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創造神クズが多すぎません?

タンザに家庭教師を頼んだことで私はあっという間に勉強の遅れを取り戻した。

それどころか、タンザの教え方が上手なお陰で一ヶ月先の予習まで進めることが出来て、一息付けるようになった。

これからは週2でタンザに家庭教師をしてもらうことでいつ異世界に帰っても学校生活に支障がないように勉強をしようと思う。


なお、社会科は未だに壊滅的だ。

テナーの持つ一度見たものを記憶するスキル<カメラアイ>を獲得して克服しようとしたけれど、タンザにすぐさまストップされた。


「克服する案としては悪くないが、一度取ったスキルは消せないのだからもう少し様子を見てからにしなさい。」


とのことらしい。

確かによく考えてみれば、一度見たものは絶対に忘れないというスキルを獲得すれば社会科は人並みに克服するかもしれないけれど、デメリットもある。

一度見た物は忘れないということは、悲しい出来事や辛い出来事に直面すればその光景がずっと脳裏に焼き付いてしまい、二度と忘れる事が出来ないということでもある。

一つの教科の克服のために苦痛の記憶を今後背負って行く必要があるのは少しリスクが高い。

タンザに今までは毎日3,4時間勉強をしていたことを伝えたら「ダンジョン経営やベリアルとイグニの自衛特訓もある中にそれだけの時間を自習に使えば身が持たないだろう」と、敢えて暫く社会科は勉強しないことが決まった。

正直苦手科目過ぎてうんざりしてきたので助かる。


その代わりとして、私は此方の世界の常識や言語を覚えるための授業を受けることになった。

確かにこの異世界を過ごしていく中で異世界のことを覚えるに越したことはない。

一々<オペレーター>に聞く必要がなくなるし。

タンザさんのお陰で簡単な読み書きと会話程度なら喋られるようになった。

会話って言っても、本当に簡単な挨拶や単語だけな上に全部片言なんだけどね。

ステータスを確認したけど、異世界言語スキルは習得出来ていなかった。

どうやら本当に異世界言語スキルは創造神が許可を出さないと習得できないらしい。

あのクソ女神をぶっ飛ばしたい。


まあ、片言だろうが簡単な読み書きだろうがこの異世界で言葉が少し分かるようになるなら良い。

<オペレーター>の通訳だって一日ずっと付けられる訳ではないからね。

試しに一度ベリアル達相手に異世界言語で簡単な挨拶をしてみたのだけど、凄い驚かれた上に褒められた。

イグニとフォレス、それにマサムネやフクさんに至っては頭をもみくしゃ撫でられた。

君たち、何目線で頭撫でてるの?というか何だと思って撫でてるの?

私人間の女子高校生だよ。孫でもペットでもないよ。


「私が指示出したり皆の持ち場を見に行ったりするといつも頭撫でられたりおやつやジュースくれたりしますけど、あれなんででしょうね?私そこまで子供じゃないんですが。」

『回答。第一印象と、身体的特徴により実際の年齢よりも下に見られているからでしょう。』

「え、一体何歳だと思われてるんですか私。」

『回答。平均として、8歳から9歳程度だと認識されているようです。』

「すっごい年下に見られてますね。」

『告。また魔物は人間の寿命よりも遥かに長命な種族が多く、その若々しい見た目とは裏腹に100歳を越えていることがあります。大抵の人間は彼らから見れば赤子や幼児と同等かと。』

「種族ギャップじゃないですか。」


確かに日本人を含めたアジア人は外国人から実年齢よりも若く見られるというのは聞いた事があるけど、種族間でもそれが通じるとは思わなかった。

しかし、見た目よりも年齢が行ってるとは、まさにファンタジー世界だ。

もしかしてディオーソスさんやミルフィーさんも……

いや、これ以上は止めておこう。こういう事は実にデリケートな問題なので。


『告。報告があります。』

「おっと、いきなり唐突ですね。もしかして元の世界に帰る方法でも見つかりました?」

『否。違います。』

「違うんですか。」


そう簡単に帰れるわけないですよね。

聞いてみて損だった。


「じゃあ報告ってなんですか?」

『回答。要望されていたことの手続きが完了しました。』

「要望されていたこと…?」

『回答。<鑑定>と<アイテムボックス>のスキル回路の設定変更作業の件です。』

「ああ!」


そういえば、最初の頃にそんなことを<オペレーター>に頼んでいた。

色んな騒動がありすぎて使えないその2つのスキルの存在自体忘れていた。

だってステータスが見れないからそのスキルがあることすら確認しないし、異世界言語とは違って使えなくても別に困らなかったし。

<オペレーター>さんに聞けば大抵のことは分かったし、外に出ることがないから多少重いものを持ち運ぶのもあまり苦ではない。

あれば便利なのだろうが、使えなくても別に支障がなかったのだった。


「ていうことは、私も他の異世界転移者みたいに<鑑定>や<アイテムボックス>が使えるようになったということですか?」

『肯定。その通りです。』

「おおー…実感は全然ないですけど、良かったです。」

『告。しかし、一つ報告しなければいけない事があります。』

「え?」


いつもと変わらない無機質な、しかしどこか申し訳無さそうな声で言う<オペレーター>。

私が首を傾げていると、<オペレーター>は続ける。


『告。異世界転移者特典として獲得することが出来る<アイテムボックス>と<鑑定>は、正規方法で獲得出来るスキルと機能の差が存在します。』

「ああ、ラノベで良くあるやつですよね。普通の<アイテムボックス>の中だと物の時間はゆっくりと流れるけど、異世界特典の<アイテムボックス>は何故か時間停止機能がついてたりするやつ。あれよく分からないですよね。同じスキルなのに。」

『肯定。その例えで合っています。同一名のスキルで機能が違う理由として、同じスキル名であってもスキル獲得までの手続きの経緯が違う事が挙げられます。』

「経緯?」


私が復唱すると、<オペレーター>は律儀に説明してくれた。


『告。まず正規方法で獲得するスキル…特典や祝福を除いた理由によるスキルですが、これらはスキルを管理するシステムによって人々に授けられます。スキル情報を作成、獲得者へのインプット、スキル回路の設定変更を全てシステムが行うため、これらのスキルは全て同じ効果を持ちます。』

「AIが事前に決められたマニュアル通りにコピーアンドペーストして量産している…って感じですか?」

『肯定。それに対し、特典や祝福といった理由で獲得出来るスキルは、創造神や下位の神々、及び同位の存在が直々にスキルを作成、獲得者へのインプット、スキル回路の設定変更の全てを行います。システムと違い力ある存在がその獲得者に合わせて手続きをするため、システムが作成するスキルと違いスペックが優れています。』

「その手のプロが一から作り上げた、オーダーメイドのスキル…って感じですか?」

『肯定。大体その通りです。』


要はスキルの名前は同じだけど作成者が違う、似て非なるスキルということか。

確かに量産品よりオーダーメイドの方が機能のスペックが良いと言われれば少し分かる気がする。

どうして神々が作るのとシステムでスペックの差を出しているのか尋ねたいところだけど……何故だろう、とってもしょうもない理由な気がする。

神々がシステムより優秀なんだって証明するための見栄とか、そういう感じがする。


『肯定。その理由もスペックの違いの一つでもあります』

「いや合ってるんですか。」

『告。しかしそれとは別に特典や祝福が正規方法で与えられるスキルと機能が同じでは祝福と特典の意味がない、という意見が創造神の中で出たためという理由もあります。』

「特別感入れるならなんでスキル名を同じにしてるんですか…。」

『回答。一時期別スキル名にすることを検討していたのですが、『殆ど効果の同じスキルなのに違う名前のスキルにするのはめんど…もとい住民間で問題が起きるのではないだろうか?』という創造神の意見により、スキル名を同一にすることが決定しました。』

「その創造神、「面倒」って言おうとしましたよね?絶対面倒だったのが理由ですよね?」

『告。なお、その意見を出した創造神は後日5股により他の創造神に殴られていました。』

「うーんクズか。そして他の創造神さんグッジョブ。」


クズは神であろうと処すべきである。

そんな神、他の創造神に殴られて正解だ。

しかし、そのスペックの差の違いを何故今説明されたのだろうか?

<オペレーター>は更に説明を続ける。


『告。以上の説明で分かるように、特典として贈られるスキルとシステムが与えるスキルでは名前が同じでもスキルを得るための手順が違います。更に、外からスキル回路の設定変更の手続きを行う場合、異世界転移者としての手続きを終えている必要があります。』

「へぇ~なるほど…。あれ、まさかとは思うんですが…。」

『肯定。貴方様をこの世界に転移させた創造神は異世界転移者の手続きを途中放棄。結果として外からスキル回路へのアクセスが出来ない状態にあります。』

「下衆の所業じゃないですか。」


つまり、私は異世界に入るための手続きを放置された状態で異世界に連れ込まれたということか。

不法入国じゃないかそれ。

しかし、外からのアクセスが出来ないのに一体全体どうやって<オペレーター>は私の<アイテムボックス>と<鑑定>を使えるようにしたのだろうか?


「でも、今は使えるようになってるんですよね?どうやったんですか?」

『回答。スキル情報の再インプットを行いました。』

「再インプット?」

『告。一度ステータスを確認してもらえれば確認できるかと。』

「ステータスを?」


<オペレーター>はそう言うと、私の目の前にステータスを表示した。

私は恐る恐るステータス画面を見て、<アイテムボックス>と<鑑定>を確認した。

問題のスキルは、あっさりと見つかった。


アイテムボックス LV1.1

鑑定 LV1.1


「レベル1.1?!」


思わず声を上げてしまったけれど仕方ないと思う。

だってスキルレベルに小数点がついたのだ。

普通、スキルレベルって整数じゃないだろうか?

スキルレベルがなかったスキルにスキルレベルが付くのだって普通じゃないのに、突然小数点以下まで付いていたら誰だってツッコミを入れたくなる。

基本ご都合主義のなんでもありなラノベやRPGだって、こんな事はなかったはずだ。多分。


「あの、<オペレーター>さん、これは一体…。なんかとんでもない変化が起きてるんですけど…。」

『回答。外からのスキル回路のアクセスは不可能でしたが、【ダンジョンマスター】になり<オペレーター>スキルを得たことで、システムからのスキル情報に追加変更を行うことは可能でした。システムへ要請を出し、問題のスキルのスキル情報へアクセス。その後、新たなレイヤーを作り創造神からの許可を必要としないプロトタイプのスキル情報をインプット。そして新しくインプットしたスキル情報を非常処置としてステータス情報に接続。そしてスキル回路を起動しました。』

「え、えっと…説明がややこしくてよくわからないんですけど…。」

『回答。要は、創造神の許可がないと使用できないスキル情報とは別のスキル情報を接続し、創造神の許可なしでのスキル回路の設定変更を行いました。』

「な、なんとなくですが分かりました。なるほど、プロトタイプだからスキルレベルが1.1…。」


要は、使えないスキルの代用品を代わりに用意してくれたという認識で良いのだろう。

複雑な手順説明すぎて頭が沸騰しそうになるところだった。

こんな手続きをしていたのだったら2ヶ月以上時間が掛かるのも致し方ない。

むしろこんなプロセスを2ヶ月で収めた事に驚きだ。


「というか、随分と遠回りしたんですね。」

『回答。この世界の創造神に発覚し証拠隠滅を図られないように処理をした結果、このような手順を取ることとなりました。』

「いや、本当にありがとうございます。正直難しいと思ってましたし、使えるにしてももっと時間が掛かると思ってましたので、<オペレーター>さんには感謝しかないです。」

『回答。どういたしまして。』


<オペレーター>の優秀さには本当に惚れ惚れしてしまう。

困った時に頼りになる<オペレーター>には本当に頭が上がらない。

これで私も<鑑定>と<アイテムボックス>が使えるようになった。

異世界生活2ヶ月ちょっとにして、漸く他の異世界転移者のスタート地点ちょっと前まで到着したのである。

これほど嬉しいことはない。


「一応、本当に使えるようになったのか試してみましょうか。<鑑定>の使い方ってどうすれば良いですか?」

『回答。<鑑定>は鑑定したい対象を指定し、脳内でスキル名を呟くか、スキル名を声に出せば使用可能です。』


<オペレーター>に<鑑定>の使い方を教えてもらい、早速実践を試みる。

鑑定する対象は先程剥いたばかりのウサギりんご。

私はりんごの入った皿に手をかざすと、スキル名を唱えた。


「<鑑定>!」


すると、私の目の前に黒い画面が表示された。

黒い画面には、鑑定結果が記されている。



【名前】リンゴ

【用途】食用。

【状態】新鮮。

【その他】ウサギの飾り切りがされている(*^_^*)


「……………は?」


あれれー?なんか変なのが見えてるぞ?



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