第2話 桜海学園の秘密
(前回のあらすじ)
私立桜海学園の始業式があった。
…その時、甲子園に何度も出場し、昨年の夏の甲子園で日本一になった名門帝王大学付属高校の2年エース「倉持つかさ」が桜海学園に転校生して来た。
倉持の私立桜海学園の野球部への入部理由とは…
そして、野球部が誰も知らない桜海学園の秘密とは…。
「えー」
部室の中にいた、渡辺と小野、高城が目を丸くして驚いた。
「野球部のくせに、俺の事知らねーのかよ」(フンッ)
っと倉持が言うと、
「知るかよ、野球部だけど野球に興味ねーし。 なー小野」
「まじでー、興味ないない」
渡辺と小野が話ししている所に高城が口をはさんだ。
「倉持君は、野球部に入ってもパシリなんだよー」(笑)
「ハッハッハー、パシリ決定〜」(イエーイ)
3人がはしゃいでいると、大島が言う。
「そういう事だ。どうしても野球がやりたいなら他行きな」
(バタンッ!!)
大島がドアを閉めた。
そのとき、買い物に行っていた指原が走って帰って来た。
「サッカー部の1年が高城のチャリ、蹴りよったぞ!」
「何ー」
ぶちギレた高城が自転車小屋に行くと、サッカー部の1年がいた。
「高城さ〜ん、こんにちは」(笑)
ナメた態度のサッカー部に…
(ドフッ!!)
高城が1年を殴った。
(ガシャーン!!)
殴られた、1年が近くの自転車に叩きつけられた。
「イッテーな」
高城は、もう一人の1年の胸ぐらを掴んで、こめかみの部分を殴り、倒れた1年の顔を蹴った。
蹴られた子の顔から血が出て、目がはれていた。
この喧嘩を周りで見ていた、生徒たちも固まり動けない。
「ハァーハァー……」
全力で1年を殴っていた高城も息が切れた。
1年は、その場で倒れ、血を流し動けない。
高城は、1年を後にして部室に戻った。
部室に戻って来た高城を見て大島が言う。
「いつかは、サッカー部のキャプテン前田とやらないといけないようだな」(ニヤッ)
その頃、倉持は……。
野球部の入部を断られた倉持が堤防の上を帰っていると、後ろから女の子の声がした。
「やっぱ、断られたの?」
倉持が振り向くと、野球部のマネージャー宮崎が立っていた。
「うーん…」
うつ向いたまま、倉持が答えた。
「帝王大付属って神奈川県の帝王大付属でしょう? 去年の甲子園優勝してる名門なのに、どうしてウチに来たの? 帝王大の方が絶対甲子園も狙えるし、プロにだってなれるんぢゃないの?」
とうつ向いたままの倉持に、優しく尋ねた。
すると…
「私立桜海学園って昔、甲子園に15回出場して、24年前に夏の甲子園5連覇達成したって知ってる?」
うつ向いたまま、倉持が宮崎に質問した。
「えー、本当にー!!」(ビックリ)
宮崎は目を丸くした。
さらに倉持が話し続けた。
「帝王大が名門になったのは、15年くらい前からで、甲子園に初出場したのは、桜海学園が5連覇した次の年、1988年。僕たちが生まれる5年くらい前からなんだ。帝王大は、ここ20年以上、毎年甲子園に出場してるけど、5連覇の経験はない。実を言うと、桜海学園は昔、日本人で知らない人が居ないくらいの名門校だった。そして、桜海学園が不良校になったのも、1988年の神奈川県予選決勝、優勝候補の桜海学園対いつもベスト4止まりの帝王大の試合だった」
「その試合で何があったの?」
と宮崎が聞いた。
倉持が答えた。
「その時の桜海学園の投手、大島優太郎はドラフト候補で12球団から目をつけられていた。対する帝王大の投手、倉持孝はドラフト候補どころか、神奈川県民も、ほとんど知らない投手だった。試合の前から結果が見えているような試合だった。」
「っで、どうしたの?」
「大島は、いつも以上に調子が良く、7回までパーフェクト。倉持は、甲子園初出場を目の前にした緊張で7回までに2失点。会場の応援団も諦めかけていた。8回表2アウトで打席には、桜海学園のエース大島が立っていた。倉持は疲れから、コントロールが悪くなっており、細かいコントロールが効かなくなっていた。第3球目に悲劇が行った。倉持が投げたボールが大島の右肘に当たった。」
「えっ、それで…?」
「桜海学園のベンチの生徒が、マウンドまで走っていき、倉持孝を殴った…」
「どうなったの…」
「乱闘が起こり、手を出した桜海学園の生徒は退場。桜海学園が責任を取り、棄権したため、帝王大が甲子園に初出場することになった」
「ねー、もしかして桜海学園のエースの大島優太郎って…」
「そう、桜海学園野球部キャプテン大島優介の父。そして、その乱闘のきっかけをとなったデッドボールを投げた倉持孝は俺、倉持つかさの父なんだ…」
「そうだったんだ…」
倉持が話しを戻した。
「その試合をきっかけに、桜海学園は不良校になっていった」
また、宮崎が不思議そうに聞いた。
「でも、なんでそんな話を知ってるのに、ウチに来たの?」
倉持が答える。
「俺の父の願いなんだ!」
「お父さんの?」
「自分のせいで、甲子園に行けなくなった名門私立桜海学園にもう一度甲子園に行ってもらいたい。だから名門帝王大学付属高校のエースの俺に転校の話しを持ちかけたんだ。っでも、野球部に入部させてくれないなら、力を貸すことも出来ないけどね…」(笑)
「分かった。私が野球部に入部させてやる!!」(ニコッ)
「マジでー」(ビックリ!!)
つづく。




