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5話:生徒会

善永らによるボクシング部への突撃は、学校中で話題になった。

「おい!聞いたか!クイズ研究会の人間が…」

「ここに、新聞があるぞ!」

生徒たちがその話題で持ち切りだ。廊下に掲示されている校内新聞には、ボクシング部での様子が記事になっている。それを見ようと、多くの生徒が詰め寄っていた。

そこに、一人の男子生徒が近づく。坊主頭だが、端正な顔立ちだ。そして、「生徒会」の腕章をしている。

「お、おい!三年の山南さんだ!」

生徒の一人がその存在に気がつくと、皆がその生徒の方を見る。

「お前ら、その新聞は生徒会命令で排除する。どけ。」

それを聞いて、生徒たちは散り散りになって去っていった。坊主頭の生徒―名字は山南―は、掲示されていた新聞を乱雑に剥がしながら、その場を後にするのであった。


山南は、しばらく歩き、ある教室の中に入っていった。その教室の入り口には、「生徒会本部」と書かれたプレートが掲げられている。その教室に入ると、机と椅子が正方形に並べられており、それぞれの椅子に生徒が座っていた。入口から見て上手の椅子に座っていた生徒が口を開く。

「来たか、山南君。言われた通り新聞は排除したか?」

「ええ。この通りです。」

山南は乱雑に剥がした新聞をビリビリに破きながら言った。

「よろしい。座りたまえ。これより、生徒会会議を始めよう。」

どうやら、上手に座っているのは生徒会長らしい。生徒会長は続けた。

「さて、先ほどの新聞の件と深く関わっているが、最近クイズ研究会が不穏な動きを見せている。これについて、沖田君、説明しろ。」

沖田と呼ばれる女子生徒が立ち上がり、話し始める。

「はい。クイズ研究会が部活狩りと称して、体育会系の部活に乗り込んでは、様々な戦いを挑んでいるようです。それによって部員を集めようとしているのです。最初はボクシング部に乱入し、それによってボクシング部の部長を入部させたそうです。ただ、その後はうまくいってなさそうです。バスケットボール部やテニス部には負けてました…失礼しました。門前払いされたそうです。」

生徒会長が再び口を開く。

「これは大問題だ。手段が荒すぎるし、そもそもクイズ研究会への入部はお触書で禁止したはずだ。本来無効にしなければならない。何よりも生徒の娯楽になってしまっている。沖田君、君も本当は観戦しに行ったんだろう?」

「なんのことですか?」

沖田はとぼけている。生徒会長はため息をついた。

「まあいい。それよりもだ。こんな問題行動を、私たち生徒会や教師が見逃してしまっている。それはなぜか。生徒会の人間が手回ししているからだ。」

それを聞いて、場がざわざわし始める。

「静粛に!」

会長の右隣りに座っていた女子生徒が叫んだ。それによって、場は一気に静まった。

「ありがとう。近藤副会長。君たち、安心したまえ。裏切り者は、既に捕縛してある。」

生徒会長が合図をすると、教室の扉が開き、縄でぐるぐる巻きにされた一太が入ってきた。

「斎藤!真面目なお前が!?」

山南が驚いている。会長は落ち着いた様子で言った。

「山南君、君ならはよく知っているだろう?彼がしょっちゅう「男の約束」をしてしまうのを。」

「斎藤、貴様!俺との約束はどうしたんだ!」

一太は申し訳なさそうに答える。

「すみません…つい。」

山南が一太に急接近する。他の生徒が止めようとするが、それを振り払う。

「落ち着け!山南君!」

生徒会長が一喝した。それによって、場の全員が生徒会長の方を見る。

「斎藤君、君は生徒会を追放だ。これは、私との「男の約束」だ。」

「!…はい…」


一太は下を向く。それを何とも言えない表情で見ていた山南だったが、すぐに表情を戻して生徒会長に言う。

「クイズ研究会ですが、改めて強制廃部処分を。」

「その結果が部活狩りだろう?それに、入部こそしないものの、奴らに味方をする者が出てきている。そこは、クリーンな生徒会だ。奴らのルールで叩き潰そう。」

「というと?」

生徒会長はほくそ笑む。

「山南君、君の出番だ。ふふ。楽しい気分になってきたよ。今、私の頭の中で、モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』が流れている。」


善永の挑戦状:オスマン帝国の軍楽隊に刺激を受けて作曲された、モーツァルトの『ピアノソナタ第11番第3楽章』のことを何という?


前回の『善永の挑戦状』答え:篠原有司男

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