02 変革
もちろん、一緒に暮らしているカミス家やシナギ家の皆さんも幸せそうですよ。
この『平和の館』で暮らしている俺たちの仲間は、今のところ10人。
アラン家から、
俺、フルリ、ゼシカさん、メリルさん。
カミス家から、
カミス君、ハルシャちゃん、シェルカさん。
シナギ家から、
シナギさん、ミナモさん、ルルリエさん。
闘いのための戦闘要員と、日常のための家事要員、
意図したわけでは無いのですが、バランスの良い構成ですね。
もちろん俺もみんなも、離れて暮らしている家族とは『ゲートルーム』でひんぱんに行き来してますから、家族離ればなれ感は全然無いのです。
俺たちがジオーネに引っ越すにあたって、『平和の館』も大改修されました。
あらかじめ、街の管理者であるエルサニアとクルゼスの許可はいただきました。
もちろん、ジオーネの街の政策決定機関である街民評議会からもです。
大改修と言うよりは、ほとんど新築のようなものでしたね。
天才魔導具技師であり超一流建築士でもあるアリシエラさんが、全力で取り組んでくれましたから。
建物の主要部分の建材はアリシエラさんご自慢の『絶金』複合素材。
あの大きな建造物の外壁が、あれよあれよと言う間に作り替えられていく様に、街の人たちもあっけに取られてましたよ。
外装だけではなく様々な点で、もはや旧『平和の館』とは別物。
広い屋上には『転送』用の発着場を余裕のある広さで。
俺たちが普段お世話になっている『転送』魔導車『システマ』だけではなく、
個人用『転送』魔導具『イッテラ』の大人数での利用にも余裕で対応。
設置された『ゲートルーム』は、いざという時のバックアップも兼ねて増設が予定されているとのこと。
遮蔽結界により極秘の試験も可能な屋外訓練場もあり。
もちろん大家族も安心の広々洗濯場と物干し場も完備。
広い屋上はちっちゃな娘さんたちが安心して駆け回れる運動場にもなっておりますね。
屋内の一階・二階は、館本来の機能である政務と会合のための施設です。
エルサニア・クルゼス両国から派遣されてきた統治責任者の方々の執務室と居住施設。
各種セミナーが行われる会議室が多数。
式典用の大ホールも、来賓用の迎賓施設も、皆が満足いくものとなっております。
そして三階より上の階と地下には、俺たちの住居と各種施設。
閉塞感を感じさせないよう工夫を凝らされた部屋は、居心地満点。
現在、ここで生活している俺たちの仲間は3家族10人ですが、
もちろん将来的な大幅増員にも余裕で対応可能。
っていうか、たぶん仲間たち全員で暮らすことを念頭に置いたがゆえの、余裕ある構造なのでしょうね。
どうやらアリシエラさんは、ここをシェルター的な施設として設計した節があります。
最近、厄介な連中からの襲撃が増えてきたので、みんなの集合場所というか避難場所として、これほどまでに強固な施設へと作り変えたようなのです。
願わくば、そういう用途で使用されませんように。
だってジオーネのキャッチフレーズって、『平和の象徴』だろ。
まあ、俺たち自身が厄介ごとを持ち込む可能性が無きにしも非ず。
もしそうなったらゴメンね、ジオーネのみなさん。
もちろんその時は、全力でみなさんをお守りしますから。