表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

灰色の渡り鳥

作者: 霧星 蒼

真っ白な綿が降っている。小さく小さく、薄く薄くちぎったような、そんな綿が。



手を差し出すと、真っ白な小鳥の儚い羽が、抜け落ちてしまったようなそれが、ふわりと手に舞い落ち、手の上で休んだと同時に、溶けるように消えていく。僕の手の上は居心地が悪かったみたいだ。



ふわふわと、灰色の大きな綿から、ちぎれて舞い、僕の肩にふわりと舞い落ちる時には、真っ白な小さな綿だ。



灰色の下に真っ白な羽が舞い落ちる。どうやら同じ灰色でも、こちらの灰色はお気に召さなかったらしい。羽は元々なかったかのように、姿を消していく。



近くを通った大人たちが、嬉しそうに話している。


「積もるかな?」


「積もるといいね。」



だが、残念ながら、そこまで灰色の旅する大きな鳥の羽毛が抜け落ちることは、ないようだ。




大きな鳥は東へゆっくりと飛んでいく。白い羽を落としながら。鳥の影からは、ゆっくりと、真っ白な輝きが、染めていく。




僕は、いつか、今は小さな羽がたくさん舞い降りて、小さなかたまりを2つ上に重ねて作ることを夢見ている。



僕は、また遠くの町に飛んでいく灰色の渡り鳥に、そっと願った。

読んで下さりありがとうございました。短くてすみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ