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兆兆発止 第2部  作者: ぱんろう
粛清委員会編
47/77

47話:決死の帯電

「今度はなんだ!?」

老婆はマントから何かを取り出し、それを黒部の足元めがけて投げつけた。

「うわ!」

黒部は飛んできた何かを避けようと足を上げるが、それは黒部の足を狙っていなかった。何かは床に着地した。黒部が足元に目をやる。

そこには、皿に乗せられた美味しそうなタルトがあった。3人は、そのタルトをまじまじと見つめる。


(あ、怪しい!でも、美味しそうだ!)


荘介と早明浦は手を出そうとしなかったが、黒部はタルトを手に持ち、かぶりついていた。

「お前!何考えているんだ!どう見ても食ったらダメなやつだろ!」

「違う!体が勝手に引き寄せられたんだ!決して、お腹が空いていたのではないからな!?でも、これ美味しい!食ってみろよ!リンゴが入っているぞ!」

荘介がはっとする。

「そうか!『白雪姫』の老婆だ!そいつは毒リンゴだ!」

「なんだと!?無駄に美味しく調理しやが…って…」

黒部はその場で眠り込んでしまった。2人が頭を抱える。


「ふふふ。これが『サッカー界のカスパロフ』か。カスパロフが聞いて呆れるぜ。ならば俺は、『ディーディープ・ブルー』か?はははは!」

芹沢が笑っている。荘介が鞭を構えた。だが、本が矢継ぎ早に飛んできて、それへの対処で精いっぱいになる。

その様子を見て、もどかしく思った早明浦が叫ぶ。

「荘介!やはり一条鞭砲だ!それで攻撃するしかない!」

「ああ!」

荘介は言われた通り、鞭を全力で振るい、衝撃波を発生させる。だが、芹沢の前に本が集まり、芹沢の身を守った。

「はははは!そんな衝撃波で、俺の本壁を破壊できるわけねーだろ!」

芹沢は自慢げに笑っている。早明浦は、悔しそうにしていた。

(くそ!竹刀があれば!…いや、あるいは!)

早明浦は、手ぶらの状態で芹沢の方に向かっていく。その早明浦の前に、老婆が立ちはだかった。

「邪魔だ!ばばあ!」

早明浦は、老婆の腕を掴み、背負い投げで倒した。飛んでいる本相手に鞭を振り回している荘介が感心する。

「大したもんだな!早明浦!」

「当たり前だ!園田流の使い手は、刀がなくとも戦う!それが侍だ!」

早明浦はにやりとしながら答える。

「とはいえ、そっからどうすんだ!?」


「こうすんだよ!」


早明浦は自身の制服に手を当てる。そして、制服に帯電させた。

「お前、何を!?」

「荘介!俺に一条鞭砲を当てろ!」

「だが、そんなことすれば…」


「いいから撃て!!」


早明浦の気迫に、荘介は一瞬動けなくなった。しかし、すぐさま鞭を強く握りしめる。

(早明浦鈴之助…お前は、善永以上に空気が読めないし、善永以上に自分勝手な奴だ…控えめに言って、クソカス野郎だ…)

荘介は鞭に力を込める。荘介が発していたオーラが鞭に集まっていく。

(だが、善永と同等、あるいはそれ以上に!根性のある奴だ!)

荘介は全力で鞭を振るう。


(そういうところが、最ッ高に大好きだ!!早明浦鈴之助!!)


「いくぞぉ!早明浦ァ!」

荘介の鞭から衝撃波が放たれる。それは、早明浦の方へ一直線に向かっていく。

「仲間割れかぁ!?はははは!」

「馬鹿野郎!お前らのそれを超える、最高のコンビ技だよ!…ぐはっ!」

衝撃波は早明浦に命中し、そのまま芹沢の方に向かっていく。

(まさか!自分自身を犠牲にして、衝撃波に帯電させたのか!?んな馬鹿な!)

芹沢が気づいた頃には、帯電した衝撃波が目前にまで迫っていた。本で防御しようにも間に合いそうにないし、仮に間に合ったとしてもそれで防御はできないだろう。衝撃波は芹沢に命中した。

「ぎひゃうっ!」

芹沢は感電しながら、その場で倒れた。これで、太郎コンビを倒すことができた。荘介がガッツポーズをする。

とはいえ、早明浦も無事では済まなかった。ぼろぼろになって倒れている。

「早明浦!」

荘介は、早明浦のもとに駆け寄る。意識こそあるものの、息も絶え絶えだ。

「やったじゃねえか…荘介…」

「馬鹿。喋るんじゃねえ。」

2人のもとに、いつの間にか目を覚ました黒部も歩み寄ってきた。

「早く早明浦さんを保健室に連れていこう。怪我の理由は…変電設備に触ったでいいか。」

「目を覚ましたのか、黒部。」

2人が黒部の方を見る。黒部は微笑んだ。

「まあな。本家のように、王子様のキスが必要じゃなくてよかったぜ。」

「…こんなときに気落ち悪いこと想像させるんじゃねえ…」

3人は笑い合いながら、保健室に向かっていくのであった。


善永の挑戦状:小人たちからの歓迎パーティーのシーンで歌われた、ディズニー映画『白雪姫』の挿入歌は何?


前回の『善永の挑戦状』答え:ブックメーカー

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