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“くっころ”から始まる夢の島  作者: “くっころ”を愛する者
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メルキドに ②

 天気は急に崩れ、土砂降りの雨となった。そんな中、リーンとテッドは巨大なカエル――ビッグフロッグの群れに襲われていた。


 ビッグフロッグはリーンやテッドの倍以上の背がある。数は三体だが、囲まれるとまるで壁に囲まれたような圧迫感がある。


「ほら見ろ! 僕の言った通りだろ!?」

「こんなデカイカエルが出るまでは言ってなかったでしょうが!! ダベってないで戦う!!」


 リーンとテッドは防戦一方だった。テッドのスタッフによる殴打はビッグフロッグの分厚い皮下脂肪によりボヨンと弾かれ有効打にならない。


 リーンの大剣は初撃こそ入れたものの、ビッグフロッグ達も驚異と認識したのだろう。リーンを狙って三体が四方八方から舌を伸ばして牽制し近寄らせなかった。


「あー! 鬱陶しい舌ね!! ヌメヌメして気持ち悪いし!!」

「杖もベトベトで――ぁ、ヤバッ!」


 雨とビッグフロッグの粘液で持ち手を滑らせ、テッドはスタッフを取り落とす。その隙を見逃すビッグフロッグではなかった。


 ビッグフロッグの舌が地面に転がるスタッフ――ではなく、丸腰のテッドに伸びた。


「うわぁ!?」

「テッド!?」


 テッドがビッグフロッグの舌に巻き取られる。思わずそちらを見てしまうリーンだが、リーンの元にも舌の魔の手が二体から伸びる。


「――あっ!」


 バシッと硬質な音を立て大剣が横腹をつかれ弾き飛ばされる。今までの巻き付けから一転、ビッグフロッグも頭を使ってきた。テッドの方が気になり意識がそちらに向いてしまったからでもあるが――


(カエルごときに! 不覚っ!!)


 ジリジリ距離を詰めてくるビッグフロッグ二体に舌打ちをもらすリーン。


 もう一体のビッグフロッグの口元で飲み込まれないよう必死に抵抗しているテッドが大声で叫んだ。


「鎧の魔法を!!」

「――っ! わかった!!」


 すっかり忘れていた。自分の鎧には風の精霊シルフの加護がかけられている。短時間なら飛べるのだ。急ぎ魔法を発動し、遠くに飛ばされた大剣を拾いに飛ぶが――


 ビッグフロッグの方が早かった。


「――しまっ!?」


 大剣に一直線に飛ぶリーンの身体に舌が巻き付いた。ビッグフロッグの一体に巻き取られ口元に運ばれる。


「リーンッ!!」

「離せっ!! ――このっ! このっ!!」


 リーンもテッド同様、飲み込まれないようビッグフロッグの口を両手でつかみ必死に抵抗するが、舌の力は存外強く、振りほどけない。


(マズイッ!!)


 絶対絶命の状況にテッドの頭が真っ白になる。必死にビッグフロッグの口元であがくリーンの元に今すぐ駆け付けたいが自分だって抜け出せていない。


「リーン!!」


 大切な幼馴染みの名前を叫ぶことしか出来ない。


――そんな自分の無力さにうちひしがれた時だった。



「あと少し耐えろ、二人とも!! ――――フロスト・エアッ!!」


 凛とした女性の大声が聞こえてきた。リーンとテッドは訳がわならないながらも、全力でビッグフロッグの口をつかむ。飲み込まれないように。飲み込まれないように。


「――つめたっ!?」


 そんなリーンの悲鳴が聞こえてくる。目の前離れたところでリーンを飲み込もうとしているビッグフロッグにどこからか白い風が吹き付けられると、その巨体を白く染め上げた。


「――ふわ!?」


 自分にも来た。ひゃっこい! だが、急にビッグフロッグの舌の束縛が弱くなる。これ幸いと、テッドは足で舌を蹴り下ろし、なんとかビッグフロッグの口元から脱出した。


「リーン!」

「よかった! あんたも無事ね!?」


 一足先にビッグフロッグの口から脱出したリーンが、普段は見せない飛びきりの笑顔をこちらに向けてくる。


 感極まりリーンに走り寄って抱き締めたくなるテッドだが、先程の凛とした女性の声が再び聞こえてきて我に帰る。


「無事……のようだな、二人とも。こんな雨の中、徒歩での移動は危険だ。身を持って知ったところだろうがな。最寄りの村まで乗せて行こう。――なんだ、フューリア。仕方無いだろう? 緊急事態だ」


 白馬に乗りローブのフードを目深に被った女性がフードを持ち上げ顔を見せる。


「おお……」

「キレイ……」


 女である――そして、美形という自覚のあるリーンですらそんな感嘆をもらす。それを気にした風もなく白馬にまたがる女性――クラウディアは、フューリアに乗ったままリーンとテッドの元にゆっくりと近付いてきた。

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