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中編

閲覧、ブクマありがとうございます!

明日で完結です。

異世界の言葉で、主人公が意味を分かっている言葉は平仮名、

よく分かっていない言葉はカタカナで表記しています。

今日は新学期の初日、ひろいんが編入してくる日だ。

使用人たち曰くテンプラ、だっけ。

あれちがうな……てんぷらは確か使用人たちが

異世界の食べ物だって作ってくれた料理だわ……

まあとにかく彼女はそのような名前のもの通りの理由で、

平民なのに特例で編入して来ると言っていた。


朝は必ずアデン様が馬車に乗って迎えに来てくれる。

これもきっと、ひろいんが現れてからは変わってしまうんだろうな、

と思うと、不本意だけど少し悲しく思った。

アデン様は、とても優しいし、鍛錬を欠かさない為力もあるし、

美しい王妃様に似て、綺麗な顔立ちだ。

隣にずっと居て、結婚するのが当たり前だと思っていたのに。

「ねえ、どうしたの?またぼうっとしてる」

アデン様はそう言って、私の頬にちょんと触れた。

こうして身近な者だけに見せてくれる、無邪気なところも、素敵で。


でもこの人を好きになったら私はげえむの様に、

身を滅ぼしてしまう。

それがとてつもなく怖い。

命を賭ける恋、なんて響きはいいけれど、そんなもの、いらない。

アデン様はそれはそれは素敵な人だけれど、彼に恋をしているかと言うと違うと思う。

何でだろう。

別に愛しいとか思ったことはないし。

恋なんてものになる前に、アデン様への興味を失くしてしまう方が身の為。

そういえば、侍女の一人がアデン様のようないけめんはアテウマみたいと言って、

他の侍女に怒られていた。

いけめんは、顔立ちの良い人って意味らしいけれど、アテウマって何?



しかし、登校しても、授業が始まっても、編入生なんて現れない。

潜入している侍女たちからの連絡も来なかった。

彼女たちは私に協力したいと言って、なんと教師や生徒として学園に紛れ込んでくれているのである。

記憶を元に、ひろいんを特定し私に連絡し、私がひろいんと関わらないように、

またいべんとという名のアデン様とひろいんの接触を邪魔してくれるのだという。

異世界の記憶を取り戻した使用人たち(なんと使用人の7割くらい)は、

私の家族と同じくらい私を救おうと協力してくれている。

それは正直私にとってもかなりの救いだった。


それにしても、どうして連絡が来ないの。

疑問に思ったが、結局何の変化もないまま私は家に帰った。


帰宅して、晩御飯の席で私は両親に衝撃の事実を聞かされた。

両親は密かにひろいんの疑いがある平民の少女を調べ上げ、

使用人たちの記憶をもとにひろいんを見つけ出し、

理由を作って国外へ送ったらしい。

娘の命がかかっているのだ、

何もしないわけがないだろうと涼しい顔をして言われ嬉しくて苦笑した。

はじめは殺そうと思っていたが証拠を消しても

人を殺めたことは後に脅迫材料にもなりうるから、やめたらしい。

今日まで私に言わなかったのは、げえむの強制力で、ひろいんが

突然学園に現れる可能性もあると判断したからと聞かされた。

それでもげえむの影響により私が危険な目にあわないために、

侍女たちは引き続き警戒してくれるそうだ。

私は久々に泣いた。

少女には申し訳ないけれど、嬉しかった。

こんなにたくさんの人が協力してくれたことと、

死ななくていいことが嬉しかった。

王妃教育も無駄じゃなかったんだ。


ところが、使用人たちが七夕だと、

おりひめとひこぼしの話をしてくれた夏の夜、私は突然この国から連れ去られた。

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