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リバーシブルな日々  作者: 古岡達規
第一章 ー 平凡な春の日
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第一章(6) ー 平凡な春の日

今回も短いです

 さて、式が終わると新入生達は各々の教室へと再び戻っていく。

 あとやることと言えば、春休み中に指示されていた書類の提出やこの神川東高校そのものの案内ぐらいのものである。

各一年生達は入学式の後、それぞれの担任に先導されて校内を案内されているところであった。


「ここは第三理科室じゃな。放課後は主に生物部が部活に利用しとる」


 手に持った地図を元に校内を案内する黒木。


「えーと、あと行ってないのは……」


 どうやら、登校してきたときに生徒や教師が迷子になっていたのは勘違いではなかったようだ。


「いや、儂もこの学校のOGなんじゃが……この新校舎にはまだ慣れとらんでの。去年と全く別物じゃし……」


歩きながらそんなことを言い訳のように呟く黒木。無理もないことであろう。

 それからいくつかの教室を巡回した後、一年二組の生徒達は教室に戻った。


▽ ▼ ▽


 さて、新入生に残されたこの日のイベントであるがーー


「それではこれから皆さんに、自己紹介をしてもらいまーす」


 教壇に立った黒木がクラスに笑顔でそう宣言した。どことなくビートた○しのモノマネ風だったのは気のせいだろうか。

何にせよ、学生に留まらずともよくあるイベントである『自己紹介』だ。環境が変わるとこのイベントが発生する確率も高いだろう。


「改めて儂の自己紹介じゃ。黒木茜、二十三歳。八月二十日生まれのB型。この学校のOGでもある。顧問を担当している部活は女子柔道部じゃ、これも学生時代からやっとった」


 意外な新事実。華奢な見かけによらず格闘技の経験者だったらしい。


「……通りでどっかで見たことあると思った」


不意に後ろで神条が呟いた。


「何が?」


 振り返らず、小声で背後に問いかける迫原。


「中二の頃に柔道大会で見たことあるよ、あの担任のこと。52kg級だったと思う」

「他所のことなんかよく覚えてたな。部門も違うのに」

「記憶力には自信があるからね……というか表彰されてたから覚えてたんだと思う」


 あの長髪で柔道やってて邪魔にならないのだろうか、という疑問は野暮だろうか。


「じゃあ出席番号一番から順番に、その場に立って自己紹介を始めてくれ」


 当然のように指名されたのは先ほども黒木の第一標的になった相内沙織だった。

 教室中の視線を一身に受ける相内。先程は突発的なもので注目はされなかったが、今度は違う。やや緊張した面持ちで立ち上がった相内が口を開いた。


「西中出身、相内沙織です。男兄弟ばっかりで育ったので、その、趣味は野球とか……見るのもするのも。あとは……」


 先程はあまりしっかりと相内沙織という少女を見ていなかったが、改めて見てみるとなかなかの美少女であった。

 身長は160cmは超えているだろう。女子にしては長身で、野暮ったい紺色のセーラー服を着ていてもわかるのはそのスタイルの良さである。中学を卒業したばかりの年齢ながら、出るところは出て引っ込むところは引っ込んだメリハリのある身体をしていた。また、長い黒髪をポニーテールに纏めており、白いうなじが健康的な印象を与えてくる。


「よろしくお願いします!」


 教室中からの拍手を受けつつ席に腰を下ろし、ほっとしたように深く息を吐く相内。


「次ー、芥川諒平」

「ぅいーっす」


 呼ばれて立ち上がる長身の男。身長は180cm超え、昔から祖父母の古本屋を手伝っていたので非常に筋肉質ながっしりとした体格。質の硬い髪はワックスを使わなくてもいつもツンツンと逆立っている。ちなみに、彼が普段から関西弁を用いるのは祖父母の影響であるところが大きい。


「南中出身の、芥川ですーー」


 性格的に軽薄なところもある芥川だが、極めて無難な自己紹介。それも当然か、高校デビューに滑ってしまうとその後三年間を黒歴史を背負って過ごしていかねばならないのだから。


 拍手、着席、自己紹介、拍手……別段、何事もなく自己紹介は進行していく。

再開しました。


可能な限りペース上げて、なんとか完結まで頑張ろうと思いますので何卒、よろしくお願いします


R1.6.10 微修正

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