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兆兆発止 第2部 学園戦争  作者: ぱんろう
粛清委員会編
53/109

53話:餅と針

本部で戦っている篠原は、本田と新見の猛攻をかわすのに精いっぱいであった。

「はあ…はあ…」

篠原の体力も限界である。本田が苦々しく言う。

「篠原!頼む!倒れてくれ!」

それを聞いて篠原が、本田を怒鳴りつけた。

「友達を裏切るような奴に!倒されるわけにはいかない!」

「相撲部のためだ!俺はそっちをとったんだ!」

「だからといって、クイズ研究会の皆を裏切ってもいいのか!?」

「うるさい!」

本田は腕を伸ばし、篠原を捉えようとする。篠原はそれをかわしたが、やはり新見の針が飛んでくる。

「諦めた方がいいよ。ずっとこれじゃん。」

新見が呆れながら言う。それでも、篠原は諦めない。針をもかわし、拳を構える。


「はあ…はあ…ボクサーは、最後のラウンドまで諦めねぇ!相手を倒すことだけしか考えてないんだよ!」


篠原は新見の方に向かう。

「そうだね。それがボクサーだね。でも、ノックアウトの現実からは逃れられないよ。そして、くだらない夢から覚めるがいい。」

新見が針を出現させ、篠原めがけて発射する。篠原はそれをかわそうとせずに突っ込んだ。

「こいつ!やられるのも覚悟で!」

新見は動揺した。篠原が暴走機関車のごとく突っ込んでくる。しかし、新見しか見ていなかったのが災いした。篠原は、伸びてきた本田の餅に掴まってしまう。

「ぐぬぬ!」

それでも、篠原は突っ込み続ける。本田も歯を食いしばる。

「な、なんて突進力だ!止まってくれ!」

「いや、それでいい。僕が針をもっと撃ち込んで、倒してやるさ。」

新見が新たな針を出現させていた。篠原はそれでも突進し続ける。篠原よりも本田が動揺していた。

「篠原…!」

「本田!捕まえとけよ!相撲部の話も無しになるぞ!」

「すまん!篠原!恨むなよ!」

本田は力を込める。篠原を捉えていた手が赤くなり始めた。

「ぐぬうう!」

篠原は熱さに苦しみ悶える。新見がそれを愉快そうに見ていた。

「さーて、顔のどこに針を撃ち込んでやろうかな?印堂?迎香?それとも、太陽?」

そのとき、篠原が叫ぶように言った。

「本田!これだけは教えてくれ!相撲部に、何があったんだ!」

本田は篠原の顔を見た。力が緩み、篠原は少し前に進む。

「本田!捕まえとけって言ってるだろうがぁ!」

「てめぇは黙っとけ!俺は本田に話を聞いているんだ!」

本田は涙を流す。赤くなっていた手がだんだん元に戻っていった。そして、篠原に語りかけるのであった。

「実は…相撲部も生徒会に目をつけられていたんだ…大会で結果を残せていなかったために…」

篠原は前に進みながらも、本田の話に耳を傾けている。

「ある日、生徒会の人間がやって来て、予算を出せなくなるって言ってきたんだ。」

本田は話を続ける。

「そうなれば、廃部にされたっておかしくない。そうなると、部員たちはどうなる!大会で結果を残せなくても、相撲を心の底から楽しんでいる部員たちは!」

「…」

篠原は前に進もうとしながらも、考え込む。ボクシング部は、篠原が大会で結果を残すものの、自分を除いて部員がいない。篠原以外の部員はモチベーションを失って、去っていったのだ。それに対して、相撲部は、部員の人数こそ多けれど、大会で結果が遺せていない。対照的だ。


「お前、クイズ研究会のやり方が汚いとは思わなかったのか!?大会で結果を残すのは善永だけ。部活狩りで部員を無理矢理増やす…ずるいだろう!」

「その通りだ!だがな!善永の馬鹿は、馬鹿なりに頑張ってきたんだ!少なくとも、腐った生徒会に魂を売るようなことだけはしなかった!!」


篠原はさらに前に進もうとする。本田の手が赤くなり始めた。

「黙れええええ!!俺だって安易に魂を売ったんじゃない!!」

篠原は再び熱される。呆れた様子で見ていた新見が口を開いた。

「もういい?どっちもうるさい。」

新見が勢いよく針を発射した、それは、篠原の顔を狙っている。目に刺さってもおかしくない。それでも、篠原は目をつむらず、熱さも気に留めず、ただ前に進み続ける。

そのとき、何者かが勢いよく教室に入りこんできた。新見や本田は思わずそっちを見る。その人物は篠原に急接近し、飛んできた針を手で受け止めた。

「お前、何やって…!…うぎゃああああ!」

突然、新見がうずくまり、手を押さえ始めた。篠原も、前に進めていた足を止め、その人物の方を見る。


「俺たち、クイズ研究会でしょう?もっと頭を使って戦いましょうよ。」


手に刺さった針に目もくれず、黒部がため息をついていた。


善永の挑戦状:「目医者殺し」の別名をもつ、こめかみの内側に位置するツボは何?


前回の『善永の挑戦状』答え:アントニオ・ヴィヴァルディ

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