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06 【飢餓のテクセリア】(後半)

一日三回、朝7時、昼12時、夕方18時に更新しておりますわ~!

読み飛ばしにご注意くださいませ~!!




 【飢餓】暴発対策の日常的な身体強化の使用と共に、魔力を絞って扱う訓練も始めましたわ。

 お庭でブリジットと一緒に、特訓の日々ですの。……前途多難ではございますけれど。

 たとえば。


「"水の指先(クル・ド・オー)"……、どうです? かなり威力が抑えられるようになりましたわ!」

「レオお嬢様、花壇に向かって大雨のごとく散水するのはおやめくださいませ。庭師が青い顔をしておりますので」


 あるいは。


「"土の指先(クル・ド・ソル)"! ……オワァーッ!? 指先から無限に砂が湧いて出てますわ! おキモいですの!」

「レオお嬢様、口調が乱れていらっしゃいますよ。……土属性の適性もあるようですね。旦那様譲りでしょうか」


 などなど。

 いちばんヤバかったのは、空属性ですわね。わたくしは聖女ですから、空属性が得意でございまして。


「"空の指先(クル・ド・シエル)"……わわ、なんですの、これ!? 空属性は、物を触れずに動かしたりするやつじゃなかったんですの!?」


 人差し指の先端で、空間がぐにょりと歪み、ぎゅるぎゅる捻じれて回転したのでございます。端的に言っておキモいですわ。インフルのときに見る夢みたいですの。


「お嬢様、止めてくださいませ。……はい、強い『引っ張る力』が指先に発生していたようですね。空属性の上位、星属性にそういった魔法があったはずです」


 ……はて。空属性は念力のような不思議パワーだと解釈しておりましたけれど、『引力のような力』も含まれていると考えるべきでしょうか。ふぅむ。

 世界でもっとも高い場所、"天上"を構成する属性……。もしかすると神様のいた塩湖みたいな場所だけでなく、文字通りの空――宇宙の星々が持つ、重力そのものも扱えるのかもしれません。


「奥が深いというか、よくわかんねぇですわね、空属性」

「口調。……空属性は、得意とする魔法使いが少ないこともあって、他の四属性ほど研究が進んでいないのです。かくいう私も、空属性はいくつかの基本の呪文を修めただけで」

「そういえば、ブリジットの得意な属性はなんですの? お父様は土、お母様は風だと聞いておりますけれど」

「私ですか? ええと、いちおう、すべての属性を平均的に扱える万能型(ユニヴェルセール)ではあります」

「え? それ、すっごいんじゃありません?」


 万能だなんて、いかにも選ばれた遣い手感がありますの。ですが、ブリジットは苦笑して、首を横に振りました。


「秀でたひとつがない、というのは、器用貧乏と同じです。教師として魔法の初歩を教える際は、生徒を選ばないので便利ではありますね」


 そうかもしれませんけれど、でも、やはりブリジットはとてつもなく優秀です。学園では"赤毛の博学"なんてあだ名がついていたそうですし。そんな才児が、どうして辺境のラシュレー家なんかでメイドさんをやっているのでしょうか。不思議ですわねぇ。


 さて、そんな生活を続けて一ヶ月ほど経った、ある日のことでございます。

 今日も今日とて修行中、お父様がお庭にやって参られました。珍しく、ちゃらんぽらんな笑みではなく、しかつめらしい顔をしておられますの。

 どうなさったのかしら?


「レオノル、今日の訓練は終わりだ。ブリジット、身支度を整えてやってくれ。一番いいドレスを頼む。いま、先触れの使者が到着して……、もうすぐ、面倒な客が来るらしい」

「面倒なお客様ですか? ……もうすぐ? いきなりすぎではありませんか」

「失礼だと断れるなら断りたいが、相手が相手でな」

「……格の高いお方でしょうか」

「ああ。レヴェイヨン王の八人いる子のうち、末の王子だ。妾腹のな」


 妾腹。つまり、お妃様ではなく、お妾さんが産んだ王子様?

 聖女認定の儀式の際、レヴェイヨン王にはお会いしました。立派な白髭をたくわえた老人で、お父様の倍くらいの年齢だったはず。……お盛んですの。


「で、お父様。その王子様はなにをしにいらっしゃるのかしら? 挨拶が終わったら、訓練に戻ってもいいですの?」

「いや、それがなぁ。なんか、同い年で聖女のレオノルを許嫁に指名したいらしい」

「……ほわァッ!?」

「お嬢様、驚くときもお上品になさってくださいませ」



面白い! 続きが気になる! と思われたそこのあなた!


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