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14 神託(後半)

一日三回、朝7時、昼12時、夕方18時に更新しておりますわ~!

読み飛ばしにご注意くださいませ~!!




 寝転がってパンを食べながら、女神様のお話を聞いたところによりますと。


「ええと、つまり、わたくしはお父様に警告すればいいのですね?」

『今回はそうです。加えて、あなたが"黒の森"の近くに居ていただければ、事態は好転するはずです』


 聖女として神託を受け、「"黒の森"に厄災が迫っていますわよ」と警告を発する――それが、わたくしの仕事。

 ……え、それだけですの?


「なんかもっとこう、モンスターと戦ったり、魔王を滅ぼしたり、勇者を導いたりしなくていいんですの?」

『いいです。……魔王や勇者の時代はずいぶん前ですから』


 懐かしそうな声音。女神様にも歴史と思い出があるのでしょうね。

 ブリジットに見せてもらった絵本のおじいさん、聖人ジャンの時代が今から五百年ほど前ということですので、そのくらいかしら。ていうか、あのおじいさんのお話、ぜんぶ実話だったそうですの。びっくり。


「で、黒の森に迫る厄災とはなんですの?」

『わかりません』

「あらま。いつごろ来るかは?」

『近々、としか。場所が"黒の森"で確定です』

「なんだかふんわりしておりますのねぇ。女神様ですのに」


 全知全能かと思っておりましたわ。意外ですの。


『私に未来は見る権能はありませんので。因果運命律の収束を観測し、それが世界にとっての凶兆であれば、聖人や聖女といった吉兆の収束を同じ場所に向かわせているだけです』

「意味わかんねぇですの」

『……呪われた廃工場ロケにお笑い芸人を送り込むようなもの、でいかがですか』

「あー、やや理解オッケーでございますわ。……ちょっと待って、わたくしのことお笑い芸人扱いいたしておりませんか、それ」

『たとえ話です。あくまでも』


 ふーん。なんだか、釈然としませんけれど、女神様相手に追及はいたしません。


『ですから、あなたがラシュレー領に存在し、領主に警告を放つだけでいいのですが……、そういえば、あなたには【飢餓のテクセリア】を与えていましたね』

「ええ。満腹になれないわ、王子様は泣かせてしまうわで、大変ですの。ほかのにしてもらえません?」

『無理です。その【飢餓】があれば、大抵のモンスターは倒してしまえるでしょう。もしも厄災がそういった外敵であれば、あなたが戦うのも手かと思います。では、用件は済みましたので、これにて失礼を』

「あ、ちょっと待って、待ってくださいな」

『……なんでしょうか』


 やや不機嫌そうな声音になりましたが、次の機会があるかわかりませんもの。聞きたいことは、いま聞いておきませんと。


「あの、やっぱり、この世界にはラーメンが存在しませんの? 実は東の方にアジアっぽい地域があって、日常的にラーメンが食べられているみたいな、そういうお決まりのご都合展開はございません?」

『ラーメンの食べ過ぎで死んだのに、まだ食べたいのですか』

「一回生まれ変わったくらいで嫌いになるほど浅いマニアじゃないですの」

『そうですか。難儀なものですね』


 溜め息が脳裏に響きました。


『結論から申し上げますと、この世界に現代日本のラーメンに相当する食べ物は存在しません。食べたければ、作るしかないですね』

「でも、シェフは作れないと言っておりましたわ。手詰まりですの」

『なら、あなたが作ればいいのではないでしょうか。ラーメンの詳細を知っている人間は、あなただけなのですから。では、今度こそこれにて失礼します』


 さらりと言って、去っていく女神様を、今度は呼び止められませんでしたわ。

 衝撃を受けてしまって、思考が止まっておりましたの。

 だって、わたくしが作るですって?

 前世では自炊もせず、毎食ラーメンを食べていたわたくしが?

 食べるの専門でしたから、思いつきもしませんでしたわ……。



面白い! 続きが気になる! と思われたそこのあなた!


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等々で応援していただけると大変嬉しく思いますわ~!


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