第5話 中学生時代の佐伯咲
「私たちは2人に恋人同士になってもらうために、ある企画をしました」
おそらく、ある企画というのは昨日話し合った遊園地のことだろう。
遊園地の事、さっき説明し忘れたな。
てか俺が佐伯に説明したのって、咲の突然の思いつきで佐伯を紘とくっつけようとしてることしか言ってないな...
「ある企画?」
佐伯は首を傾げた。
「今度の土曜日、私と雄大と中島くんと咲で遊園地に行きます!」
「え~~~~~~~~!」
いきなりの発表だったからか佐伯はとてもびっくりしているようだった。
「咲と中島くんが良い雰囲気になれるように、私たちが全力でサポートするからね」
「う、うん、私はその日暇だけど紘君は大丈夫なの?」
「あ、あぁ、昨日紘を誘ったら平気って言ってたぞ」
俺は、あえて三人で遊園地に行く計画をしたことを教えなかった。
「頑張ってね!咲」
「うん...自信ないけど頑張るよ」
「ところで~もう一回質問するけど~咲は~中島くんのどこが好きなの?それとどうして好きになったの?」
うわっ、こいつしつこいな、しかも質問増えてるじゃね~か!
こんなふざけた質問こたえるやつこの世にいないだろ。まぁ紘みたいに脅迫すれば別だけど...
「遊園地に誘ってくれたからお礼に教えてあげる」
え~~~~!!!言うのかよ‼
そんなに遊園地にいくのが楽しみなのか...
いや~紘は幸せ者だな。
「まずは好きになった理由からだね。あれはね~中1の時...」
ん?まさか回想シーンにいくのかな?なんか時間かかりそうだな...
まっいっか、面白そうだし。
***
3年前 6月
私、佐伯咲は昔から体があまり丈夫ではなかったので学校を休みがちだった。
だからといって友達がいないというわけではないけど...
最近私は、新しい友達ができた。
それは、桐島小雪という女の子だ。小雪はすべてにおいて私に勝っている。
顔もかわいいし、性格もいいし、頭もいい。
そんな彼女だがつい最近まで、不登校だった。一部の生徒からいじめられていたそうだ。いい子なのにかわいそうだ。
なぜまた学校に来るようになったかはよく知らないけれど、席が隣ということで仲良くなった。
ここ最近体調も良いし新しい友達もできた。
私はいまとても充実した生活を、送っている。
しかし、今日は学校についてからあまり体調がよくなかった。
最近にしては珍しいことである。
今は1時間目と2時間目の間の休み時間。
私は小雪と教室でおしゃべりをしていた。
「咲、どうしたの顔色悪いよ?」
小雪は、私の体調が悪いということに気が付いたらしい。
「ちょっと、頭が痛くて...」
「大丈夫?」
「うん、平気」
と、そこに担任の先生がやってきた。
「おい、桐島ちょっと学級委員の話があるから職員室にこい」
小雪は、不登校になる前から学級委員に所属していた。しかも学級委員長。
うちの学級委員は1クラスに委員長(男女問わず)と委員2人(男女1人ずつ)だ。
学級委員長の仕事はたくさんあるのだが、不登校だったため仕事が進まなかった。
だけど、クラスの神谷君が学級委員長代理として小雪が、学校に来るまでの間学級委員長の仕事をしていたみたいだ。
神谷君は成績優秀なので仕事を坦々とこなしていたみたいだ。
「はい、わかりました。じゃあ咲、またあとでね。つらかったら保健室行くんだよ」
そう言って小雪は、職員室へといった。
その時私の気分は最高潮に悪かった。
だめだ、保健室いこ...
そうして、保健室に向かった。
だが、保健室に向かう廊下で事件が起きた。
一昔前の不良みたいな格好をした、男子生徒数名がこちらに向かってしゃべりかけてきたのである。
「君、かわいいね~俺と付き合わない?」
今更こんな古臭いナンパをする人がいるとはびっくりだ。
相手はおそらく先輩だろう。
古臭いとはいえ、とても威圧があり怖かった。
私は逃げ出したかったし助けを呼びたかった。
しかし、足がすくんで動けないし怖くて声も出ない。その上頭が痛くて頭が働かない。
どうしよう...
気が付いたら、私の目には涙が浮かんでいた。
続く






