45話:燃える本
いつものように放課後、廊下を歩いていた荘介が突然口を開いた。
「何!?この3人!?」
そこにいたのは、荘介、早明浦、黒部の3人であった。珍しい組み合わせである。
「別におかしくないだろ。特に荘介と早明浦さんは、同じ「すけ」コンビじゃないか。」
「そのくくりやめろ!漢字が違うし!」
3人がわいわいしながら歩いていると、2人の男子生徒が立ちはだかった。
「誰だ!お前ら!」
早明浦が2人に名を尋ねる。2人の生徒は律儀に名乗った。
「俺は、生徒会一年、伊藤高太郎!」
「そして俺は、生徒会三年、芹沢鴨太郎!人は皆、俺たちを「太郎」コンビと呼ぶ!」
黒部が対抗するように言った。
「こっちは「すけすけ」コンビだぜ!」
「そのくくりやめろって言ってんだろ!」
荘介が黒部に怒鳴っているのも束の間、燃えた本が飛んできていた。
「!」
荘介はそれをかわす。燃えた本はそのまま落下し、燃え尽きた。太郎コンビの方を見ると、青いオーラを発していた。
「荘介、どうやら、ふざけている暇はなさそうだ。」
早明浦がどこからか竹刀を取り出している。そして、青いオーラを発した。
芹沢が口を開く。
「お前ら、図書館には行くか?最近、悪書が増えてきてな。それの処理を任されるんだ。」
芹沢の周りにはいくつかの本が浮いていた。
「本を操る兆能力『ブックメイカー』か!」
荘介が芹沢の兆能力を特定していた。それを聞いて、黒部が不審がる。
(だが、本はなぜ燃えた?ブックメイカーにそんな芸当ができるのか?)
そう考えている間にも、いくつかの本が飛んできていて、それぞれ3人を狙っていた。さらには、そのうちの一つが突然燃え始める。それを見て、早明浦がはっとした。
「もう一人の太郎か!摩擦によって炎を発生させる『フリクション・ヒート』だ!」
早明浦は竹刀を振り回し、本を叩き落した。荘介も鞭を出現させ、それで本を叩き落す。唯一武器を持っていない黒部は、飛んできた本をかわすことで対処する。それを見て、芹沢はにやっとしていた。
「お前ら、図書館で本を借りたらどうする?返すよな?」
「まさか!」
黒部は振り返る。かわした本が飛んできていた。
『ブック・リターン』
一度に限り、発射した本を使い手のもとに引き寄せることができる技。黒部は、後ろから飛んできている本―芹沢のもとに向かうため―をかわせそうにない。
「仕方がない!」
黒部が青色のオーラを発する。本の角が黒部の背中に衝突するが、黒部は痛みを感じていない様子であった。
「黒部!アンチ・スケープゴートを発動したのか!誰に痛みを押しつけたんだ!?」
「じきにわかる!」
「いてええええええ!」
突然伊藤が背中をさすり始めた。
「本の角が背中に当たった痛みだ!あの男!アンチ・スケープゴートの使い手です!」
「なんだと!?…だが、その対処は簡単だ!殺す気でやればいいんだ!その兆能力は、死ぬほどの痛みだけは他人に押しつけられない!」
「そんなことさせるかよ!」
早明浦が竹刀に帯電させ、太郎コンビに向かって駆ける。
「高太郎!任せたぞ!」
「はい!鴨太郎さん!」
芹沢が、本を伊藤に向かって発射する。伊藤は、その本を少し擦った。
「本は、何度で燃え始めるか知ってるか?232.8℃だぜ!」
「そこは華氏で言えよ。」
擦られた本は激しく燃え始め、早明浦の方に向かっていった。
「本を摩擦熱で燃やす…なんてコンビ技だ!」
早明浦は竹刀で本を叩き落そうとする。が、燃える本は早明浦の竹刀と拮抗した。
「ぐぬぬぬぬ!」
踏ん張っていた早明浦の側を、荘介と黒部が通る。2人は、太郎コンビのもとに向かっていた。
「お前らの相手は、本の登場人物だ!」
『本人登場』
芹沢が本を乱雑に開き、それを床に叩きつけた。
「本の扱い雑だな…」
荘介が呆れていると、突然剣を持った男が斬りかかってきた。
「なんだこいつ!」
荘介は、後方にジャンプすることで、それをかわした。その剣士は、桃が描かれたハチマキを巻いている。
「桃太郎!そいつらを切り刻んでしまえ!」
善永の挑戦状:題名は紙が燃え始める温度に由来する、ブラッドベリのディストピア小説は何?
前回の『善永の挑戦状』答え:コールドロッカー




