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初めての旅 15日目

閲覧、いいね、評価、ブクマありがとうございます!

とても励みになります!


それでは、どうぞー!

途中、暴漢や魔獣に襲われながらも、一行は無事に最終目的地にたどり着いた。


リーアの結界や、簡単な治癒魔法は、旅の仲間からはとても重宝されたし、無償提供はしなかったけれど、怪我の治療薬や、胃薬などは、評判も良かった。

特に、途中から参加したリズは、何が良かったのかわからないけれど、ものすごくリーアを気に入っていて、隙あらば近づいて話そうとして、そのたびにイクスに引き剥がされていた。



「ひどいわっ!子猫ちゃんはみんなで可愛がるべきでしょう?!」


「なんで?リーは、俺のものだよ。筋肉ダルマの子猫でも、おもちゃでもない。気軽に近寄らないで」


「サラッと悪口混ざってるから!」



結局、イクスとリズは気が合うのか合わないのか、リーアにはよく分からなかった。


そんな話をしている今は、街へ入る手続き中だ。

今までの街に比べて、随分と時間がかかっている。



「変だな……」


「やっぱり、バルさんもそう思う?」



街へ入る行列は、少しも前に進んでいない。



「おい、お前。ちょっと様子を見てこい」



変態(依頼主)の命令で、商隊の人間が一人、列の先頭の方へと走っていく。


かなり長い列だったはずだけれど、彼が戻ってくるのは随分と早かった。

その顔が、青ざめている。



「どうだった」


「大変です、会長!街の中で流行り病が蔓延しているらしく、街の中に入るわけに行かなくて、みんな、街の入り口で野営の準備をしています!」


「流行り病だと?!」



変態(依頼主)の顔が青ざめる。


変態(依頼主)の扱う商品は、新鮮な食料品で、量が多いため、ボックスに入れるわけにもいかず、そのまま荷馬車で運んできている。

通り過ぎた街で新たに仕入れてきた食料品もある。

街に入れないとなれば、すべて、鮮度が落ちて悪くなってしまう。


リーアとイクスにとってはそんなことどうでもいいのだけれど、問題は、流行り病だ。

夏前のこの時期は、必ず、流行り病が蔓延る。

毎年同じ病なのだから、予防薬や治療薬くらい用意してあるのだろうと思うが、問題は、それが町の住人の多数を占める、庶民に行き渡らない、ということだ。

街を治めている領主に、町の人に配るだけの薬を買う余裕がない場合もあるし、金持ちが余分に購入することで、庶民の分が足りなくなる場合もある。


それにしても、街を封鎖していても、病は、街の入り口付近にいる人間にも感染る可能性は高い。

そうなれば、ここまで病原菌がやってくるまでは、すぐだ。



「リー、何考えてる?」


「……バルさんは、反対?」


「止めても無駄だってわかってるけど、ちゃんと報酬はもらいなよ?」


「うん」



リーアとイクスは、変態(依頼主)の元へと行き、告げた。



「私は薬師です。流行り病に対する治療薬も作れます。今から、街に行って薬を配ってきます」


「え、キミ、そんなすごい薬師だったの?」


「ええ、まぁ。そんなことより、ここまでの護衛の報酬を。ここからは、私達は別行動しますので」


「あ。ああ。わかった。ギルドには達成報告をあげておく」



変態(依頼主)が、約束通りの報酬を準備していると、ノシノシとリズが近づいてきた。



「薬を配るなら、人手が必要でしょ?私も行くわ!」



リーアはイクスと目を合わせて、ボックスから薬を出した。



「ありがとうございます。これ、予防薬です。街に入る前に……いえ、今すぐ飲んでおいてください」



そう言って、自分たちも予防薬を飲んでおく。


変態(依頼主)から報酬を受け取ると、イクスがリーアを抱き上げ、リズと一緒に街の入り口まで走っていった。



「私は薬師です!街の中の人の治療をします!」


「薬師?お前みたいな子供が?」



門番は胡乱げな顔で見てきたが、レッド・アイのギルドカードを見せると、ハッと顔色を変えた。



「すぐに、領主様に伝えてきます。それまでお待ちください」



どうやら、レッド・アイの名前は、この街でも有名だったらしい。


リーアは自分がそれほど有名だとは思っていないが、実際は、レッド・アイ名義でいくつもの新薬を開発、発表し、それで助けられた人はかなりの数に上る。

それゆえ、レッド・アイの名は、どこでも有名なのだ。


しばらくして、バタバタとした足音と、馬車が止まる音がして、関所の扉が開けられ、リーアとイクス、それにリズは中へと招き入れられた。


中に入ってすぐに、身なりのいい、初老の男性が立っていて、そのひとがこの街を治めている人だとわかった。



「レッド・アイ様と伺いました。本当に、この街を救っていただけるのでしょうか」


「はい。ただし、もちろん報酬はいただきます」


「はい、それはもちろん!」


「例年の流行り病かとは思いますが、念の為、具体的な症状と、患者の数を教えてください」



歩きながら、男性から説明を受ける。

やはり、例年発生する流行り病に間違いなく、特に変異したということもないようだ。



「ご存知かもしれませんが、この病は、一度かかってしまえば、免疫ができて、それ以降はかかりません。ただし、死亡率は高いです。これまでに、この病にかかって、無事だった人を集めてください。それ以外で、まだ罹患していない人には、この薬を飲ませてください。予防薬です」



リーアはボックスから出した、大量の予防薬を手渡す。一気に渡したけれど、数はちゃんと把握している。



「これだけで、100人分です。治療薬は、300人分あります。予防薬を飲ませた人は休ませて、免疫ができている人は、治療薬を症状の重い人から順に飲ませてください」


「私達も配るわ」



リズの言葉に、リーアは頷く。



「先程聞いた話では、今わかっているだけで、1500人。私は、場所を借りて、調薬を始めます。この街にストックしてある薬は何人分ですか?」


「すでに全部使い果たしました……元々、あまり手元になかったので」


「わかりました。この街に薬師は?」


「高齢の薬師が一人。若い薬師もいましたが、薬の材料を取りに行ってから、戻ってきていません」



(逃げ出した可能性もある、か)



「その、高齢の薬師の方は、調薬は出来ますよね?」


「それが…頑張ってくれてはいるのですが、目が不自由で……」


「わかりました。その方をここに呼んでください」




それからすぐに、連れてこられた高齢の薬師に、リーアは治癒魔法をかけた。

一時的に、加齢が原因で悪くなった目を見えるようにしたのだ。



「薬の材料は、問題なく足ります。ここからは時間との勝負です。患者さんを集めて、私達が作ったそばから、どんどん患者さんに飲ませてください」



リーアの戦いが始まった。




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