直に言わなくちゃいけないのに、恥ずかしさとか、怖さで、嫌になって逆ギレしちゃうこと。」
──それは、2人が子供の頃の話──
「うわぁっ!?
「どうしたの?!瞬君!」
一凛は帰宅し、洗面所で手を洗っていたその時。
大きな音と共に何かが割れる音がした。
和室の方へ向かうと、掛け軸の前にあった大きな壺が割れていた。
「か、軽く素振りしようと思ったら、刀を落としちゃって……それが壺に当たっちゃって……どうしよう……これってたしか……!」
「やばっ……!めちゃくちゃ高いやつじゃん……!
「どうしよう……どうしよう……どうしよう……っ……!!」
一瞬は恐怖で激しく震えながら蹲る。
同時に頭も抱えており、今にも泣きそうになっている。
「大丈夫、私任せて!」
「で、でも……!」
「お姉ちゃんを信じなさいっ!」
「う、うん……」
──父、竜吾帰宅──
「一凛ッ!一瞬ッ!ちょっと来いッ!」
竜吾に呼ばれ、2人は和室に向かう。
「壺割ったのはどっちだッ!!」
「「……」」
2人は黙ってしまい……
「どっちだと聞いているだァッ!!
さっさと応えろッ!!クソガキ共ッ!!」
「……はい、私がやりました。」
「理由、言ってみろ。」
「えっと……その……」
一凛は一瞬を守るため、嘘の理由を言おうとした。
しかし、彼女は怖かった。母、麗刃が死んでから竜吾は変わってしまった。以前の優しい性格とは真逆の、厳しく、鬼のような性格へと変わってしまった。
そのせいで素直に言いたいことを言えずにいたのだ。
しかし、それはもう辞めることにした。
(普段は言えなかった……だから、このタイミングで言うしかないんだ……今言わないと……前の時のみたいな感じに戻らないんだ……!)
そう思った一凛は──
「……父さんが悪いんだよ?
「はァ?テメェ、この状況で何を……」
「お母さんが死んでから、不機嫌になってばっかじゃん!!もういい加減にしてよ!!
私も悲しかった!!それは瞬君も同じ!!
いっつもいっつもキレてばっかで……!!
こんな高い物だって壊したくなるよ!!」
もはや逆ギレだった。しかし、こう言うしかなかった。言いたいことは言い切った。もうどうなっても構わない。父が変わってくれさえすれば。
「そうかァ……」
竜吾は立ち上がり、剣を手に取る。
手に取った瞬間、素早く鞘から出し一凛の腕を切りつけた!
「ううっ!!ああっ……!!」
切られた一凛は倒れ込み、咄嗟に切られた箇所を手で抑える。切られた箇所からは血が出始め、畳が赤く染まっていく。
「親に向かってそんな態度まだ取れるとはなァ……一凛、今から倉庫に来い……反抗できなくなるまで繰り返し教え込んでやっからよォ……」
「っ……」
「返事はァ!!」
「は、はい……っ……!」
一凛は竜吾に連れられ、倉庫に向かった。
竜吾と共に倉庫に入って数分した頃、中から悲痛な叫びが聞こえてきた。鞭や棒で叩いてるような打撃音に、時折聴こえる斬撃音。それが何時間と続く。
繰り返される叫び声と擬音語……
それを聞いていた一瞬は、蹲り涙を流していた。
およそ2時間が経った頃、一凛は倉庫から戻ってきた。
所々赤くなっていて、蚯蚓脹れもできている。
切り傷も20箇所程できており、そこから血が流れている。
数週間ほどで殆どの傷は治り、血も止まったものの、
唯一、何故か右腕の傷だけが残ってしまった。
この日以来、2人は竜吾に反抗をせず、竜吾の言うことは必ず聞くと誓った。
「もし反抗したら……また何かされるかも……」
「もし反抗したら……お姉ちゃんのようになるかもしれない……」
そのような恐怖があったからだ。
且つ、数々の強豪を打ち倒してきた父には、たとえ2人がかりでも絶対に勝てないと感じたからだ。
だが、そんな思いが晴れた日が訪れた。
2人が12歳になる頃。竜吾が病気で死んだ。
すると、彼らは悲しむどころか喜びを顕にした。
やっと自由になれる。あの日以降、そんな思いを胸に今日まで2人で過ごしてきた。
「心配かも知んないけど……大丈夫!きっと許してくれるよ!
「だが……」
「『だが……』じゃないのっ!
こういう時こそ強気でいかなきゃ!
それに、勇君全然変わってないんでしょ?」
「ああ。以前と全く……」
「なら尚更だよ!自身もって!」
「……ああ。わかった。」
さっきの暗い表情が少ずつ明るくなり、段々「キリッ」とした表情になってきた。
「うんっ!その調子だよっ!
じゃあご飯冷えちゃうし、早く食べよ!」
「ああ。」
ご飯を食べるため、手を合わせ……
「いただきます。」
「いただきますっ!」
夕食を食べ、その後風呂に入った一瞬は、自室に行き寝支度を済ませる。
少し緊張が残る中、布団に入り眠りについた。 かつての仲間のことを思いながら……
そして翌朝6時。一瞬は身支度を済ませ学校に向かおうとしていた。
玄関に行き、靴を履こうとしたところ……
「ん〜……瞬君、行くの……?」
眠そうに目をこすりながら、パジャマ姿の一凛が話しかけてきた。
「姉さんおはよう。ああ、今から行って来るよ。」
「そっか〜……行ってらっしゃい……」
そう言い、自室へ戻って行った。
挨拶を聞くとすぐにローファーを履き学校へと向かった。
一方、こちらは夢野ビル。
あの後、勇は気分が晴れなかった。
夕食を食べても、湯船につかっても、趣味をしても結局一瞬のことが気になり集中できなかった。
気分が晴れないため眠ることもできず、結果徹夜してしまった。
昔は二次元のことで盛り上がった上に、聖地巡礼やライブ、舞台挨拶やサイン会、展示会など。数々のアニメイベントに何回も行ったはず。なのに何故なのか。
彼は言っていた。
「もし勇が二次元の存在を教えてくれなかったら、僕は修行に身が入らなかった」、と。
即ち、彼の原動力は勇達同様、二次元だったのだ。
そんな彼がなぜ二次元を捨てたのか。勇は何度考えても理解ができなかった。
だが今は黒皇の言葉を信じ、やるべきことをするしかない。
「学校……行かなきゃ……」
気分が落ち込んだまま制服に着替え始め、エレベーターで5階に向かった。
「おはようございます、勇様。
結局、ご気分は晴れませんでしたか……」
「……。」
食事部屋に入ってすぐ美華にそう言われたが、何も返事せず席に座る。
「本日は目玉焼きとコーンサラダのセットでございますが……
内容を変更いたしますか?」
「そのままで……あ、少なめで大丈夫……」
ギリギリ聴こえるほどの声量、いつもより低い低音ボイス。
気分が晴れないどころか、疲れているようにも見える。
「承知いたしました。少しお待ちください。」
15分ほど経ち、美華が料理を運んで来た。すると……
「……勇様、起きてください。ここで寝てはいけませんよ。」
勇が顔を長机につけ寝ていた。
持っていた料理を起き、優しく体を揺らし起こそうとする美華。
「んっ……あっ、ごめん……寝てた。」
「勇様。今朝食を取るのではなく、一旦仮眠されてはどうでしょうか……」
「そうしたいけど……一瞬が気になってさ。」
「そうですか……わかりました。
では、お召し上がりください。」
「うんっ。いただきます。」
静かに挨拶をし、食べ始める。
いつもであれば、「ガツガツ」と勢いよく食べるが、
今は静かに、且つ1つ1つゆっくりと食べていた。
山のように盛ったご飯も、今日は器の半分くらいの量。
普段なら足りず、おかわりをお願いするほどだが、今朝はもう満足。
いつもより時間はかかったものの、全て食べ終えカバンを取りに。
軽く髪を整え、靴下を履き、そして玄関で靴を履く。
眠そうに目をこすりながら学校に向かった。
そして、一瞬は学校に到着しており、直ぐに自分のクラスに移動していた。
ローファーをロッカーの中にしまい上履きを履いた後、自席で1人待っていた。
(早すぎたか……やることも無い。どうすればいいものか。
……そういえば、あいつらの部室はどんな感じだ……?)
「よし、行ってみるか。
……とは言ったものの、場所はどこだ……? ひとまず探し回ってみるか……」
気になった一瞬は、まず本棟に向かった。
「大体はここにあるはずだ。まずは一階。」
そう言いながら、1階から3階まで探し続ける。
しかし3階までにはなく、一瞬は4階に上がる。
「3階までには無かった……だとしたらこの階にあるはずだ。」
そう言いながら4階の奥まで探す。
「……ん、ここか……。」
奥まで来ると、「音戦部 部室」と札に書かれた部屋を見つけた。
(流石に閉まっているか……)
扉のドアノブを捻りながら握る。
「!なんだとっ……?」
鍵が閉まっておらず、そのまま開けることができた。
(なんて不用心なんだ……勇はともかく、黒皇と花なら閉めるはず……もしかしたら、占める余裕もない出来事があった、ということかもしれないが……)
そう思った後、一瞬は中に入る。
「これは……ダンスをするには十分な広さだ!防音もしっかりしている……元々ダンス部か何が居たのか。
右側の壁の取っ手……あれはなんだ?」
一瞬は近づき取っ手を横に引く。
「これは……!壁一面に鏡が!後ろまでしっかり見える……!
なるほど……ここは踊るには最適すぎる!
……っ」
落ち着いた後、一瞬は言い出す。
「……もし
もし昨日素直に喋れていたら、こんな事にはならなかったのだろうか……
考えていても仕方がない。何か気分を変えることは……
……そうだ、こんな時は……」
左ポケットに入ってたイヤホンを耳に付けた後、右ポケットにしまっていたスマホを取り出し、接続。
DouTubeという動画投稿アプリを使い、修行を真面目に取り組むきっかけになったアニメの曲を流す。
(ふっ……はっ!)
音楽が流れるだすと同時に踊る。
丁寧でキレのある動きだ。
一瞬が部室で踊っていたその頃。
遊は学校についていた。
「はあっ……ついたっ……」
少し重そうな足取りで教室に向かう。
「とりあえず教室に……」
数分後クラスに着く。
上履きに履き替え、席で1人スマホを弄りながら時間が経つのを待っていた。
「あ〜……だめだ気分が……」
( ……どうしよ。こういう時、たしか家だと歌ったりしてたっけ……)
「……よしっ、部活の一環ならいいはず……部室に行こうっ……」
そう言いながら部室に向かう。
そして、一瞬は踊り続けている。
勇が来ているとは知らず──
ラスサビに差し掛かる少し前の部分。
汗は少し垂れているものの、変わらずキレのあるムーブだ。
「だあっ……ダメだ……エレベーター……」
歩き続けたせいで疲れた勇は、棟の階段近くにあるエレベーターを使った。
乗って17秒ほどで4階へ。
「よしっ、今のうちに……」
歩きながらスマホを取り出し、
DouTubeから好きなアニメの曲を探す。
「これならきっと」と思う曲のサムネを映しながらスマホの電源を一旦切る。
そのまま歩き続けると部室前に着き、扉を開けると……
「……えっ?」
勇が少し動揺しながらも驚きを感じたその先には、
華麗にダンスをするの姿があった。
「い……一……瞬……?」
(なんでがここに……!?昨日確かに趣味を犠牲にって……!)
困惑しながらそう思ってると……
「!勇……!!」
踊っている途中、振り付けの1つでターン。扉の方を向いたと同時に勇がいたことに動揺しすぐにダンスをストップ。
その場で話しかける。
「何故ここに……?!」
「い、いやいや!それはこっちのセリフだって!?なんでここにいるんだよっ!?」
「それは……それより、なんで鍵を締めていないんだ!もし何かあったら責任は取れるのか?!」
「はぁ?!この状況でなにいってるんだよ?!」
「……。」
「どうしたんだよ、早く理由を……」
「勇、昨日は本当に……すまなかった。」
一旦落ち着いた後、勇にお辞儀をしながら謝る。
「な、何だよ急に……?」
「姉さんの言うとおりだ……俺は恥ずかしさで嫌になっていたんだ……そのせいでお前に理不尽なキレ方をしてしまった。
あの時……俺が冷静になっていれば……」
「……ぷっ、あはははっ!……」
悲しそうに言う一瞬に対し、勇は突然笑い出す。
「なっ……!?なぜ笑う?!」
「あははっ……お前……俺に変わってないとか言っといて、お前もぜんぜん変わってないじゃん!あははっ……
昔からそうだ、お前は本当に責任感が強い!」
笑い終わった後、勇は話しだす。
「やっぱ黒皇の言うとおりだった……諦めなくてよかった。俺もごめん。ただ話すだけだったのに、つい部活にいれることを……」
「いや、悪いのは俺だ。あの時勝手に俺から部活について言ったから、それに続く形で言ってしまったんだろう?」
「あっ、確かに……」
「だからお前は自分を責めなくていい。」
「なら、じゃあ……」
「なんだ?」
「歌とダンス、あと二次元もまだ好きなんだよな? もしそうだったら……俺たちともう一度、今こっから活動してくれるか?」
「もちろん。また……ここからな!」
2人は握手を交わした。先程まで暗かった笑顔が、今はもう嬉しさでいっぱいになっていた。
そして朝8時。黒皇と花が登校してきた。
「勇さん、電話に出ませんでしたね……何かあったのでしょうか。」
「あいつなら大丈夫だよ。きっと今頃……
「そうですね……勇さんなら。」
2人は部室へと向かった。
扉前までつき、開けると……
「だよな!あははっ……!」
「あのシーンは改めて感動する。BGMも、あの有名な作曲家が……」
「ほらな。楽しそうだ……俺達も混ざろうぜ。」
「はい♪」
2人は、奥の壁で話していた2人の元に行き、一緒に話し出した。
再びまた4人で始まる。歌い踊り、奏で、そして戦う。そんな日々が。
──学園近くの一軒家にて──
「うう……今日も話しかけられなかった……ちゃんと話しかけなくちゃいけないのに……憧れの人……私の人生の生きがいをくれた人……絶対、仲良くなりたいな……けどやっぱり……はぁ……
でもこんなこと言ってたらずっと話しかけられなくなっちゃう……タイミング……求めちゃうけど、次こそは……」
無事に仲直りをすることが出来た勇と一瞬。
再び始まるのだ。4人での活動が。
子供の頃の続きの物語が。
次回!
「仲間集めとココロ」
──Dキャラ紹介!──
さて、今回のDキャラは~?こちら!
・龍星一瞬
先祖代々剣を用いて戦う、「龍星一族」の1人。
水色の髪、黄色い目が特徴の男の子で、
クールだが好きな作品のことになると暑くなりがちな性格をしている。
勇達とはビルで共に遊んだことで仲良くなった。