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“くっころ”から始まる夢の島  作者: “くっころ”を愛する者
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メルキドの町

 カーキ色のフードローブに身を包む男がメルキドの町の路地裏を歩む。


――メルキドの町。


 オーマイガの縄張りである森――通称、ルイスの森――の北方に位置しており、魔物の侵入を防ぐため、全周囲が壁に囲まれている。


 町の規模に対し住人の数は多くない。そして、冒険者の比率が他の町に比べ高いという特徴があった。


 メルキドの町自体にこれといった特産品は無く、交通の要所というわけでもない。ましてやたくさんの魔物が住まう森が近くにあることから、あえてこの町に近付こうという物好きは冒険者くらいのものだった。


 この国においてはメルキドの町よりもルイスの森の方が知名度は高いくらいなのだ。町が栄えないのは致し方ないことだろう。


 町が栄えていないとは言ってもされど町。快晴の中、表通りはガヤガヤと騒がしい。冒険者がギルドに集まったり、ギルド近くに並ぶ冒険者向けの商店や宿屋はやはり人通りが多い。


 そんな中、日も十分に当たらない路地裏を歩く方が珍しい。ましてやローブのフードを目深にかぶり、顔は伺いようもない。


『私、怪しいです』と見た目は全力で主張しているものの、この路地裏は人気がないので問題にもならない。いたとしても同じような風体のものばかりで逆に溶け込んでしまう程だ。


 男は迷わず奥まで進み、ある店の裏口のドアをノックする。


――コン、コン、コン、コン。


 ノックは4回。同業者にのみ通じる符丁(ふちょう)だ。


 やがて、少しの間が空き、扉の反対側から声がかかる。


『くっころは?』


 合言葉だ。仲間内にのみ通じる正しい言葉を返さなければ門前払いだ。一般人には意味がわからないだろう。だが、男にとっては造作もない。


「我が人生」


 男――ネルがそう答えると、扉の鍵がカチャリと外される。ネルは迷わずその店に入った。ネルが入ると店の中にいた男が直ぐ様扉を施錠する。そして、二人して店の中まで進むと男が急に笑顔になりネルの肩を叩いた。


「よく来たブラザー!」

「ははっ! ビルも元気そうでなによりだよ!」


 フードを外すネルの顔もかけね無しの笑顔だ。店の男――ビルが奥に親指を向ける。


「もうみんな向こうで待ってるぜ? ほら、行こうぜ!」

「うん!」


 ネルはビルに続き店の奥へと足を踏み入れた。


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