勝利の真相(タケル視点)
僕は異世界転移するまで、冴えない人生を送っていた。
陰気で根暗で何の取り柄もない、フィギュアやプラモデル集めが好きなただのオタク。
クラスの皆からは馬鹿にされ、親からは遊んでいないで勉強しろと怒られて、一つ下の妹からは見下される毎日。
そんな僕にある日、好機が訪れた。
『勇者様、どうか今から行く別の世界を救ってはくれないでしょうか?』
突然別の世界の女神から、異世界転移してくれないかと言われたんだ。
異世界転移ものに憧れていた僕は、この誘いにすぐに乗った。
前の世界に未練なんてない。
あんな地味で冴えない世界、もうどうだっていい。
転移する直前、女神は「何か必要なスキルがあれば神様権限で用意します」と優しく言ってくれた。
なので僕はその言葉に甘えて容姿を変えてもらう事にした。
どうせ異世界転移するなら、ラノベでよくあるようなハーレムものを目指したい。
だけど僕の見た目は自分から見ても地味でブサイクで、とてもハーレムなんて作れる程の見た目ではない。
だから僕は女神に頼んで、金髪で高身長のイケメンに容姿を変えてもらった。
女神によって与えられた新しい容姿は本当に格好良くて、僕はとても気に入った。
異世界転移してから始まった新しい生活は、まさに理想通りだった。
異世界転移モノで良くあるステータスを気に入られなくて国外追放、からのダンジョンマスターへの転身。
可愛い女の子たちが仲間になってダンジョンを起点にして一緒にあちこちを冒険してその街の事件やトラブルを解決して、自分よりも強い魔物や僕に立ち塞がる敵をドンドン倒していった。
周囲からは一躍注目されるようになり、冒険者としての実績も残してSランク冒険者にまで成り上がった。
人間からも、他のダンジョンマスターからも注目され、可愛い女の子達と過ごす生活は、本当に充実していた。
そんな時、僕と同じ異世界転移者の女の子を見つけた。
本名は小森瞳子で、此方での名前はアイネスと言うらしい。
女神に見捨てられて、異世界言語もアイテムボックスも鑑定も使えない、欠陥だらけの異世界転移者。
ゴブリンと中位精霊しか共に連れていない、惨めな女の子。
正直顔は好みじゃなかったけど、同じ異世界転移者の子に恋心を持たれて仲間にするっていう展開もラノベでは良くある展開だし、興味があった。
だから僕はいつもしているように、アイネスに<誘惑>を掛けようとした。
しかしそこから、僕の充実した異世界生活が歪んでしまった。
精霊に邪魔をされて<誘惑>を掛けようとした事がバレて、自分より力のないアイネスに説教じみた事を言われて、更には僕のことを認めてくれていると思っていたディオーソスさんにパーティーへの参加を禁じられる羽目になった。
理不尽過ぎる事に僕は怒って、彼女にダンジョン戦争を挑んだ。
この制度は良い。このダンジョン戦争に勝てば、どんなに無茶な要求でも相手に飲ませる事が出来るから。
僕と僕の仲間たちの強さだったら、どんな敵だって敵わない。
そう、思っていた。
なのに。
なのに。
なのに!!!
僕の仲間たちが、配下達が、次々と倒されていく。
それも、強いステータスなんてない魔物たちや欠陥転移者のアイネスが作った罠に嵌って。
そして僕も、結界の中に閉じ込められるなんて呆気ない方法でアークデビルロード達のような強敵と戦う間もなく戦えない状況に追い込まれた。
認めない。こんな形で終わるなんて。
こんなの、英雄の終わり方じゃない!
僕が必死に叫んでいると、僕に良い知らせが聞こえてきた。
やはり神は僕を見捨てていなかったらしい。
―――――――――<アイネス様の魔物は殆ど他の魔物に抑え込まれて身動きが取れない様子!敵の前にはアイネス様が対峙しています!これはアイネス様、大ピンチか!!>
「な、なんですって!?!?」
アイネスが、とうとう見つかった。
その実況を聞いて驚くフェアリーロードとは裏腹に、僕は思わず笑ってしまう。
「あ、アハハ、アッハッハッハッハ!」
そうだ!まだダンジョン戦争は終わっていない!
これはチャンスだ。
アイネスには<鑑定>を使わなかったから正確なステータスは分からないけど、アイネスはこの世界の住民並にステータスが低いと聞いた。
それに対して攻略部隊の面々は皆高レベルで戦闘能力が高い。
それに皆、僕がユニークスキルを使って創り上げた最強の武器を所有している!
誰が最深部前まで来たのか分からないが、そいつがアイネスを気絶に追い込むか最深部にあるダンジョンコアに触れれば一気に形勢逆転して僕たちの勝利になる。
そうか、今まで魔物達が次々と倒されていったのは、この逆転勝ちの状況を作り出す為に必要な事だったんだ。
大丈夫だ、まだ勝つ事が出来る。
それにこのダンジョンは絶対に最深部にあるダンジョンコアまで行くことは出来ない。
だって、僕にしか行くことが出来ないのだから。
「ようやく追いついたぞ!」
「フォレス、今の実況を聞きましたか?!」
「イグニレウスさん、ベリアルさん!ええ、聞きました。今、アイネス様の身がピンチだと…」
どうやらアークデビルロードとエンシェントドラゴンも此方に追いついて来たらしい。
二人は僕の姿を見て目を丸くして、フェアリーロードの方に話しかけた。
「そやつは敵のダンジョンマスターか?!って、目の前に敵がいるではないか!」
「大丈夫です、イグニレウスさん。彼は此方が攻撃さえしなければ、動く事が出来ません。」
「は?どういう事だ?」
フェアリーロードの説明にエンシェントドラゴンが素っ頓狂な声を上げる
その間も、ブラックデーモンパンサーは目を閉じて佇んでいるだけ。
くそ、目の前に敵がいるのに何をやっているんだ?!早く倒せよ!
「今はそんな事はどうだって良いです。アイネス様の身に何かある前に、我々が最深部のダンジョンコアを触れなければいけません。早く最深部に向かいますよ。」
「それもそうですね…。」
「このダンジョンマスターはどうする?」
「このまま放置します。此処で彼の相手をするのは時間の無駄ですし、此処で彼を相手にして、変な考えをされたら後が面倒ですから。今はアイネス様の身の安全を考慮し、早くダンジョンコアに触れてダンジョン戦争を終わらせる事を最優先します。」
そう言って僕に目を向ける事なく、僕の前から立ち去ろうとするアークデビルロード。
僕なんて敵じゃないみたいな言葉が本当に腹が立つ。
けど、僕は彼にニヤリと笑い、言ってやった。
「最深部に行っても無駄さ。君達はダンジョンコアの前に来ることすら出来ない。」
「……なんですって?」
「どういう事だ、小僧?発言はもっと相手を見てから言え。」
この場を去ろうとしたアークデビルロード達が振り返り僕を見る。
その鋭い眼光に少し怯えそうになるが、僕は負けじと彼らに笑ってみせた。
「冗談なんかじゃないさ。だってこのダンジョンを攻略できるのは、僕しかいないんだから!」
「「「「はぁ!?」」」」
「最深部の扉は、ダンジョン戦争が始まる直前に変更して、正しいパスワードを入力しないと入ることが出来ないようになっているんだ。」
「『パスワード』…というと、アイネスの持ち歩いている魔道具に付けられた文字を入力して開くあれか!?」
「パスワードは7桁の正しい数字を入力しないと入ることが出来ない。そして、そのパスワードを知っているのは僕だけだ!僕がパスワードを入力しない限り、絶対に誰も最深部に入る事は出来ない!」
「なんだと!?」
「しかもそれだけじゃない!最深部の中は、地雷で埋め尽くされている!誰かが中に足を踏み入れた事を察知すると、中の地雷が一斉に爆発するようになっているんだ!その地雷を解除するにも、僕が設置した解除スイッチを押さなければ行けない。その解除スイッチの場所を知っているのも僕だけだ!だから、君達に僕のダンジョンの攻略は不可能なんだよ!」
パスワードと地雷のコンボは、前にダンジョン戦争で危うくダンジョンコアに触れられて負けそうになってからこっそり仕掛けるようになった。
毎回ダンジョン戦争直前に仕掛けて、パスワードも地雷の場所も毎回違っている。
念には念を入れて、この事はリリィ達も知らせていない。
僕だけが知っている秘密のトラップだ。
「貴様、ダンジョン戦争では誰も立ち入る事が出来ない場所にダンジョンコアを設置するのは禁じられているのだろう!」
「小童!そなたはなんて卑怯な真似を…!」
「煩い!勝てればそれで良いんだ!それに、最深部はちゃんと入る事が出来る。この僕だけがね!だからダンジョン戦争のルールに抵触していない!」
「この糞ガキが…!」
要は、勝てば良いんだ。
後で敵が文句を言ってもそれは負け犬の遠吠え。
何の意味も持たないんだ。
「だったら、貴方からパスワードを聞き出すまでです。マリア程ではありませんが、洗脳魔法だったら…」
「やってみろよ!僕は状態異常への無効スキルを持っているんだ!絶対に掛かるものか!」
「チッ…!だったら、力づくで貴方の口を割らせるだけ…!」
「ひっ!」
アークデビルロードはそう言うと、その手に巨大な黒い槍を手にする。
あれは確か、闇魔法の極大魔法。
あの槍を食らったら流石にひとたまりもない。
僕は思わず短い悲鳴を上げてしまうけど、その前にフェアリーロードとエンシェントドラゴンが止めに入った。
「駄目です、ベリアルさん!今のまま貴方が彼に手を出せば、下手したら殺しかねません!」
「貴様、アイネスが取り付けた追加ルールを覚えているだろう!?」
「なら、このままアイネス様が傷つけられるのを放置しておけというのですか!?」
良いぞ、このまま仲間割れしてしまえ。
彼らが何をしてももう遅い。
次の階層はちょっとした迷路になっていて、此処から最深部に続く扉は最短で10分くらい掛かるし、闇雲にパスワードを押して開こうとしたらそれ以上掛かる。
もう彼らに出来る事は此処にはないんだ。
<あーっと!タケル様の魔物がなんとか持ちこたえ、アイネス様から最深部に続く鍵を奪取!>
<アイネス様、大ぴ~んち。>
<タケル様の魔物はそのまま最深部に向かおうとしています!アイネス様が敵に後ろから抱きついて止めようとしていますが残念!軽すぎてなんの障害にもなっていません!>
<タケル様の魔物、ついに最深部突入~。ダンジョンコアまであともうちょい~。>
もうすぐだ。
もうすぐで僕の勝利が決まる。
誰にも、僕の勝利を止められない!
『一方のダンジョンが勝利条件を満たされたため、ダンジョン戦争が終了しました。』
ほら、来た。
僕の勝利を知らせるアナウンスが、とうとう―――――――
『勝者、ダンジョンマスターアイネス。』
「……………………へぁ?」
アイネスが、勝者?
この言葉を聞いて、僕の頭の中は真っ白になった。
「う、嘘だろう…なんで…なんで僕が負けているんだ…?な、何かインチキをしたんだろう!」
「貴方ではないんですから、するわけがないでしょう?」
僕は頭の中がパニックになりながらも、目の前のアークデビルロード達に問い詰めた。
しかし彼らも何故か困惑の表情を浮かべている。
「しかし、これは一体どういう事でしょう。何が起きたのか分かりませんね。」
「なに!?貴様が何かしたんじゃないのか!?」
「していませんよ。失敬な。むしろ貴方がなにかしたのでは…いえ、有り得ませんね。」
「せめて最後まで言い切れ!!」
どうやら、彼らも何故自分達が勝ったのか分かっていないようだ。
彼らはどうなっているのかを知ろうと話し合っている。
だが、そんな事はどうだって良い。
僕は目の前に突きつけられた真実を、どうしても受け入れられなかった。
「ば、馬鹿な!有り得ない!!最深部の扉はパスワードでロックされていて、中は地雷と罠ばかりで、僕しか入る事が出来ないはずなのに、一体どうやって!!」
「あっちょっと…」
ダンジョン戦争が終わった時点で、既に結界は解除されていた。
僕は転移魔法を使って、最深部の扉前まで転移をする。
到着した扉の前では、信じられない光景が広がっていた。
「う、嘘だろ?!扉が開いている…それに、解除スイッチも押されてしまっているじゃないか!?」
パスワードによって守られていたはずの頑丈な扉は完全に開いていて、地雷の解除スイッチも押されてしまっていた。
一体誰がダンジョンコアを触れたのかを確認するため、僕は最深部の中に入ってダンジョンコアに近づいていく。
ダンジョンコアの前には、誰の姿も見えない。
辺りを見渡し、<マップ>や<気配察知>を使って調べるものの、魔物の反応は全くない。
まさか誤報?と思っていたその時、突然自分のすぐ背後から魔物の気配を察知した。
「ぎゃーう!」
「うわぁ!?」
後ろから聞こえてきた声に驚き、僕は尻もちをついた。
僕の背後にいた者を良く見れば、そこにいたのは一体のゴブリンだった。
「ご、ゴブリン…?」
「ぎゃう!」
あのゴブリンは確か、アイネスがパーティーに連れて来たゴブリンだったはず…。
まさか、このゴブリンが最深部に到達してダンジョンコアに触れたのか?
そんなの、有り得ない。
だって、知能の低くて魔物の中でも最弱と言われているゴブリンだぞ?
無数に仕掛けられた地雷を避けて解除スイッチを押すどころか、パスワードすら見破る事が出来ないはずだ。
それなのに、一体どうやって…。
「ぎゃうぎゃう。」
「これは…手紙?まさか、読めっていうのか?」
「ぎゃーう。」
胸を張って大きく頷いたゴブリンを見て、僕は恐る恐るその手紙を開いた。
するとその手紙には綺麗な文字の日本語で僕に向けて書かれていた。
『タケルさんへ。
この手紙を見ているということは、ゴブ郎くんがダンジョンコアに触れて私達が勝ったということですね。
何故自分がいつの間にか負けていたか、何故此処にゴブ郎くんがいるか、とても不思議に思っている事でしょう。
簡単にネタバラシをしますと、実は私がタケルさんのダンジョンに送った攻略部隊の魔物の数は最初からベリアルさん、イグニさん、フォレスさんの三人に加え、ゴブ郎くんを含めた4人だったんです。
私が自分のダンジョンに逃げ込む際、私はゴブ郎にあるスキルを一つ使ってから私は最深部に向かい、ゴブ郎くんはそのまま元の場所に戻り、フォレスさんの背中にしがみついてもらいました。フォレスさんには一応その事を伝えてはいますが、多分実感はないかと思われます。
ゴブ郎くんには2つのスキルが施されていました。
一つは、フォレスさんの<精霊結界>。これは、万が一フォレスさんの背中にいるゴブ郎くんに攻撃がされた際と、何かがあってフォレスさんから分断して先を進まなければいけなくなった時の保険でした。
そして、もうひとつは私のスキル、<隠蔽>です。これを使って、ゴブ郎の姿を見えないようにしていました。
あ、もしかして、「それだったら<気配察知>で分かるはずだ!」とか思っていますか?まあ、そう思うでしょうね。
ただ、私のスキルってちょっとバグってるというか、変なのが多いんですよ。
その中でも目に見えてバグっているのが、<隠蔽>スキルなんです。
普通はスキルレベルが10までの所、私の<隠蔽>のスキルレベルは20。
つまりは上限突破しちゃってるんですよね。
この<隠蔽>を使っている時は対象の姿を見えないどころか、周囲の人は気配も声も察知できなくて、完全に認知されなくなるんです。
実際に私自身に使って自分のダンジョンを回ってみたんですが、誰も気づかないどころか、通ったら起きるはずの仕掛けすら全く反応しませんでした。
凄いバグスキルですよね(笑)
ただもしもゴブ郎に使うとなると<隠蔽>を使った私自身もゴブ郎くんが生きているのか、ちゃんとダンジョンを進めているのかわからなくなるんですよ。だからゴブ郎くんには通信機と<隠蔽>の掛かっていない小石、そしてカメラを持っててもらい、時折生存報告として通信機近くで小石を叩いて音を立てる事でお互い連絡を取り合っていました。
1回は異常なし。2回は単独行動開始。3回は、ダンジョンコアの側までやって来た。って感じで。
貴方の事ですから、最深部に爆弾とか自分にしか解除出来ない罠を仕掛けていたんじゃないですか?
ですが残念な事に、そもそもの罠が発動しないんですよ。
姿だけでなく、ゴブ郎の言動も全て認知されていないから。
攻略部隊に最強魔物3体を組み込めば、万が一ゴブ郎の存在がバレてもきっと気にも止めないだろうって思っていたんです。
最弱の魔物なんて、どうせ最深部にまで行けないだろう…って。
で、実際どんな気持ちですか?
自分がその最弱の魔物と思っていたゴブ郎くんによって、自分のダンジョンを完全攻略された気持ちは?
ゲーム・オーバー。お疲れ様でした。
アイネスより』
手紙を全て読み終えた後、僕はとうとう膝から崩れ落ちた。
その手の手紙を握り潰し、その敗北感と屈辱で動けなくなってしまった。
アイネスには全部分かっていたんだ。
僕が最深部に僕以外の誰も入られないようにすることを。
その事を知っているから僕が少し余裕だったのも、全て。
「こんなの…こんなの…。」
こんなの、信じたくない。
これじゃあまるで、アイネスには未来が全て視えていたようじゃないか。
未来が読めるスキルだなんて、チートすぎる。
僕の負けは既に決まっていたんだ。
パーティーで、アイネスにダンジョン戦争を挑んだ時から、既に。
僕は、敵に回しては行けない人を敵に回してしまったんだ。
「此処が最深部ですかね?」
「おい、なんか、地面に嫌な匂いがするぞ。」
「もしかすると、それが地雷というものの匂いかもしれませんね。どうやらもう大丈夫そうですが…。」
どうやら僕の後を追いかけてきたのか、迷路を突破してきたらしいアークデビルロード達がやって来た。
僕の前に立っているゴブリンが彼らの姿を見ると、すぐに駆け寄った。
「うおっ、ゴブローではないか!?」
「おや、ゴブローさんではないですか?何故貴方が此処に?アイネス様と一緒にいるのでは…。」
「ああ、やっぱり貴方がダンジョンコアに触れたんですね。一応アイネスさんから軽く話は聞いていましたけど、本当に一緒にいたとは…。」
「ぎゃう!」
「ちょっとフォレス、もしや貴方、何か知っているんですか?」
「フォレス!俺様達にも説明しろ!どうせゴブローがまたも凄い事をやり遂げたんだろう!」
「簡単に言ってしまえば、そうですね……。恐らくですが、今回の攻略側で一番大きい活躍をしたんじゃないでしょうか?」
「なにっ!?また俺様はゴブローに出し抜かれたのか!?」
「流石はゴブローさん…。アイネス様からの信用を得ていて、実質ダンジョンのNo.2に立っているだけありますね。」
「ぎゃうぎゃーう♪」
彼らの会話が耳に入ってくるが、彼らの会話に入る力がもうない。
信じられない、こんなの信じたくない。
だって僕はレベル100超えのトップレベルのダンジョンマスターで、Sランク冒険者の英雄でもあるんだ。
そんな僕が、ゴブリン一匹に負かされるなんて、有り得ない。
こんなの夢だ。きっと悪い夢なんだ。
ああ神様、今すぐこの敗北をなかった事にしてくれ!!




