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“くっころ”から始まる夢の島  作者: “くっころ”を愛する者
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006 髪の違い

――くっころ喫茶――



「「「いらっしゃいませ~!♪」」」


 オーマイガはネルに連れられ再びくっころ喫茶の扉をくぐる。すると、中から元気のよい歓迎の挨拶が飛んできた。


 メイド達だ。それもくっころの。当たり前だ。この島はくっころ女騎士を集めるためにネルが用意した無人島だったのだから。


 ネルは嬉しそうにほおを赤く染めるとオーマイガの手を引き店の中に導いた。


「みんな、しゅうごぉお~~~うっ!!♪」


 そしてネルが大声で呼び掛けると、店内のメイド達が集まってきた。


 1、2、3……4人だ、どうやら。というか、全員見覚えがある。それもそのはず、全員オーマイガが捕らえたくっころ女騎士なのだから。


 だが、彼女達は今や黒と白を基調にしたメイドドレスに身を包んでおり、当然のことながら剣も持ってはいない。


(もはや騎士ではないん……だが?)


 これでいいのかとオーマイガが自問し始めたちょうどその時、ネルが嬉しそうにこちらに振り向いた。


「オーマイガさん! 見てよ! みんな可愛いだろ!?」


 紅潮した顔で目をキラキラ輝かせているネル。オーマイガはメイド達をじっくり観察する。


 メイド達はと言うと、恥ずかしいのだろう。顔を赤くしてモジモジしている。「――くっ……! どうして私がこんな目に……!」と小さくこぼしたメイドをネルがキッ!とにらみつける。


――なんという早変わりか。


「アリシア。前にオーマイガさんが来た時は君も結構ノリノリだったじゃないか?」

「うっ!? そ、そんなことは――!!」


 ネルに責められているメイドのことはオーマイガもよく覚えている。何せ、ネルと出会ったきっかけのくっころ女騎士なのだから。前に来た時ハート型ケチャップつきのオムライスなるもの――とてもうまかった!――をごちそうしてくれたのでオーマイガとしても好ましく思っている。


 こほんと軽く咳払いし、ネルが仕切り直す。


「それはともかく! 見てよオーマイガさん! みんな見た目が違うだろ!? アリシアは金髪ツインテール! エミリーは――」


 ネルが嬉々としてオーマイガにメイド達それぞれの魅力を説明してくれる。ほとんど理解できなかったが、わかったこともある。


「なるほど……体毛の色や形に違いがあるな、確かに」

「体毛って……髪! カ・ミ! この違い、大事だからね?」

「わ、わかった……」


 ネルの迫力に押されうなずかざるを得ない。そうしないと延々と説教されそうな気がしたのだ。


 髪以外にも色々違いがあるとネルは熱弁してくれるが、一度には理解できない。元々人間のメスの区別は得意じゃないのだ。


 ネルが不満げにほおを膨らませ――ちっとも可愛くない――なおも説明を続けようとしたところ、少し離れたカウンターからハンネスの嬉しそうな悲鳴が聞こえてきた。


「ふぉお~~~っ!? 銀髪寡黙系美少女くっころメイド!?」


 ハンネスは豪快に鼻血を吹き出して後ろ向きに倒れた。後頭部を床に強打してそうで心配だが、それよりも――


 ハンネスが見ていた方には、少し離れて一人のメイドが立っていた。どうやら奥の部屋で着替えを済ませたようで、遅れて現れたようだ。


「……は、はじめまして。シルヴィアです。今日からお世話になります……」


 その少女は先程オーマイガが倒してクルトンに引き渡した銀髪セミロングのくっころ女騎士だった。恥ずかしそうにほおを赤くそめ、丈の短いスカートの裾をくいくいと下に引っ張る無駄な努力をしていた。


――ドキン!


(!? な、なんだ!?!?)


 それを見たオーマイガの胸が高鳴る。他のメイド達は銀髪の少女を見て、『ほぅ』と感嘆の吐息をもらしていた。


 隣のネルはと言うと――


「わんだふぉー……」


 瞬きもせずに少女を凝視し、真顔で硬直していた。 


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