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読み切り集(全ジャンル)  作者: 新城真理亜
2/3

一人ぼっち(ホラー)

私はみゆき。


私にはたくさんの友達や家族がいた。


その時はとても幸せだった。


なのに、


あの日、私は一人ぼっちになったんだ。


11月5日

この日は、私は家で留守番で家族は出かけていた。

そのため、私だけが家にいた。


そして、突然それはやってきた。


警察から電話がきたんだ。


その内容が、私を一人ぼっちにさせた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「美幸さんですよね?」

「そうですけど?」

「警察です。」

「え?何故警察が?」

「貴方の家族が亡くなりました。」


その言葉を聞いても私には理解することは出来なかった。


「どういうことですか?」


震える声でそう言うと警察は、


「貴方の家族が亡くなりました。」


さっきと同じ言葉を返してきた。


「は?意味分かりません!ちゃんと説明をしてください!」


そう私が叫んだ時。

携帯にニュース速報が届いた。

そこには、『ある家族が事故で亡くなりました。現在警察が事件性を調べています。』と書かれていた。


「貴方に聞きたいことがあります。」


困惑している私には気づかなかったかのように、警察は話を続ける。


「なんですか?」


震える声で私は答える。

そして、次の言葉に私は凍りついた。


「何故、逃げたんですか?」


何を言っているのか理解が出来なかった。


「何を言ってるんですか?どういうことですか?」

「車に乗っていた貴方は何故逃げたんですか?」


私には理解が出来ない質問を警察は繰り返す。


「私は家にいましたよ?」

「嘘をつかないでください。」

「嘘なんてついてない!私は家にいました!」

「証拠なんてないでしょ?」

「何が言いたいんですか?」


私は家にいた。

それは間違いない。

なのに、

同時にまた携帯にニュース速報が届く。

『警察により、殺人事件と判断されました。理由は、タイヤに細工がされていた模様です。』


「今のニュース見たでしょ?」

「貴方が細工したんでしょ?」


そう、責めるように警察は言う。


「意味が分かりません。」

「貴方を殺人容疑で逮捕します。」

「意味が分からないって!私は家にいたの!それにどうやってタイヤに細工なんてするのよ!」


どんなに私が抵抗しても、意味はなく私は逮捕された。

私は意味がわからず、どうやってそれを証明すればいいのかをずっと考えていた。

そんなある日、こんなメッセージが届いた。


「助けてあげようか?」

「あなたは誰?」

「私は美幸。貴方よ」

「正確にはもう1人の貴方ね?」


その人は意味のわからないことを言う。


「は?」


私の問いには答えずに美幸は話を続ける。


「私が変わってあげようか?」

「ふざけるのもいい加減にしてよ」


もう、私の精神は弱りきっていた。


「ふざけてないよ。」

「みゆきはやってもないことをしたことにされてるんでしょう?」

「それね、私がやったの♡」

「だから、変わってあげるって言ってるのわかる?」


は?って言う言葉よりも、悲しみよりも怒りが湧いてきた。


「貴方が犯人なの!?それなら、さっさと変わりなさいよ!!」

「本当に変わってもいいの?」

「当たり前よ!早く変わりなさい!!」

「そう、なら変わってあげる♡」


聞いたことの無い声が聞こえたかと思うと、突然睡魔に襲われ、私は眠ってしまった。

次に目を覚ました時は、私の部屋だった。

安心したのもつかの間、私は違和感に気づいた。

何かがおかしい。

いくらなんでも静かすぎる。


「どう?嬉しい?」


するとどこかから美幸の声がした。


「なんでこんなに静かなの?」


私の疑問に美幸は当たり前のように返す。


「なんでって、あなたしかいない世界なんだから静かに決まっているでしょう?」

「は?」

「私ね、ずっと寂しかったの。一人ぼっちで……」

「貴方は私で、私は貴方なのに。」

「貴方だけが幸せに過ごしているのが許せなかったの!!」

「でも、もう許してあげる♡」

「だって、変われたんだもの、やっとね♡」

「貴方にずっと変わって欲しかったの。だから、成功して良かったわ」


にこにこ顔で話す美幸の姿がテレビに浮かんでいる。

私は怖くなって美幸に向かって叫ぶ。


「意味がわからない!!早く元の世界に戻して!!」

「嫌よ、まぁもう無理なんだけど」

「なんで!!」

「だって私、ちゃんと言ったよね?」

「は?何を?」

「『本当に変わってもいいの?』って聞いたよね?」


あ、あの言葉……


「じゃあね、一人ぼっちのみゆきちゃん♡」

「ふざけんな!!」


そう叫んでも美幸がテレビに戻ってくることはなく。

そのまま消えていった。


それから私はもう1つの世界にいる。

一人ぼっちで生きている。


「ねぇ、変わって」

「私が貴方と変わってあげるから」

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