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【番外編】 それぞれのペアの会話 その3

首を寝違えて一日開けました。本当申し訳ありません!(ジャンピング土下座)

再び番外編でございます!

時間はあべこべ、中身は何処かの先輩後輩ペアのとあるやり取りです!

今回のペアは、コイツらだ!

《女帝蛸人魚と麗人魔女》


「クロウフィッシュの鱗、バブルシーウィード、…。ライアンさん、火の温度をもっと上げてくださいまし」

「ああ、このくらいで良いかい?」

「ええ、これで十分でしてよ。そのままの温度を保ってくださいまし」

「分かった」


 ウィッチ達が錬金術やポーション作成をするために用意された一室。

 男装麗人系ウィッチことライアンと、スキュラことオメアがこっそりと作業をしていた。

 コポコポと音を立てる鍋に怪しげな材料を入れ、かき混ぜる姿はアイネスの元の世界でイメージされる魔女そのものだ。


「あとは魔力を注ぎながら人魚の涙を入れれば……」


 オメアが鍋の中に真珠のように輝く液体を一滴注ぐと、鍋からボンッ! と音を上げて紫色の蒸気が吹き上がる。

 完成した青紫色の薬品をガラス製の容器で掬い、照明に透かして言った。


「これで、媚薬の完成ですわね」

「うん、お疲れ様」

「いやなんて物作ってる####」


 薬品の完成に喜び声を上げるオメアとライアンの背後の扉から、アイネスのツッコミが入る。

 アイネスの手にはポーション用の容器の入った箱。

「人間に害のある材料を使う時があるから入る時はガスマスクと白衣をつけてね!」というウィッチ達直筆の注意書きに従って見るからに怪しい姿をしているアイネスに特に驚いた様子もなく、ライアン達はアイネスに声を掛けた。


「あれ、アイネスちゃんいらっしゃい」

「あら、いつの間にいらしたの?」

「いました#、##さっきから。何か作業#していた##なので終わるまで待ってた####、2人#何#作ってる####……。というか材料何処##手に入れた####?」

「オメアちゃんがスキルで出していたよ」

「召喚魔法と収集系スキルの混合スキルですわ。わたし、海中に存在する物なら何処でも手に入れられますの」

「媚薬なんて誰#使うつもり###……。組み合わせ次第##カオス#なり###」

「え、組み合わせ次第じゃ最高の間違いじゃないかい?」

「何処#見た#そうなる###?」

「ふふ、媚薬というのは冗談でしてよ。これはただの人魚専用の人間化薬ですわ。いつまでもケット・アドマー達の作った魔法道具を頼りにしてる訳にもいきませんし、何より金属製のアクセサリーはずっと海中に浸けていると錆びますもの」


 ライアンが満面の笑顔で放った言葉にツッコミを入れるアイネスに対し、オメアはクスクスと笑いながらそんな事を言った。

 今、オメアの足はアイネスやライアンと同じく人間の足になっている。

 ケット・アドマー達が用意した<変化>が付与された特製のアクセサリーで人と同じ姿を取っているのだ。


 オメアはつい先程ガラス容器で掬った薬品を口に付けて飲み干すと、腕につけていたブレスレットを外した。

 本来ならブレスレットを外せば元のタコ足へと戻るにも関わらずオメアの足はアイネス達と同じ人間の足を保っている。

 それでアイネスも、オメアの言う通り彼女たちが作っていたのは人間化の薬だったという事を知った。


「それにしても、本当に良かったのかい? 定期的に魔法のポーションを作って飲むよりもアクセサリーを付けている方が都合良いんじゃ……」

「わたし、いつまでも誰かの頼りになっているのは嫌いですの。それに同じ人化でもポーションを使う方が入浴時などに面倒がないですもの」

「##、確か#楽####。アクセサリー#落とす心配#ない###」

「ダンジョンのお風呂は色々種類があるからね。水風呂以外に入れるというのも良いかもしれないよ」


 アイネスのダンジョンの風呂場は調理場と寝室の次に充実している場所だ。

 スケルトンにワイト、アラクネにコボルト、その他種族多様な魔物たちに合わせて、彼らが快適に入る事が出来る風呂やサウナなどが用意してある。

 特に女性風呂は美意識の高い女性魔物達の為にミルク風呂や炭酸泉など、美容に良い風呂がある。

 そして今回水棲魔物故に高い温度の水が苦手だろうオメア達が来たことで水棲魔物向けの水風呂も用意されたのだが、水棲魔物向けの美容風呂は設置されていない。

 元の姿のままでは熱くて長時間入っている事はままならないが、人間の状態のまままであれば美容風呂にも入る事が出来る。

 だからオメアは早急な人化のポーション製作に励んでいたのだ。


「####、ポーション##色んな効果#物#ある###」

「組み合わせや手順、それに魔力の込め方で結構変わるからね。人間たちが知らないだけでポーションのレシピの数は数百を超えるんだ」

「人間でもスキル<調合>とレシピがあればポーションは作れるはずですわよ。アイネスはそういったスキルはお持ちでなくて?」

「持ってない###。魔力#量#不安#ある##、今後習得するつもり#ない###」

「別に持ってなくても問題がある訳じゃないし、それで良いんじゃないかな?  ダンジョンにはポーション作りが得意なボク達ウィッチやオメアちゃんもいるしね」

「わたしはそれより、アイネスの世界に存在する生物や知識が欲しいですわね。未知の場所の未知の薬草と知識を使えば、きっととびきり強力な効果を持つポーションが出来るはずですわ。これを機にわたし共に教授しませんこと?」

「###、流石#それ#ちょっと」

「あら、残念ですわね」


 オメアの誘いをきっぱりと断り、アイネスはその手に持っていた箱を近くのテーブルに置き、専用の場所に容器を仕舞って補充していく。

 そんなアイネスの姿を興味深しげに見つめ、オメアはポツリと呟いた。


「にしても、アイネスは本当ダンジョンマスターらしくないですわね」

「#####?」

「普通、トップに立つ者はそんな雑用なんて致しませんわ。料理も掃除も雑用も、全て下に任せられるんですもの。下々の者達と混ざって雑用などを行っているダンジョンマスターなんて、アイネスぐらいじゃないかしら?」

「はは、確かにアイネスちゃんはダンジョンマスターとしてはかなり珍しい部類ではあるだろうね。ベリアルさんと並んだらベリアルさんの方がダンジョンマスターだって間違われた事もあるみたいだし」

「そもそも、私#そんな主人##柄##ない####。こう##料理し##雑用してる方#向いて##。出来て精々寮母####」

「寮母さんかぁ……。ボクはどちらかというとアイネスちゃんは管理人って呼び方の方が似合ってると思うけど、確かにアイネスちゃんには寮母って呼び方でもピッタリだね」


 エプロンを身に着け、普段通りに皆の世話を焼いているアイネスの姿を想像し、ライアンはクスッと笑った。


「それ#、こんな風#雑用#料理#して##方#結構色々見えやすい#####」

「見えやすい?」

「何がですの?」

「皆さん#どう過ごしている###、好き嫌い##」

「ああ、確かにアイネスちゃんって皆の食べ物の好みとか色々把握しているよね」

「皆さん#部屋#掃除して###皆さん#性格###なんとなく分かり###、洗濯物#服#好み###分かり###」

「そういえばアイネスちゃんは定期的に皆の部屋の掃除や洗濯した服を畳んで皆の部屋の前に分けて置くなんて事もしてるからね。そう考えるとアイネスちゃんの仕事って結構皆の性格や好みを知りやすい仕事なんだろうね」

「もしかしてこのダンジョンの魔物全員の弱点や弱みも把握してたりしてますの? 部屋の中や食事などを振る舞っているとなると、そういう事も把握出来てしまいそうですし」

「あぁ、確かに。アイネスちゃんなら皆が隠している秘密とか性癖なんていうのも分かっちゃったりしそうだよね」


 冗談交じりに言ったオメアの言葉にライアンも冗談交じりに反応してみせる。

 そんな2人の会話を聞いたアイネスは、突然サッと目を逸らした。

 アイネスの反応を見たオメアとライアンは、笑顔を浮かべたまま首を傾げた。


「……」

「……あれ、アイネスちゃん?」

「ここは、「そんな事ないですよ」って否定する所じゃないですの?」

「……」


 笑顔を引き攣らせながらも、優しく問いかけるライアンとオメア。

 しかし、なおもアイネスは2人から顔を逸らし、目を合わせようとしない。

 そんなアイネスの様子に、オメアとライアンはとてつもない程嫌な予感を抱く。


「ま、まさか、本当に皆の弱みとか秘密を知ってたりするのかい……? ボク達がこっそり隠している物とかも?」

「……2人とも、ベッド下#本#隠す#、止めた方#良い###」


 その言葉を聞いた瞬間、ライアンとオメアは大きな悲鳴を上げた。

 その後、アイネスは<オペレーター>の通訳を借りてこう告げたらしい。


『皆さん、隠し場所が安直過ぎるんですよ。せめて掃除範囲外に置いてください』


その後、オメアとライアンが物の配置を変え、認識誤認魔法を掛けたのは言うまでもない。


《自由奔放な海蛇と春風駘蕩な牡牛》


「~~♪」


 ミノタウロスの代表の片割れ、セダムはシルキーズに頼まれていた荷物の乗ったカートを鼻歌交じりで運んでいた。

 中身は今日の夕食に使う食材だ。

 セダムが夕食に出てくる食事のメニューを想像しながら食堂へと向かっていると、その途中の廊下で一人うろうろと歩いているシーサーペント・リヴァイア……ルークスを見つけた。

 教育担当であるウーノもおらず、一人ウロウロと徘徊しているルークスが気になったセダムは、気になってルークスに話しかけた


「あんまぁ、ルークスさ“ん、此処で何しとっぺ?」

「あれぇ、牡牛くん。奇遇だねぇ~」


 セダムが話しかけると、ルークスは独特なペースの口調のまま挨拶を返した。

 そんなルークスにセダムは同じくのほほんとした口調で尋ねた。


「ルークスさ“ん、ウノくんと一緒にいねぇべ良いんだべか? きょーいく担当と新人は一緒にいなかダメってベリアルさ”んが言ってたべさ」

「子コボルト1号くんは今子コボルト2号くん達の所だよ~。オレはその間にニンゲンちゃんからご飯貰おうかな~って思って」

「あんまぁ、ほんとルークスさ“んはアイネ”スの作るご飯が気に入ったんだべかぁ。歓迎会でもめたんこご飯食べとったかんねぇ」

「あれ、すっごい美味しいよねぇ。初めて食べた時に気に入っちゃって、ついつい食べられるだけ食べちゃったよ~」

「その気持ち、オイラも良く分かるべ~。あれ、めたんこ食いたくなるけぇよ~」

 

 アイネスがその場にいれば、「此処は某牧場ゲームの世界か?」と呟きそうな長閑な空気を発しながら、2人は会話する。

 彼らはマイペースに、ゆったりとした会話を続けている。


「そういえば、牡牛くん達って元々は外の魔物って聞いたけど、本当なの~?」

「んだ。そうだべぇ。ゴブすけにこのダンジョン来ねぇかって誘われたんだべよぉ」

「あれぇ、おれは牡牛くん達が他のダンジョンマスターに騙されそうになったから来たって聞いたよぉ?」

「オイラ達もまだ良く分かってねぇけんど、そうらしいだべなぁ」


 ルークスの言葉に、セダムは苦笑を浮かべる。

 セダムは頭をボリボリと掻いて、ヘラヘラと苦笑いを浮かべながら言った。


「オイラ達は、んな頭が良くねぇかんなぁ。こっで難しい事とか良く分からんべ。だから、簡単に騙されたんだろうなぁ」

「へぇ、そういうものなんだぁ」

「だかんこそ、アイネ“スんとこ来れたんは幸運だったかもしんねぇなぁ」

「え~なんでぇ?」


 満足げに笑みを浮かべ、のほほんとした口調で言ったセダムに対し、ルークスは問い返した。

 すると、セダムは糸目の目尻を下に下げ、ゆったりと笑みを浮かべた。


「このダンジョンは頭が良いのが多かぁ。だから、オイラ達が騙されても誰かが代わりに止めてくれるっぺ。オイラだけじゃ守れんことを、このダンジョンじゃ守ってくれる。おまけにオイラ達の性格に合わせて仕事もくれるけ、此処での仕事はオイラ達にはほんどに天職だべよぉ」

「ふ~ん……、そんな風に考えてるんだねぇ」

「ご飯がうんめぇのも寝床が良いんのもそだけんど、オイラが一番過ごしやすかぁって思ったのはそこだっぺ。あと、アイネ“スが話を聞いてくれんのもありがてぇべ」

「あ~、良く皆と会話してる姿を見るもんねぇ~。おれは完全に、ご飯に釣られて配下になったようなものだけどぉ~」

「それでも良いんでねぇか? 人間も魔物も、過ごしやすい、此処にいてぇって思ったとこで生活すんのが良いべ」

「そうだねぇ~」


 セダムの言葉に同意して相槌を打つルークス。

 二体の別種族の魔物達が笑い談笑する姿はこのダンジョンでは珍しくはないものの、外に出ればかなり驚かれる光景だろう。

 そんな会話を繰り広げていた二体だったが、ふとルークスは、セダムがいる方向とは全く別の方向を向いた。


「あ~、あっちにニンゲンちゃんがいる~! おれ、もう行くね~」

「おやつ貰ったらウノくん所戻らんと駄目だっぺよ~!」

「うんうん、分かってる分かってる~。ニンゲンちゃ~ん!」


 ルークスはアイネスが近くにいるのを察知したのか、会話も切り上げ、楽しげにステップを踏みながらアイネスがいる方へと向かっていく。

 結構近くにアイネスはいたのか、アイネスの驚いたような声がセダムの耳にも聞こえた。

 セダムは耳をピクピクと動かし、尻尾を左右に振りながら、また鼻歌を歌いながら食堂へと向かう。


「~~♪」


 30分後、漸く食堂へ到着したセダムはシルキーズに「寄り道しないでください」と注意を受けてのほほんと笑うのだった。


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[一言] 寝違えてるのにジャンピング土下座とかするのは首に良くないですよ。
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