表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/119

★今だぁ!そこだぁッ!おっぱい出せぇぇぇ!!

翌日、結衣と一緒にボランティア部の部室に向かう

突然の来訪にも関わらず部員たちは温かく迎えてくれた。


「何しにきたのよ?」


ごめん、ウソついた

全然温かく迎えてくれなかった。

麗奈先輩の視線がキツい


「そんなに睨まないで下さいよー可愛い後輩じゃないですか」

「そうだそうだー」


「可愛い?貴女たちを可愛いと思ったことなんて一度もないけど、あと後輩でもないわね。部活辞めてるんだから」


予想以上に厳しい反応だ

でもここで引き下がっちゃダメだ


「まぁまぁ…今日はお話があって来たんですよ」


そう切り出しながらかつての自分の席に座る

座るや否や陽咲先輩が私と結衣に紅茶を出してくれた

天使ぃぃぃッ!気が利きすぎるでしょこの人!牛丼より出て来るの速いよ!優しさチェーン店だよ!!


「そんな良い茶葉を使わなくて良いのに…それで話って?別れたの?」


「「別れてない!!」」


結衣と同時に麗奈先輩につっこんだ

口に紅茶含んでたらお前の顔面に吹きかけるとこだったぞ

こんな朗らかな雰囲気で別れを報告しに来ないっしょ!


「もうちょっと静かにしようね」


大声を出したら陽咲先輩に注意されてしまった

表情は笑顔のままだが、背景に黒いオーラが見える。

彼女の視線の先にはタブレットがあり、画面にはソファの上で『お嬢様』と抱き合っている詩織さんの姿が映っていた。


詩織さん…姿が見えないからなんかやらかしてクビになったんかと思ってた。仕事中だったのか


「あっ」


結衣が小さく声を挙げた

タブレットを凝視している。


「ま、眞帆先輩?」


挿絵(By みてみん)


また大声を出しそうになったがギリギリで声を絞ることが出来た

詩織さんの『お嬢様』はよく見てみると眞帆先輩だった。

眞帆先輩…まだ詩織さんのことが好きだったのか

気付くと私は本来の目的を忘れてタブレットに見入ってしまっていた。




「いい加減にしてくれませんか?何度も来られると迷惑なんです」


「……………」


無機質な詩織さんの声がスピーカー越しに聞こえてくる

眞帆先輩は『お嬢様』なので一応背中に手を回しているが、嫌々やっているのは誰の眼から見ても明白だ。


「その下手な口紅はなんのつもりですか?そんなので私の気を引こうとでも?」


「こ、これは…その…」


詩織さんの言葉で眞帆先輩の唇に真っ赤な口紅が塗られているのに気付いた

慣れない化粧をした為か口紅は唇からはみ出して塗られていてお世辞にも綺麗とは言えない


眞帆先輩、詩織さんにそんな小細工は通用しないです

私にアドバイスしてくれたようにおっぱい出すべきです

今だぁ!おっぱい出せぇぇぇ!!


そんな私の心の叫びは届かず、健全に唇を近づけてアピールしていた眞帆先輩だが、無慈悲にも終了を告げるタイマーが鳴る

一連の姿を見ていたのでカーテンを開けて出てくる彼女を見るのが辛い


「お主たち…来ていたのか」


「あ、はいお久しぶりです」


「眞帆先輩も一緒にお茶しませんか?」


「いや、いい…邪魔したな」


陽咲先輩の提案を断り、眞帆先輩は肩を落として帰って行った。

元々小さい背中が更に小さく見える


「奈妓さん!?…と虫?」


「虫って誰のことじゃー!!」


片付けを終えてソファの部屋から出てきた詩織さんの発言にすかさずつっこむ結衣

ウチの姉にも『毒虫』って日記で呼ばれていたのは内緒だ


「一人と一匹揃ってどうしたんですか?別れました?」


「「別れてない!!」」


今度は『お嬢様』がいないので心置きなく大声でつっこむ

なんでカップルで来ると別れたと思われるんだよこの部活


「なにか話があるんじゃなかったの?騒ぎに来たのなら帰ってもらうけど」


「あ、そうでした」


麗奈先輩の嫌味で本来の目的を思い出した

それにしても何時にも増して当たりがキツいな。カップルに妬いてんのか?このキス処女は




「夏休みにチュウチュウランドに泊りがけかー楽しそうだね」


陽咲先輩は私達の提案に乗ってくれた

手を合わせて楽しそうにしている姿が可愛い


「あまりそういう所に興味はないのですが、奈妓さんが一緒なら良いですよ」


詩織さんも賛成のようだ

なんか怪しい笑みを浮かべながらこっちを見てくるのが気になるが良しとしよう


「反対ね。前にも言ったけどボランティア部に合宿はないの。貴女たち二人で行けば良いじゃない」


堅物れいにゃんは反対

まぁこれは予想が出来ていたので対策は昨日の夜に考えてある。

私は財布から100円を取り出して缶の中に入れた。


「麗奈先輩を指名します」


「どういうつもり?」


訝しむ麗奈先輩を無視してソファの部屋に向かう

途中でタブレットを回収した。これは手元にないと作戦が成立しない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ