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08 それはそれ
ゼシカさん、相当落ち込んでおりますね。
無理も無いです。
妻たちから俺のお守りを任された信頼に応えられなかった悔しさ、
フルリとのペアルックの思い出を汚された悲しみ、
俺の計画を見破れなかった屈辱、
その胸中、如何ばかりか。
「ゼッちゃんはなにも悪くないのです」
「ロイさまもおっしゃってました」
「『足りないモノがあると知ればこそ、人は成長できる』のです」
「今日の失敗を糧にして、明日はもっとステキなメイドさんになれば良いのです」
「もちろんふたりでいっしょに、ですよ」
「フルリお姉さまっ」
抱きしめ合うふたり、
俺、泣きそう。
妻たちも、涙目。
アラン家の家族の絆、かく深まれり。
「それはそれとして、お仕置きはどうするのだ」
おっと、リリシア。
感動の名場面に水を差してはいけないよ。
「よかったら、私にお任せください」
ゼシカさんの目に、覚悟の光。
まさに絶体絶命、俺の運命やいかに。