7話:後を追え
善永は立ち尽くしていた。荘介が善永の背中を叩く。
「善永…俺たち、ちょっと自分勝手だったんだ。」
「ああ、その通りだ。」
「篠原さん!」
開けっ放しになった部室の入り口付近に、篠原が立っていた。
「お前たちは自分勝手なことをしていた。あの子の気持ちも考えずにな。」
「あんたに、なぎさの何がわかる!」
「少なくとも、気持ちはわかる。なぜなら、俺も巻き込まれた人間の一人だからな。一太もそうだろう?写真部をやめ、聞いた話だと生徒会も追放された。」
「本当か!?」
善永が一太の方を見る。
「別に気にしないでください。後者については、焚きつけた私にも責任があります。一か月後の試合に参加させてください。それでちゃらにしましょう。」
「斎藤さん…」
「ああ、試合なら俺も参加させてくれ。」
「篠原さんも...」
善永は一太と篠原の顔を見つめる。
「それよりも、なぎさのことが先だ。皆で手分けして探そう。俺と一太で校舎の中を探す。」
そう言って、篠原は部室を去っていった。一太もそれに続く。
「善永、俺たちも行こう。俺は校庭を探すから、お前は体育館に。」
善永は荘介の方を見る。
「荘介、本当は検討がついているんだろう?なぎさがどこに行ったか。こういうとき、なぎさが行く場所といえば…」
「余計なこと言うな!さっさと行け!」
善永は慌てたように部室を出る。
(2人きりで話してきな…)
善永は走りながら体育館の方に向かう。
(こっちが近道だ!)
善永は人通りの少ない道を走る。そのとき、一人の生徒が立ちはだかった。
「クイズ研究会の川路善永だな?」
「すまない。急いでいる。後にしてくれ。」
「断る。」
その生徒は竹刀を持っていて、それで道を塞いだ。
「なんのつもりだ…」
「俺は、剣道部二年の早明浦鈴之助。お前の活躍は聞いている。そこで、『兆栄高校の青いイナズマ』と呼ばれるこの俺と戦ってもらおう!」
「急いでいると言っているだろう!どけ!」
それでも早明浦はどかない。竹刀を構えて、今にも斬りかかりそうだ。
「本当に頼む!この通りだ!」
善永は深く頭を下げる。
「おっ!そうだ!礼をしなければならないな。」
早明浦も同じく礼をした。
「馬鹿!そういうつもりでやったんじゃない!」
「礼をしたからには、問答無用!チェストー!」
早明浦は竹刀を振り下ろした。善永はそれをかわす。
「くそっ!こっちの話聞けよ!」
そのとき、善永ははっとした。
(!そうか…こいつは俺だ…俺はこいつのように、斎藤さんや篠原さん、そしてなぎさを巻き込んできたんだ…)
善永は自身を省みていた。思えば、自身の傍若無人は多くの人を巻き込んでしまった。しかし、そう反省している暇もない。早明浦は次の一振りをかましてくる。
「チェストー!」
(こいつ…掛け声だけは、示現流だが、かなり独特な剣技だ。もっとも、あの掛け声は創作の…って、んなことはどうでもいい!さっさと倒してやる!)
善永はテレポートビジョンを発動する。
「よしきた!ならば、こっちも!」
早明浦は合わせるようにオーラを発した。青色だ。
「レベル2か!」
「さあ、俺の異名に相応しい技を見せてやる!」
早明浦は、竹刀に電気を纏わせた。
(!これなら知ってる!電気を操る『雷之為神』だ!)
善永は視界を、2人を俯瞰できる位置に設置した。
(この戦いにルールはない。どんな手を使ってでも、先に行かせてもらうぜ。)
善永の挑戦状:かつて放送されていた番組『SMAP×SMAP』の第1作目テーマソングであった、SMAPの22枚目のシングルは何?
前回の『善永の挑戦状』答え:山南敬助




