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黄色の扉 ~呪いの崖と信頼の物語~

「クソッ…どうなってんだよ、ここは…!」

「ゔぃ、ヴィクターさん!右に落とし穴が!」

「だぁっ、わぁったよ!右だな!」


俺の名はヴィクター。Dランク冒険者で、職業は狩人だ。

Cランク冒険者二人と俺とヒーラーのパメラを含めたいつもの冒険者仲間の4人で新しく出来たというダンジョンに来た。

今は二人一組で別れてそれぞれ別の場所に行ったんだが、俺とパメラが入った黄色の扉は恐らくその中でも最悪のルートだ。

俺とパメラが入った黄色の扉の先に見えたのは崖だった。

崖の下は相当深いのか底が全く見えなかった。間違って足を踏み外して落ちでもしたら、ひとたまりもないだろう。

向こう岸には奇妙な台と、直ぐ側に宝箱が見える。崖には向こう岸に行くための橋があったんだがその橋の前には看板があった。

看板にはこう書かれていた。


『先に一人が橋を使って向こう岸に向かえ。』


最初は看板を無視して二人で渡ってしまおうと思ったが、橋は一度に一人しか渡れる幅がなかった。

仕方ないので遠距離でも近距離でも戦う事が出来る俺が残り、パメラを先に向こう岸へと向かわせた。

パメラが向こう岸へと渡ると、先程まで存在していたはずの橋は音もなく消えた。

看板を見てなんとなく予想はついていたが、まさか橋そのものが消失するとは思わなかった。

俺とパメラが呆然としていると、向こう岸と此方がわのちょうど真ん中あたり…つまりは地面も何もない崖の上に身体の透けた金髪の幼い少年が姿を現した。

ゴーストの類かは分からないが、あれが恐らく壺野郎の言っていた物語の管理人という奴だろう。

金髪の少年は姿を現すとすぐ話し始めた


『昔、此処でとある冒険者が仲間に裏切られ、崖に突き落とされて亡くなったんだよ。信頼していた仲間の裏切りに怨念を抱いた冒険者は死んだ後凄まじい力を持つ怨霊になって、この崖を呪われた崖へと変化させたんだ。それ以来、複数の人達がこの崖を渡ろうとすると、皆仲間割れの末に全員死んでしまうんだ。ある日、お互いを信頼し合う冒険者チームがこの崖に棲む怨霊の討伐にやって来たんだって。冒険者の怨霊はその冒険者チームに彼らの友情を試すための試練を与えた。試練を達成できれば相応の宝を手にすることが出来るけど、失敗しちゃったら宝も貰えずに崖に真っ逆さま!冒険者チームは協力してその絆を証明できるのかな?』


これが、物語のあらすじという事だろう。

仲間に裏切られた冒険者が怨霊になった物語だなんてなんとも悪趣味だ。

問題の試練の内容は、物語の管理人の少年がそのまま説明した。

まず、試練が始まると、向こう岸へと向かうための道が姿を現す。

一見その道は普通に渡れそうだが実は沢山の罠が仕組まれていて、渡る奴には絶対に見破ることが出来ないらしい。

向こう岸にはその罠を看破するための魔道具があって、既に向こう岸にいる奴…今回の場合はパメラはその魔道具を使って、向こう岸に渡る奴…つまり俺が向こう岸まで渡れるように指示を出さなきゃいけない。

無事に俺が向こう岸まで渡ることが出来たら先へ進む事が出来るが、もしも渡れなかったら俺は崖から落ちてジ・エンド。

更に、道をそのまま維持するにはパメラが魔道具のある台の前に留まって、台に触ってなきゃいけないらしい。

少年が消えた後に姿を現した道の途中には宝箱がいくつかあり、パメラの指示次第では途中で宝箱を取る事も出来そうだった。

最初この説明を聞いた時にはこんなもの、楽勝だろうと思っていたが、そうはいかなかった。


向こう岸に渡る道は一歩でも踏み外すと崖から落ちそうになるし、途中やって来て襲いかかってくる魔物を相手するのも大変だ。

パメラはパメラの方で指示を出している途中で驚かされたり魔物が襲いかかってきたりして、思わず台から離れたくなりそうな状況を作っている。

実際、パメラの頭上から蜘蛛が落ちてきて驚いたパメラが台から手を離してしまったことで道が消えて、危うく俺が落ちかけた。

たまたま俺が立っていたのはパメラが台から手を離しても消えない渡り石の上にいたからバランスを崩しかけつつも落ちる事はなかったが、もしタイミングを間違えば落ちていただろう。

しかも、パメラの近くに魔物が現れた時には戦闘能力の乏しいパメラの代わりに俺が弓を使って倒さなきゃ行けないから、気を緩める事が出来ない。

…途中、パメラの横で食い物を食べ始めたゴブリンがいたんだが、その変な行動に気が抜けかけてバランスを崩しかけた事への怒りとゴブリンのくせに妙に美味そうに食い物を食べていることへの苛立ちから問答無用で弓矢をぶっ放した。

その後に見つけた宝箱からゴブリンの野郎が食べてたであろう食い物が入ってたので、それは丁重に回収した。


なによりキツイのが、俺の命をパメラが預かっていることだ。

パメラを信頼してない訳じゃないが、パメラの指示次第で俺が崖から落ちるという状況は俺に相当なプレッシャーを与える。

なにより、パメラのいる岸には直ぐ側に宝箱があるのだ。パメラは俺の生与奪権を持っているだけでなく、俺を犠牲にして台から離れ、向こう岸にある宝箱の中身だけを取って去ることも出来るんだ。

勿論パメラがそんな事をする奴じゃないと分かっているが、冒険者という奴は時にはダンジョンアイテムのためだけに非情にもなれる生き物だ。

かなり信頼のある仲間だとしても、この状況は相手が裏切るんじゃないかって疑ってしまう。

これがもしお人好しのトビーだったらパメラを信じて先に進むことは容易いだろうが、元々職業柄疑り深い俺には中々キツい。

パメラもパメラで、俺を見捨てるという選択があることを悟ってか、かなり具合が悪そうだ。気弱なパメラらしい。


「ヴィクターさん、次、前方に大きくジャンプしてください!」

「大きくジャンプだな。分かった!絶対にその台から離すんじゃねーぞ!」


そんな疑心暗鬼が生まれそうな状況の中、なんとか協力しあい、なんとか危ない道を9割程渡りきった。


「ヴィクターさん、後はまっすぐ此方まで来れば大丈夫ですよ!」

「ようやくか…なんか精神的に疲れるダンジョンだったな。」

「そうですね…ですが仲間同士の協力関係を強めるには良い所かもしれませんね。」

「そりゃあこんな事やらされたら嫌でも強まるだろ…。」


ようやくプレッシャーから抜け出せるという安心感からか、俺とパメラはそんな軽口を叩いていた。

後もう少しで向こう岸に辿り着ける、そう思った矢先に突如として黒い霧に覆われた、血だらけの男が俺の後ろに現れた。

男の手足はボキボキに折れていて、身体から大量の血を流していることから明らかに生きてないのが分かる。


まさかコイツは、物語の管理人が言ってた裏切られて死んだ冒険者の怨霊か!

怨霊は俺の耳元で囁く。


『あの女は、お前を裏切って逃げるつもりだ。裏切られる前に殺してしまえ』


怨霊の囁きは俺の心を惑わせる。

もしパメラが両手を使えれば聖属性魔法を使うことが出来たかもしれないが、今パメラが手を離してしまえば俺は落ちることになる。

しかし、このまま放置すれば悪霊は俺を操ってパメラを殺すかもしれない。

そうしたら、パメラと俺は共倒れになる。

パメラもそれを分かっているのか、顔を青ざめ何も言えなくなっている。


俺は顔を青ざめ震えるパメラの顔を見た後、大きく深呼吸をして、今も俺に囁き続ける怨霊に向かって振り返ると、笑顔で口を開いて言ってやった。


「テメーみてぇな未練タラタラなゴーストの言葉程度で、俺らの仲を崩せるとおもってんじゃねーよ!!!」


そう啖呵を切ってやると、俺は大きく足を振りかぶって向こう岸まで全力で走る。

後ろは絶対に振り返らない。ひたすら前へ、前へと走る。

俺は自分の出せる限りの力を使って走りながら、パメラに向かって叫んだ。


「パメラ!聖属性魔法を使え!!」

「えぇっ!でもそうしたらヴィクターさんが…!」

「良いから、早く!!」

「わ、分かりました!」


俺の言葉に戸惑ったパメラだが、すぐに何かを察したのか、台から手を離して冒険者のゴーストに両手を向けた。

パメラが台から手を離した事で消える道。俺はタイミングを見計らって前方に向かって大きくジャンプした。


「<浄化(ピュリフィケーション)>!」


パメラの<浄化(ピュリフィケーション)>がゴーストに直撃し、ゴーストは忽ち姿を消した。

俺は向こう岸の端に手を伸ばし、必死に捕まろうとする。


(届け!!!)


俺の願いは届いたのか、ギリギリ右手が向こう岸の端を掴んだ。

しかし掴んだ場所は風で荒んでいたのか、俺が上がろうとすれば崩れてしまいそうだった。

俺は左手も上へ手を伸ばしたが、その前に右手で掴んでいた場所が崩れてしまった。


崖下へと急速に落下する俺。一瞬走馬灯が見えた。

その時、俺が伸ばした左手を誰かが掴み上げた。


「ぱ、パメラ…?!」

「う、ううぅぅ…」


それはパメラだった。

パメラはその両手で俺の左手を掴み、必死に持ち上げようとする。

けれど俺やトビーに比べて力のないパメラに体格の大きい俺を持ち上げる事は叶わず、パメラも一緒に崖下へと落下してしまう。


「きゃあああああ!」

「うおおおおお!?」


これから受けるであろう落下の衝撃に目を瞑ってしまう。

底は全く見えなかったから、かなり長い間落下するだろうと思っていた。


「…ん?」


しかし、俺が思っていたものとは裏腹に、ボフッという音と共に俺とパメラはあっさりと底にたどり着いた。

多少落ちた衝撃を感じたが、それは大怪我をするほどの衝撃ではなかった。

恐る恐る瞼を開いて、上半身を起こして周囲を見てみる。

崖底は黒くて厚手のクッションのような物が敷き詰められていたらしく、相当深いだろうと思っていた崖は、精々20メートル程度の浅い崖だったという事に気がついた。

底や壁に黒いクッションを敷き詰められていたせいで、俺達の予想よりも深い崖に思い込まされていたようだ。


『このダンジョンで侵入者を殺す気はないというなんとも変わった…いえ、平和的な思考の持ち主なのでございます!』


あの壺野郎の言っている言葉は正しかった。

こんな徹底して安全対策を施したダンジョンで、人が死ぬことなんてそう簡単にないだろう。


「は、はは…。どんだけ平和主義なんだよ…」

「ゔぃ、ヴィクターさん…?わ、私たち、死んでしまったのでしょうか…」

「バーカ、目を開けてみてみろ。どうやら無事みたいだぜ」


未だにクッションの上で目を瞑ってプルプル震えているパメラに声を掛ける。

パメラはビクビクしつつも目を開けて、崖の下の全貌を見た。


「え…え…??」

「ブハッ、なんだよその顔。」

「だ、だって此処、ダンジョンの中ですよね…?」

「おう。人を殺す気のないダンジョンの主が作ったダンジョンの中だよ」

「えぇぇ…?」


ポカーンと唖然としているパメラを笑いつつ周囲を見回すと、『途中落下者の出口は此方です』と大きく書かれた看板のある扉を見つけた。

扉を開けてみれば扉の先には帰還用の魔法陣が敷いてあった。

どうやら、あの試練をクリア出来なかった奴はこの魔法陣で帰れるらしい。

本来、帰還用の魔法陣はダンジョンのボスを討伐した後じゃないと出ないのだが、それを途中脱落者用の魔法陣として使うなんて此処のダンジョンマスターは本当に変わっている。


「おら、パメラ。ぼーっとしてないでさっさと戻るぞ。」

「え、あ、はい…」


今の状況を完全に理解できていないパメラに声を掛けて、俺はパメラと共に帰還魔法陣の上に立った。

魔法陣によって到着した場所は、他のダンジョンと同じようにダンジョンの入り口前だった。

トビーとメアリー、それにCランク冒険者の二人は既に戻ってきていたようだったのだが、なんか様子が可笑しかった


「うおおおお…ドロシー…献身すぎるだろ…っ。冒険者のやつには勿体ねぇ…!」

「グスッ、ああ…この気持ちを外で他の奴らと共有出来ないなんて酷すぎる…!」


Cランク冒険者のテッドさんとフレディさんは、何故かボロボロと号泣していた。

ドロシーとは、女の名前だろうか?

ダンジョンのルールで自分達の行った扉の先で何があったのかを言えないからか、ひたすら「勿体ねえ」「早く他の奴らにも行かせねぇと」と涙を流しながら呟いている。


「あんの屋敷の主、頭おかしいんじゃないの!?あんな引っ掛け問題を出すだなんて…!特に17問目の謎とか、酷かったわ!」

「確かにあの問題は凄い捻くれてたな!俺的には14問目の謎の答えに文句を言いたくなった。」

「その謎も酷かったわよね!あー、全部謎を解けなかったのが悔しいわ!!」


メアリーは地団駄を踏みながら悔しそうな表情で色々文句を言っていた。こういう時止める側に回るトビーも何故かメアリーに賛同している。

謎、ということはなんか頭を使う系か?二人の悔しがっている様子から見て、俺とパメラ同様、完全に攻略する事は出来なかったようだ。


「おーいトビー、メアリー、戻ってきたぞ。取り敢えず報告を…」

「ヴィクター!戻ってきたのか!お前らの所はどうだった?」

「ああ、惜しい所まで行ったけど完全に攻略出来なかった。しっかり落ちたわ」

「落ちた!?」

「ええ、落ちましたね…それはもう綺麗に…」

「綺麗に落ちたってどういう事!?」


俺たちの報告にツッコミを入れるメアリーとトビーに、思わず吹き出してしまう。

ルールがあるから詳細に教えることが出来ないが、改めて考えると可笑しい報告だ。


「お前らの所はどうだったんだ?聞いてる感じ頭を使うみたいだが」

「そうよ!アタシ達の所は本当酷かったのよ!散々煽られるわ、謎は訳分かんないわ、本当にムカつくの!」

「それを言うなら俺たちの所も酷かったぞ。初っ端から心臓に悪い事が起きたしな。」

「ああ。あと思いっきり泣かされた」


どうやら、選んだ扉によってその先にある内容が全然違うようだ。

…心臓に悪いのに泣かされるってどういう事だ?


「けど、これだけは一つ言える!」

「ああ、出された問題は酷かったけど、これは称賛するしかない」

「おお、なんだよそれって…」

「「あのダンジョンにある食べ物は全部美味い!」」

「マジか」


綺麗にはもったトビーとテッドさんの言葉に、思わず驚いた。

確かに、途中パメラの横でメシを食い始めたゴブリンが食べてた物は遠くから見ても美味しそうに食っていたが、二人がそこまで言うほど美味いのか


「そうなのよね…アタシ達の所は途中で休憩場所があったんだけど、そこにあった食べ物が本当甘くて美味しくて…。その場限りで持ち帰りが出来なかったのが本当に残念だったわ…!」

「マジか!俺たちの所じゃ疲労回復効果のあるポーションだけしか出なかったぞ!それも美味かったけど、どうせならもっと腹持ちがいい物を食いてぇよ!」


余程その食い物が美味だったのか、持ち帰る事が出来なかったことを嘆く4人。

俺とパメラは顔を見合わせると、鞄から途中の道で手に入れた宝箱の中身…食い物が入っているらしき変な容器を幾つか取り出すと、そこに貼り付けられた説明文を読む


『長期保存が可能な容器に入った肉料理です。切り口から横に開いて開ければそのまま食べられます。開封後はお早めにお食べください』


『かぼちゃ味の「クッキー」という長期保存可能な食べ物が入っています。容器を開けてそのまま片手で食べれます。』


試しにクッキーという物が入った袋を開けてみると、三本の長方形型の食べ物が入っていた。

一本をパメラに渡して、トビー達の視線を浴びながら、その食べ物を口にしてみる。

その瞬間、その美味さに俺とパメラは驚かされた


「なんだこれ!スゲーうまっ!」

「サクサクとした不思議な触感に、ふんわりと自然的な甘さ…いくらでも食べれそうです!」

「ズルいズルいズルい!なんでヴィクター達だけ食べ物持ち帰れてるのよ!」

「そうだ!確かこのダンジョンでは盗みは禁止だろ!?なんで二人だけ食べ物を持ち帰ってるんだ!?」


「クッキー」の味を堪能している横でメアリー達が文句を言いながら、最後の一本を奪おうと躍起になる。

俺は自慢の高身長を利用して二人に届かないように最後のクッキーを高く上げながら言ってやった。


「俺らの行った扉の向こうで見つけた宝箱の中にはこういう食い物が入ってたんだよ。途中ゴブリンが似たようなのを美味そうに食べてたから回収しといたが、これは当たりだったようだな!」

「なにそれ、ズルくない!?アタシ達だって頑張ったのに!」

「おいおい、嬢ちゃん達は途中で休憩がてらに似たような物を食ったんだろ!俺たちはポーションだけだったんだ!だから此処は先輩である俺が最後の一本を貰う!」

「先輩なのは俺も同じだろ!俺がそれを食うよ!」


美味い食い物が絡むと此処まで必死になれるのか、トビー達はこぞって口論をしている。

まあトビー達は俺たちと違い、途中でダンジョンの用意した食い物を食べたようだからな。このダンジョンの用意した食い物の美味さを知っているなら、こうなるのも必然だな。


「だーー!止めろ止めろ!これは俺とパメラが取ってきた物だ!誰が自分の戦利品を渡すか!欲しけりゃ別の日に自分らで取ってこいよ!」

「くっ、それもそうだな…。赤の扉で時間を使ったのが悪かったか…。」

「だ、だが、その代わり上質な武器や火起こしに使えそうな魔道具は手に入れられたしな!今後の事を考えたら役に立つ戦利品だ!」

「あら、此方は換金したらかなり良い値段で売れそうなアクセサリーや綺麗な音楽を奏でる魔道具を手に入れたのよ?」

「大金が手に入ればその分強い武器を買うことだって出来るからな!」


なるほど、扉によって違うのはその内容だけではなく、宝箱の中身も同じみたいだ。

しかも聞いている限りどのアイテムも冒険者なら欲しがりそうな物。

こりゃあ何度もダンジョンに挑戦する輩が増えそうだ。


「ふふっ…」

「あ?どうしたんだよ、パメラ」

「いえ…。なんだか皆さん、とても楽しそうだと思いまして。」

「ああ…。確かに…」


メアリーもトビーもさっきは散々文句を言って悔しがっていたが、本気で嫌な目に遭った様子ではない。

テッドさんとフレディさんも赤の扉で苦労しつつも感動する事も起きてたらしい。

俺とパメラもダンジョンの中で試練を受けてた時はお互いが裏切らないか不安だったが、今こうして終わってみると少し信頼関係を築けたような気がする。


命の危険がなくて、宝箱の中身は良い物ばかりで、なおかつその道中を楽しむ事が出来るダンジョン。

かなり変わったダンジョンだが、多くの冒険者がやって来そうだ。


「オラッ、いつまで口論してんだよ。早く出発しねぇと日が暮れるぞ。さっさと出ようぜ。ダンジョンはまた別の日にでも行けるんだからな」

「そうだな。こうなったら、知り合いの冒険者達にこのダンジョンに行くように勧めて、俺たちと同じ目に遭わせてやんよ!」

「おうよ!俺らみてぇに号泣すれば良いんだよ!」

「パメラ、今度は私達と一緒に青の扉に行きましょう!二人で駄目なら4人で挑戦するわよ!」

「ええ、勿論です!」

「次こそは屋敷の謎完全攻略を目指すぞ!」


楽しげに会話を交えつつ、ダンジョンを後にする俺たち。

次は黄色の扉の試練を完全攻略してやる。待ってろよ、怨霊野郎め。

俺は心の内で怨霊野郎に悪態をついて、新しく出来たダンジョンの調査を終えたのだった。


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