もしかして…姉も攻略対象?
帰宅。夕食後、姉と廊下ですれ違う
彼女は私に軽く会釈しながら通り過ぎようとしていた
近所の人かよ!あーもう!!
「ねぇ」
姉の背中に話しかける
ビクっと肩を震わせてからゆっくりと振り向く彼女
なんだよその反応、私が今から怒るみたいじゃん
「な、なにかな?」
引きつった笑顔を浮かべてる姉
ここ最近のキスマーク疑惑事件や脱衣所遭遇事件で私達姉妹の仲は以前よりも増してぎこちないものになっていた。
「ちょっと手伝ってくれない?」
「手伝う?」
姉は首を傾げた。頭の上にハテナを浮かべている
「私は前の敵を倒すから後ろをお願い!」
「わかった」
手伝うというのはゲームの話
私達姉妹はゾンビを倒すゲームで協力プレイをしている
べつに本気で手伝って貰いたかったわけじゃない
姉との仲を修復するきっかけが欲しかったんだ
「奈妓ちゃん、弾は大丈夫?」
「大丈夫だよ」
ゲームまで世話焼くな!
姉はこのゲームをプレイするのは初めてのはずなのに私より良いスコアを取っている。これだから天才は!
「倒したわ!」
「やった!」
姉の銃撃を受けて巨大なゾンビの頭が弾ける
私は既にライフを使い切っていたので応援に回っていた
「イエーイ!」
「!!!!!」
私はすっと腕をあげて手のひらを姉に向ける
ハイタッチの意図を読み取った彼女は躊躇したが、恐る恐る合わせてくれた
ぽすっと間が抜ける音が聞こえてきそうなハイタッチ、でも私達姉妹にとっては大きな一歩だ
姉の笑顔はさっきより自然になっている
少しずつで良い、ゆっくりと私達の壁を取り払っていこう
ふと窓の外を見ると雨は止んでいた。明日はきっと晴れだ




