第3話 晴れた日の出来事
その後喫茶店を後にした俺たちは、学校の宿題をすっぽかしてゲーセンやらなんやらを楽しんだ。
「そろそろ帰るか」
「そうだね。学校の宿題もあるし」
「あっ、忘れてた。てかあの宿題、むずくね?」
紘はそう言うが授業を受けてれば普通にわかる問題だ。
「あんなの簡単だろ」
「お前ら2人は頭いいからいいけどよ、俺は馬鹿なんだよ」
「そんなのもとから知ってるよ、中島くん正直中学受験してなきゃ今頃高校行けてなかったかもね」
俺たちの通う霧の森学園は中高一貫校でその上とても自由な学校なので、多少頭が悪くても高校には進学できる。
「まぁ頑張れよ紘」
「まぁ適当にやって出せばいいか」
「じゃあ帰りますか。じゃあな紘」
「おう、バイバイ~」
そう言って紘は帰って行った。
紘の家は俺の家からそこそこ遠いが小雪の家は、そこそこ近いので俺と小雪はこの後も帰り道は一緒だ。
紘がいてくれると助かるのだがいないとなると、一人でテンションの高いこいつを相手しなきゃいけないから、疲れるぜ。まぁ最近は案外楽しいけど。
「佐伯と紘くっつけちゃおう大作戦、成功すると思うか」
「成功するでしょ。あの二人ならどっちかが告れば一瞬で、カップル誕生だよ」
「だよね〜」
これに関しては俺も同意見だった。
「問題は何処で二人きりにするかなんだよね」
「そうだな、遊園地だからどっかでチャンスはくるだろ」
「まぁ、そだね」
「例えば、ジェットコースターで隣同士にしたりとかな」
ジェットコースターで、隣同士にして佐伯が紘の手を掴めばとっても面白いんだけどな。
「あの二人なら何とかなるよ」
「あぁ、ベストカップルの誕生だ!」
「それよりさ、今度2人でどっか行かない?」
小雪は急に言ってきた。
「急にどうしたんだ?」
「いや、中1の時に助けてもらっときのお礼にお昼とかをおごろうかと...」
あぁ、もうそんな時期か、小雪は毎年この時期になると必ずそう言ってくるのだ。
小雪は助けてもらったと言っているが、たいしたことをしたわけではない。
「毎年毎年悪いからいいよ、俺は心の清らかな人間として当然の行いをしたんだ」
簡単にせつめいすると小雪は昔、イジメられていたんだ。ありきたりな話かもしれないが、理由もなしに意味のないイジメを楽しむやつは気がしれない。いじるとイジメの違いはなんだとか言ってるやつが、時々いるがイジメは悪質すぎる、いじるほうはまだ笑いごとで済まされるし、ちょっと度が過ぎてもいじる人間は、まだ清らかな人の心を持っている。だから心の底から謝ろうとする心がある、だがイジメをする人は、心の底が腐りきってるもはや手遅れである。謝ろうともしない、先生が謝らせても口先だけのごめんなさいであって本心ではない。
まぁ小雪がいじめられていた話は、また今度考えよう...
「悪いなんてことないよ」
「でも......」
「いいでしょ?」
「どこかにいくのはいいけどさ、おごらせるのは悪いよ」
この時だけはいつもそうだ、おごるのは悪いといっても毎年必ずおごられてしまう。そんな気にすることもないのに...
「おごらないと私の気が済まないの」
「だけど、中2のときからずっとだぞ、もういいだろ、俺はお前と遊びに行けるだけで大満足だよ」
これはもちろん本心である。
「ん...ほんと?私と遊ぶだけでいいの?」
「ああ」
本当にこの話になると小雪が幼稚園生みたいに甘えん坊みたいになるな...
「わかった。じゃあまた明日学校で」
「じゃあな、バイバイ」
俺はまっすぐ歩き出した、小雪の家はあっちなのでお別れである。
小雪は俺のことをどう思っているのだろうか...
少なくとも俺は小雪に好意を抱いている。
俺はいじめられてる小雪を助けた、だが俺も中3の時助けられたんだ。イジメではなかったけど...
続く