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地下組織との接触

「おーい、生きてるか〜」


 最初にバイクで盛大に転倒して後頭部を打った男の頬をペチペチと叩いて意識を戻そうとする。


「ん、んん……ん」


 おっさんのうめき声なんぞ聞いても嬉しくはない。さっさと起こそう。頭を掴んで軽く魔力で気付けすると、おっさんが跳ね起きた。


「なんだなんだ、何が起きやがった!?」

「目が覚めたか?」

「ん、誰だ、坊主。舐めた口聞いてんじゃねぇぞ」


 俺を認識して睨みつけてくる。その様子から記憶が飛んでそうなのが見て取れた。


「僕のバイクに乗せたら、派手に転倒して頭を打ったんだよ」

「んなわけあるか、こちとら何年単車転がしてきたと思ってんだ。何か小細工しやがったな」


 デジャブかと思うような返答をしてくる。


「僕が乗ってきたのをそのまま渡しましたし、小細工する時間なんてなかったでしょう」

「知るか。こっちで調べさせろ」


 そう言って取り上げるつもりか。なら連絡先ぐらい貰わないと割に合わないな。


「そんな……分かりました。存分に調べてください。その代わり連絡先を教えてください」

「ああん、俺はベルゴのスタンザ様だぞ。知らねえとは言わせねぇ」

「いえ、今日街に着いたばかりでこの街のことを全然しらないので」

「ちっ、しゃーねーな。端末貸してみろ」

「はい」


 自分の端末とリンクして連絡先を交換してくれた。意外とすんなりいったな。まあ、俺のバイクに気がいってるんだろう。


「それでは調査をお願いします」

「おう、任せとけっ」


 完全にバイクへと釘付けになっているスタンザの様子に、俺は早々に消える事にする。周囲には彼の部下だと思われる人々が倒れているし、またバイクで転倒したら面倒そうだ。

 早足でバラック小屋の合間へと向かった。




「おう、坊主。大丈夫だったか?」


 スタンザに止められた場所から足早に逃げ出し、何件かのバラック小屋を縫うように移動していると、唐突に声を掛けられた。

 そのまま無視する方が無難だが、このタイミングで接触してくるという点が気になり足を止めた。力付くで他人の物を奪って平然としているベルゴのスタンザ。それに絡まれた子供というのは、トラブルの種にしかならない。

 そんな奴に話しかけてくる。それだけで要注意だ。


 声を掛けてきた男は、一見するとホームレスのようなボサボサの髪に伸び放題のヒゲを生やしていた。

 着るものもボロボロでズタ袋を引きずっている姿は、近づきたくない。しかし、注意してみると、歩いてる姿に体幹のブレがなく、見える手なども痩せてはいない。

 そしてそれはあえて見せているとも感じた。


「どちら様で?」

「ワシはスタルクの情報屋兼スカウトってところだな」

「スタルク?」

「ベルゴとシマ争いしてるライバル組織だ」


 男はニヤリとした雰囲気を発した。顔はほぼ髪とヒゲで見えないが、それを伝えてくる。割と器用だ。


「あのバイク取られて腹立ってるだろ」

「あれは接触するための道具と割り切ってますからそれほどでもないですね」

「ふむ……ワシらみたいな連中に用があるってことだよな。で、それならベルゴじゃなくてスタルクでもいいんじゃねえか?」


 どうやらこの下町では2つのグループがしのぎを削っているらしい。一つはさっき絡んできたベルゴ、もう一つがスタルクという事だ。

 で、客観的にみれば街に入った俺を見つけて、先回りして道を封鎖できるベルゴの方が力はありそうだ。

 ただ抜け目なく接触してくるこんな男がいるという事が、スタルクも単純に負けてるわけじゃないと思わせる。


「こんな小僧を?」

「さっきの立ち回り見て、ただの小僧とは思わねぇよ。あの動きは我流じゃねえ、それなりに訓練を受けたモンだ。何よりその立ち振る舞いがガキじゃねぇ」


 こちらもそうした組織に目をつけられるように普通じゃないのをアピールしてるからな。思ったよりも接触が早かった点には驚いてもいる。


「おめぇが求めてるのは情報だろ。その点じゃワシらスタルクの方が優れてるぜ」

「それを判断する情報もない状況なんだけどね」

「そのために目立つ行動をして寄ってくるのを待ってたんだろ。反応の早さである程度、判断できるだろ」


 逆にその性急さが、劣勢具合を示してそうでもある。自分を売り込むなら劣勢の方が都合はいいが、覆せない情勢なら泥舟に乗るようなものだ。

 もう少し街の一般人の情報も欲しかったが、目の前の男は、その時間を与えたくないように思う。


「で、僕に何を求めてるんだ?」

「あのバイクにその服、質の良い生産用魔道具を持ってるだろ。まずはソレだ」


 脱出艇に乗せられていた生産用魔道具は、研究所の魔導士のお下がりの品で型落ち品ではあった。それでもハイエンドモデルではあったので、辺境でさらに中央から意図的に文明レベルを抑えられているこの街では、オーバーテクノロジーの代物だろう。

 それが見て取れたなら、早々に押さえようというのは、確かに情報戦を重視している事を伺わせる。


「で、僕に提供できるのは?」

「この街の情報だ。わざわざ目立つ行動をしたって事は、時間に追われてるんだろ?」


 こちらの弱みも見抜いている、と。


「流石に最終目的まではわからねぇが、この街に来たって事は、中央絡み、宇宙(そと)に出たいってトコだ」


 完全に読まれてしまっている。

 俺の目的は生みの親である魔導士を探すこと、生きているかも分からない。まだ追われているのかも分からない。

 もう会えない状況であれば、あの研究所の研究データを見つけること、それもできなければ俺自身で研究を再現するしかない。


 魔導士を探すにしろ、研究を行うにしろ、時間との勝負だ。早く宇宙へ出たい。


「それを見透かした上で僕を引き入れたいと?」

「ああ、こっちも宇宙(そと)への伝手は欲しいからな。それにこういっちゃ何だが、居座られても組織内のバランスが崩れそうでな」

「バランス……」

「おめぇさんは若い。で、戦闘力はベルゴの若えのを5人でも簡単にノセる力がある。それがバレればうちの組織内でも引っ張りだこだわな。そうすると要らぬイザコザを抱える危険がある理由(わけ)だ」

「はぁ、それなら僕は放おっておいても……いや、ベルゴに行かれたらもっと厄介か」

「そういうこった。程よい距離でベルゴの力削ぐのに協力してもらって、さっさと宇宙(そと)へ行ってもらうのがワシ達にとっても都合がいい」


 利害は一致するということか。


「で、僕を宇宙(そと)へ送り出す伝手はあるのか?」

「今はない。そと行きの船は中央が押さえてるからな。でもおめぇさんの持ってる作成用魔道具があれば解決する」

「あれはそんなに大きな物は作れないぞ?」

「ベースの船はあるんだが、大昔の開拓船ってヤツでな。内部を色々新しくしてやれば動くようになる」


 宇宙へ上がれる船を修理するのに、魔道具が必要と。で、副産物として諸々作らせてもらうという感じだな。

 俺にとってもメリットのある提案ではある。


「でも船があるだけじゃ、上る前に中央に邪魔されるんじゃ?」

「奴らの持ってる船はほとんどが貨物船で、戦艦はおろか、巡洋艦すらない。老朽化した駆逐艦がある程度だから、飛んでしまえば逃げられるはずだ」


 古い開拓船こそ貨物船だと思うんだが。未開の星系を開拓する船だったのか?

 そうなると宇宙生物や惑星上の原生生物、物資を狙った海賊なんかを相手にするために武装しててもおかしくはない。


「何にせよ、その船がどんなのか知らないことには判断もできない……が、どこまでもオープンにはできないよね。わかった、僕の行く道と重なる部分も多いし、僕はスタルクにつくよ」

一度書いたのが消えたから、前半部分がぐだぐだ感……

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